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英語学習は何から始めればいい?「最初に文法、単語、英会話」はおすすめしません【同時通訳者のアドバイス】

英語学習解決室

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回の相談は、「英語学習で、何から始めたらいいのか分からなくて困っている」です。

相談:取りあえず文法、単語、会話をしてうまくいかない

今回のご相談は、「英語を勉強しようと思うが、何から手を付けたらいいのか分からず、まずは文法、単語、会話に取り組んでみるが、効果が出ない」です。

何から始めると最短最速で英語が習得できるか

多くの人が陥ってしまう迷走状態が、英語は勉強したいのに、何からしたらいいのか分からないというものです。

私も、書店で学習者におすすめする文法書を探そうとしたときに、あまりの数の多さに、選ぶのに苦戦しました。英語のプロであってもそうなのですから、これから学ぼうとする人が困ってしまうのも当然だと思います。

そこで今回は、英語を勉強したいときに、何から始めると、最短最速で無駄なく自分の望んでいる英語力が身に付くのかをしっかりお伝えします。

英語学習を始めるときの三大ミス

学習開始時にやってはいけないこと、失敗例を紹介しましょう。

初学者のよくある三大ミスは次の通りです。

(1) 最初に文法だけをやってしまう

(2) 自分が使わない表現が載った表現集でやたらと暗記してしまう

(3) 目標設定をせずに英会話に挑戦する

なぜこれらが駄目なのでしょうか?それぞれ説明していきます。

最初に文法をやってはいけない

学習し始めの時期に文法を改めて頭に入れてしまうのは、一見、いいことのような気がしますよね。文法は言葉のルールですから、ルールを知らないと話せない、と考えるのは至極自然なことだと思います。

しかし、文法を最初に勉強してはいけないのは、和食を作るときに塩を最初に入れてはならないのと同じです。

どういうことでしょう?塩を入れると、食材にすぐ塩味が染みてしまうのです。塩は分子が小さいので、食材に入り込みます。そのあとに分子の大きい砂糖を入れても、食材に入り込むことができません。そのため、食材にまろやかな甘さを付けられなくなってしまいます。

和食の調理では、砂糖を最初に入れて、そのあとに塩を入れますよね。まさに同じことを、英語の勉強でもしていく必要があるのです。

文法がなぜ塩に近いかというと、文法を先に頭に入れようとすると、例えば、「たくさん人がいた」と言いたいときに、「えっと、『いる』だからThere is、あ、でも、『たくさん人がいる』からThere areか、あ、『いた』と過去だからThere wereか」といろいろ考えて、30秒、1分と経過してしまうことになります。

その1分の間、例えばシンポジウムで100人の聴衆がいたとしたら、100人分のもう二度と帰ってこない1分ずつを奪うことになります。

また、もし企業の社内会議で白熱した討議をしている最中だとすると、文法を考えている間に、文法にはあまり構わずどんどん話す他の人に話す機会を奪われる可能性も高いのです。実際に、何度もそういう現場を見てきました。

そうなってしまうくらいなら、何も考えずにmany peopleとだけ3秒で言った方が、はるかにコミュニケーション、意思疎通という意味では良いと言えるのではないでしょうか?

つまり、必要なこと、言いたいことのエッセンスを素早く伝えることが、和食の砂糖に当たります。塩に相当する文法を先に頭に詰め込んでしまうと、素早く英語を出すという反応が起こりづらくなってしまうのです。

基礎的な英文法の習得は必要です。しかし、英語でコミュニケーションをすることが目的の場合、最初から文法だけに取り組んでしまうと、意思疎通の妨げになることがあります。

早急にコミュニケーションの必要性があるなら、まずは、自分が使うであろう単語を勉強した方がいいでしょう。さらに、知っている単語をとっさに言えるようになるquick responseの練習をすると効果的です。

▼quick responseの練習法はこちら↓

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表現集でやみくもに暗記するのは無駄

多く見掛ける間違いの2つ目は、使いもしない単語やフレーズをやたらと暗記することで、これも無駄です。

まるで、おなかがすいているときにスーパーマーケットに行って、「これはお得だから」「これも使うかも」と買いだめしてしまい、結局は消費期限が切れて捨ててしまうのと同じことになります。どういうことなのでしょうか?

必要な単語やフレーズは、場面や状況によって異なります。

私が通訳するときも、通訳現場がどんな業界、会社、部署か、また、どんなプロジェクトかに応じて、その時々で単語を仕入れるわけです。麻婆豆腐を作るときとカレーを作るときで材料が変わるのと同じです。

大切なのは、自分が英語を使う場面を想定して、それに必要な表現を覚えて使うことです。

人間の記憶力では、48時間で80パーセントの内容を忘れると言われています。

48時間以内に使わないのであれば、せっかく覚えた単語もフレーズも、脳は重要ではないと見なして忘れてしまうのです。これは当然のことなのに、「また忘れちゃった・・・」と、自分の不出来に嘆くのは、潜在意識に「できない」自分を刷り込むことになります。そのために、ますます英語への苦手意識が高まり、英語が使える自分とは程遠くなってしまいます。

使う表現を使う直前に覚えて、すぐ使うこと。これが正解です。覚えたばかりのことであれば、口から出てくる確率も高く、そうすれば、英語が苦手とも思わずに、自分を成長させていくことができます。

目標が曖昧なまま英会話しようとしてはいけない

特に英語で話せる・聞けるようになりたい場合に、陥りやすいミスです。

ビジネスであれば、目標を設定せずにプロジェクトを開始することは絶対にないと思います。それなのに、英語だとなぜか目標がぼやっとしたまま学習をスタートする人が本当に多いのです。

しかし、目標が「英語がペラペラになれたらいいな」といった曖昧なものだと、日常会話も映画鑑賞も仕事も非常事態も全て、どんな場面でも英語が分かってコミュニケーションが取れることをイメージしてしまいます。

でも、勉強や練習をどんなにしても、「ペラペラ」目標にはなかなか到達できません。そうすると、「自分は英語に向いていない」と思い込んで、頑張れなくなってしまいます。これはとてももったいないことです。

例えば、「ビジネスで英語が使えるようになりたい」という明確な目標を設定したとしましょう。

そうすると、まずは初対面で名刺交換をして、自己紹介をして、相手の自己紹介を聞いて、会社説明をして、取引を開始するといった流れがあります。

そのため、目標1:自己紹介、2:会社概要、3:信頼関係を築く質問、4:ビジネスプレゼンテーション、5:質疑応答というふうに、目標をピンポイントで階段のように作っていくことができます。

この方法のメリットは、1つの目標に対して行うことが明確なので、確実に目標を達成できる点です。

人は目標を達成したときに一番やる気が出ます。一つ一つ細かく階段方式で目標を立てていけば、達成するごとにやる気が上がるので、やる気のガス欠になりません。そのため、挫折することなく英語を習得し続けられるのです。

ということで、英語を習得したい人は、まずはピンポイントの階段目標を設定してください。

参考文献として、私の2冊目の本である『英語が面白くてとまらなくなる感動のマスターマップ勉強法』を挙げておきます。「マスターマップ」を使っていただくと、最初の目標設定で失敗することを防げます。

英語が面白くてとまらなくなる感動のマスターマップ勉強法 (中経出版)

英語が面白くてとまらなくなる感動のマスターマップ勉強法 (中経出版)

 

階段目標を設定できる4つの質問

ピンポイントの階段目標を設定する際に、便利な方法があります。それは、次の質問を自分に聞くことです。これらの質問は、脳内を整理するのに役立ちます。

(1) 英語をどこで使う?

(2) 英語を誰に使う?

(3) 英語で何が言えたらうれしい?

(4) 英語で何が聞き取れたらうれしい?

例えば、「道案内で英語を使えたらうれしい」という回答が出てきたなら、道案内表現をインターネットなどで探して、隙間時間に声に出して10回練習しましょう。

こんなウェブ記事が参考になります。

www.berlitz-blog.com

使える表現を一通り吸収したら、YouTubeなどで「giving directions」と検索して、見つけた動画で英会話を聞いてみましょう。例えばこんな動画があります。

最初に表現を学んでおくことで、動画で英語を聞いたときに、いきなり聞き取りをするよりも、よく聞き取れると思います。

動画の英語が聞き取れたら喜びましょう。脳は意識的に喜ぶことで、喜びの脳内物質が分泌されて、さらに勉強したいと思うようになります。

あとは実践です。学んだ英語表現を使える機会を待たずに、使う場を探しましょう。例えば、街中や駅で見掛ける外国人観光客と思われる人に話し掛けてみるのもいいですね。

こういった学習の仕方を、私は「なる早勉強プロセス」の「ASAP」として紹介しています。この方法で、挫折知らずで確実に英語の目標を達成することができます。

▼「ASAP」の詳細はこちら↓

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小熊弥生さんの本

GOTCHA!新書『「英語で電話会議」の教科書』では、英語の電話やテレカンファレンスで使える英語フレーズや準備方法はもちろん、会議やビジネス一般にも役立つノウハウやヒントを紹介しています。いつでも手元に置いて参照できる手頃な決定版としてご活用ください。

▼詳細・購入はこちら↓

小熊弥生

文:小熊弥生

http://www.sokupera-english.com/opt2/
株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish:著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)