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「とりあえずTOEIC高得点」ではなく、英語学習の目的に合った上達実感を得る方法【同時通訳者が教える】

英語学習解決室

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回の相談は、「英語力がアップしたかを測るのに、TOEIC以外で何を使えばいいのか分からない」です。

相談:英語力の進歩を測るのに、TOEIC以外の方法が分からない

今回のご相談は、「英語力の進歩を測る方法としてTOEIC L&R(Listening & Reading)を使っているが、それでいいのかどうか分からない」です。

TOEICだけに頼ってしまうのは、英語を使っていないから

英語力を測るのにTOEICに頼ってしまう理由は、英語を使う場がないから、というのが一番大きいでしょう。学んだ英語をすぐに実際に使っていれば、実感として上達しているかどうかが分かるはずです。

しかし、ただ単に、英語ができたらいいな、かっこいいな、という発想から英語を勉強し始めてしまうと、使う場を作ることが英語の学習に不可欠であることをあまり理解しないままになってしまいます。

あるいは、頭では分かっていても、実際に英語を使うのだという覚悟を決めていないため、学習しても力が伸びているのかが判断できません

その結果、何らかの指標が欲しくなり、とりあえずTOEICに飛び付く人が本当に多いと思います。

目標が不明確なため、上達しているかが分からない

英語がペラペラ話せるようになったらいいな、と漠然と思って、なんとなく英語を勉強し始めてしまう場合も、上達を実感しづらく、挫折しやすくなってしまいます。

明確な階段目標(段階的な到達目標)を設定せずに、最終目標が「英語がペラペラ」では、曖昧過ぎます。「ペラペラになる」だと、目標が広過ぎてしまうのです。

目標が広いと、目標に合った勉強法に絞り込めません。

「英語が流ちょうに話せるようになる」ことを目指した場合、まず、文法、語彙、発音、イディオムという基本を全て身に付けて、それから、ビジネスや旅行や映画の英語を聞き取れるようになり、仕事や普段の日常での受け応えもある程度できるようになったとします。

それでも、「ペラペラ」になるなら、例えば、病院に行ったときも英語で問題なくやりとりできなければならないでしょう。

このように、あらゆる状況の英語を何でもかんでもかじってしまい、切りがありません

目標を絞り込んでいないと、結局どれも中途半端で、身に付いたのかどうかもよく分からずじまい。上達したかが分からないので、学びの喜びも得られず、自分に英語は向いていないと諦めてしまうことになります。

それでどうするかというと、著名な英語講師などのプロフィールを見て、TOEIC高得点取得と書いてあるので、自分もとりあえずTOEICを受けよう、となってしまうのです。

しかし、TOEICの高得点と、英語が話せるようになることは、必ずしも一致しません。広過ぎる目標と、その目標に合っていないテストの受験とで、達成感を得られずに終わってしまう確率が高くなります。

自分で指標をクリアしながら学習を継続できる方法「ASAP」

そこで、こういった問題を解決するための方法を紹介します。明確な目標を立てて、それに向けた学習を行い、上達や到達したかが確実に分かって、継続することができるようになる手法です。

それは、「なる早勉強プロセス」の「ASAP」といいます。

ASAPを実践すると、最短で英語の習得が可能になります。

このプロセスなら、TOEICだけに頼らないで済むのです。

しかも、TOEICのスコアアップが目標であれば、それにも適用できます。現に、私が半年でTOEIC 280点から500点以上アップして大手英会話スクールの主任講師になることができたのも、このプロセスのおかげなのです。

そして、私が主催するスクールで、受講生たちが挫折せずにどんどん目標を達成していくのも、このプロセスを使っていただいているからです。

逆に言えば、このプロセスを活用しないと挫折しやすくなり、TOEICのスコアだけが高くなって英語が話せないという事態にもなりやすいのです。

簡単に言うと、PDCAサイクル*1がビジネスを必ず成功に導くプロセスであるとすると、なる早勉強プロセスのASAPで確実に英語の目標を最短で達成できるようになります。

ASAPは、Aim、Simulate、ActionPractice

ASAPは一般的にはas soon as possible(なるべく早く)の略語ですが、私のASAPのプロセスは次の通りです。

A: Aim(狙い撃つ)

S: Simulate(シミュレーションする)

A: Action(行動を取る)

P: Practice(練習しまくる)

これに当てはめて自分の英語学習を進めていけば、必ず目標を達成できます。

狙い撃つ目標を明確に設定する

まず1つ目のAから説明しましょう。

AはAim、「狙い撃つ」ですが、英語を話せるようになりたいと思った多くの人が間違えるのが、この第1歩です。目標を設定しないか、設定してもざっくりし過ぎています。

そして、目標を設定しないと、なんとなく周りに流されて、とりあえずTOEICの高得点を目指そうとなってしまうのです。

できるようになりたいことを具体的に想像して、対策を練る

2番目のSはSimulate、つまり「戦略をシミュレーションする」です。

これは、目標を達成するために必要な英語を想像して、それが最短で身に付けられる方法を考えるということです。

多くの人が、日常会話ができるようになりたいと思っているのに、TOEIC L&Rを受験してしまいます。

しかし、このテストでは話すことはしませんし、ハイスコアを取ってもやっぱり話せない自分がいる、頑張ったのに報われない、という状態になる場合があります。

それで、やっぱり英語は向いていないのだと思って、挫折してしまうのです。

そうではなく、例えば、心に残る自己紹介をビジネスの場でできるようになる、というピンポイントの目標を立てましょう。

その上で、「英語自己紹介 ビジネス」とインターネット検索すれば、自己紹介の英語表現を紹介したサイトがたくさん出てきます。その中から自分が気に入ったものを選んで、使ってみればいいのです。

「心に残る」英語の自己紹介とは?

インターネット検索などで英語表現を探す際に注意したいのは、出てきた表現をただ使えばいいわけではなく、自分の目的に沿ったものを見つけることです。

「心に残る」自己紹介を英語でできるようになりたいのであれば、一般的なMy name is Yayoi Oguma. I am an interpreter.だけでは相手の心に残りませんよね。さらにもう一歩進んで考える必要があります。

日本では、他の人と同じようにしていれば、出る杭(くい)は打たれないから安心、と思いがちですが、それでは心には残りません。

これまでに見聞きした心に残る自己紹介はどんなものでしたか?人とは違う点に、「おっ」と思いませんでしたか?

それなら、My name is ~.以外でどんな言い方ができるかを探せばいいのです。

まずは、こんなバリエーションがあります。

I am Yayoi Oguma.

私は小熊弥生です。

Yayoi Oguma is my name.

小熊弥生が私の名前です。

Hi, I’m Yayo.

どうも、ヤヨです。

さらに、ここで、自分が外国人の名前を覚えるのに苦労したことを思い出す、または苦労するだろうと想像してほしいのです。

自己紹介の印象を相手の心に強く残すためには、名前を覚えてもらうことが必要だと、このシミュレーションの段階で考えてみてください。

そのためには呼び名を伝えた方がいいなと思えば、次のようなフレーズが思い付くはずです。

Please call me Yayo.

ヤヨと呼んでください。

それから、名前の意味を伝えたら、もっと心に残せると思いませんか?

My full name means a little bear born in March.

私の名前は、「3月(=弥生)生まれの小さな熊」という意味です。

これらをまとめると、こんなふうに相手の心に残る自己紹介ができます。

I am Yayoi Oguma.

Please call me Yayo.

My full name means a little bear born in March.

これで、自分の目標が達成できそうなところまで来ました。

作戦を立てたら、次は行動

せっかく作った心に残る自己紹介も、実際に使ってみなければ、本当に心に残るかどうか判断できません。

今度は2つ目のAのAction、「実際に使ってみる」という行動を起こします。

でも、誰を相手にして英語を使えばいいのかと悩むかもしれませんね。

今は訪日外国人の数が急増しています。道に迷っている外国人らしき人を見掛けたら、迷わずに勇気を出して、このように話し掛けてみましょう。

May I help you (with directions)?

(道案内をして)手伝いましょうか?

そして、相手の行きたい場所まで連れていった後、Thank you.と言われたら、このように言ってみてもいいのではないでしょうか。

I am studying English. Is it OK to introduce myself in English?

私は英語を学習中です。英語で自己紹介してもいいですか?

1回でうまくいかなくてもいいので、練習を繰り返そう

最初はうまく通じなくても、相手が使った表現から学んだりして、自分の英語を進化させ、3つ目のPのPractice、「練習」を続けていけばいいのです。

そして、1つの目標がクリアできたら、また次の目標を作りましょう。

具体的な目標を設定し、目標達成のための戦略を立てて、行動する、そして練習を続ける。このサイクルを繰り返していけば、「とりあえずTOEIC」ではなく、自分に本当に合った英語力を身に付けながら、継続的に進化していけますよ。

小熊弥生さんの本

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小熊弥生

文:小熊弥生

http://www.sokupera-english.com/opt2/
株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish:著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)

*1:PDCA=Plan(計画)、Do(実行)、Check評価)、Action改善