GOTCHA!

英語、仕事、勉強。いろんな「わかった!」をお届け。

英語4語でどう言う?「ラグビーチームの一員になることができた」【省エネ英単語】

省エネ英単語

言いたいことを日本語から英語にすると、冗長な英文になってしまう……。そんな悩みはありませんか?連載「その英語、一言で言えます!省エネ英単語」では、日英翻訳を多数手掛ける翻訳者の遠田和子さんに、簡単な英単語を使って簡潔に的確に表現する方法を紹介していただきます。今回のテーマは「make」です。

今回の単語は「make

英語を書いていてなんだかもどかしく、「もっと簡単に言えないの?」と思うことはありますか?スマートな英語表現に憧れる皆さんに、シンプルなのに多くを語れる「省エネ英単語」を紹介します。

今回取り上げるのは「make」です。make は、前回の「keep」と同様、使用頻度が高い動詞であるだけに、実にさまざまな意味で使われます。基本的な「作る」や、使役動詞「~させる」の意味はご存じでしょう。

そこで今回は、日本語からは思い付きにくいけれど、シンプルでこなれた英語に一役買う make の使い方を紹介します。「こんな場面で make が使えるんだ!」と思ってもらえるとうれしいです。

「~の一員になることができた」を英語1語で言うと?

次の日本語を英語に訳すとすると、どんな英文が浮かびますか?

息子はラグビーチームの一員になることができた。

「一員」は a member かな、「できた」だから was able to かな、と考えると、次のような長い英文になります。

My son was able to become a member of the rugby team.

もっと簡潔に表現するために、was able to become a member of の7語を made で置き換えることができます。伝わる内容は変わりません。

My son made the rugby team.

簡潔ですね!make の1語にすることで、かえってインパクトが強くなりました。make にはこのように、「できる、なんとかする、成し遂げる、成功する」という意味があります。

「成し遂げる」「成功する」の make の用法

次の文はどうでしょう。どんな英語にしますか?

先月、そのバンドは iTunes のベスト10入りを果たした。

まず、「ベストテン」には注意が必要で、これは和製英語です。英語では、best 10 ではなく top 10 と言います。「top 10 入りを果たす」は「10位以内にランクされた」と考えると、次のような英文が書けます。

The band was ranked in the iTunes top 10 last month.

これでも OK ですが、was ranked in は made の1語で言えてしまいます。

The band made the iTunes top 10 last month.

次の文では、「選ばれています」の部分が made に当たります。make the XX list は、「XXリストに載る」という意味です。

この本はアメリカで最も愛読される小説100選に選ばれています。

This book has made the list of America’s top 100 best-loved novels.

これまでの文の make は「~を成し遂げる」を表します。あるテニス大会の勝利インタビューで、錦織圭選手がこの make を使っていました。このまま勝ち上がって間近に控える「ATP World Tour Finals in London の出場権を獲得したい」ということを、英語で次のように語っていたのです。

I wanna make London.

wanna は want to の短縮形で、カジュアルな雰囲気で使う口語表現です。書き言葉では使わないようにしましょう。London は地名ですが、文脈が明らかな場合には ATP World Tour Finals を言わなくても十分通じます。

この「~を成し遂げる」を意味するmake の用法を念頭に置くと、次の英文も make を使って書き換えられることが分かりますね。

彼はウィンブルドン選手権への出場資格の獲得を目指している。

He is aiming to qualify for the Championships, Wimbledon.

makeを使って「省エネ英語」にすると、次のように言えます。

He is aiming to make Wimbledon.

テニス4大大会の一つである「ウィンブルドン選手権」は、通常このように単に Wimbledon と言います。

次のビジネスに関わる文は、どのような英語にできるでしょうか?

プロジェクトが成功するか失敗するかは、パートナーにかかっている。

「成功する」に succeed、「失敗する」に fail を使うと、次のような英文になります。

Whether a project succeeds or fails depends upon your partner.

この文で make or break を使うと、よりシンプルな英文が書けます。

Your partner makes or breaks a project.

make or break は「~を成功させるか駄目にするかする、~の命運を左右する」という意味の成句です。もう一つ例文を見てみましょう。

このアルバムが(ヒットするか否かによって)、バンドの命運を分けるだろう。

This album will make or break the band’s career.

「間に合う」を意味する make

「~できる」という意味の派生として、「間に合う」にも make が使われます。

「締め切りに間に合う」をどう表せるか考えてみましょう。まずは、動詞の meet を使う言い方です。

私たちは締め切りに間に合わせることができた。

We were able to meet the deadline.

make について見る前に、「~できた」の英訳に注目してください。「~できた」に対して、機械的に could を当てはめないように注意しましょう。実は、「できた≠ could」の場合が多いのです。例えば上記の文で were able to の代わりに could を用いると、何かの条件が整っていれば「できただろう・できたかもしれない」と読めてしまいます。

We could meet the deadline.

私たちは締め切りに間に合わせることができただろう(もっと時間があれば?)。

つまり、機械的に「できた」をcouldに変換すると、書き手・話し手の意図とは反対に、読む・聞く人は「実際にできたのかよく分からない」という、もやもや感を持ってしまうのです。was able to を使えば、この問題はありません。しかしここでも、「できた(間に合った)」は made の1語で表現できます。

次のように、made the deadline は、単純に事実を述べて、「できた」を明快に表現する言い方です。

We made the deadline.

納期」以外にもさまざまな「間に合う」場面で make が活躍します。飛行機で乗り継ぎするとき、空港の長い廊下を走ってゲートに駆け付けた経験はありますか。次の文は、ぎりぎり乗れたときの表現です。

(飛行機に)ぎりぎり間に合った。

I barely made the flight.

I barely made it to the flight.

flight の他に train や bus も使えます。そして息を切らせて座席に着いたら、こう叫びましょう。

やった!

I made it!

「参加できる、都合がつく」の make it

make it は口語で頻繁に登場する表現です。it は特定の何かではなく、漠然と「できる」状況を指します。そのため、イベントなどに「参加できる、都合がつく」ということを表せます。

行けるよ!大丈夫!

I can make it.

具体的に何に参加するのか、何の都合がつくのかを言いたいときは、make it to の後に dinner / party / movie / concert などの名詞を続けます。

そのイベントに参加できます。

I can make it to the event.

否定形にすれば、「参加できない」の意味になります。

新年会に行けない。

I can’t make it to the New Year’s party.

今回紹介した日本語の例文では、「できる」「果たす」「選ばれる」「獲得する」「間に合う」「参加する」「都合がつく」などさまざまな動詞が使われていました。それに対して、英語ではこれら全てを動詞の make で表現できました。

make のコア・ミーニング(核となる意味)を理解し、パンチの利いた「省エネ英語」を試してみてください。You can make it!

次回の「省エネ英単語」もお楽しみに!

遠田和子さんの著書・翻訳書

最新刊『究極の英語ライティング』(研究社)では、明快で簡潔な英語を書くコツを遠田さんが解説しています。

究極の英語ライティング

究極の英語ライティング

  • 作者: 遠田和子,岩渕デボラ(英文校閲)
  • 出版社/メーカー: 研究社
  • 発売日: 2018/09/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 
Google 英文ライティング: 英語がどんどん書けるようになる本

Google 英文ライティング: 英語がどんどん書けるようになる本

 
ルドルフとイッパイアッテナ Rudolf and Ippai Attena (KODANSHA ENGLISH LIBRARY)

ルドルフとイッパイアッテナ Rudolf and Ippai Attena (KODANSHA ENGLISH LIBRARY)

 

遠田和子

文:遠田和子(えんだ かずこ)

日英翻訳者、ライター。著書に『究極の英語ライティング』(研究社)、『Google 英文ライティング』『英語「なるほど!」ライティング』(共に講談社インターナショナル)、『あいさつ・あいづち・あいきょうで3倍話せる英会話』(講談社、共著)などがある。訳書は『Love from the Depths ― The Story of Tomihiro Hoshino』(立風書房)、『Rudolf and Ippai Attena』(講談社、共訳)など。http://www.wordsmyth.jp

編集:GOTCHA!編集部