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好きな日本語「癒やされる」は、英語に当てはまる言葉がない!

好きな日本語「癒やされる」は、英語に当てはまる言葉がない!

日本に住んで18年。北九州市立大学准教授であり、言語学者でもあるアメリカ人のアンちゃんの、電子書籍第2弾、『即使える「病院英語」ハンドブック』が11月15日にリリースされました!この発売を記念して、アンちゃんのスペシャルインタビューの2回目をお届けします。

『即使える「病院英語」ハンドブック』は海外旅行の強い味方!

海外旅行で体調を崩したら、自分の症状を英語で説明できますか?身近な病気で最低限覚えておきたい英単語、病院でそのまま使える英会話フレーズ他、読み物としても楽しめる、病気にまつわるコラムも紹介します。

好きな言葉は何ですか?

日本語で好きな言葉は「癒やされる」「ありがたい」

好きな言葉はたくさんありますよ。意味と響きに分かれてるね。意味で好きな言葉は「癒やされる」。癒やされるという言葉は英語に当てはまるものがないの。「自然に癒やされる」とか。「感謝」とか「ありがたい」という言葉もすごく好き。

友達が教えてくれたんだけど、「ありがたい」の反対は何だと思う?答えは「当たり前」。当たり前と思っていれば、感謝の気持ちがなくなるから、ありがたいの反対は当たり前なの。それを聞いてすごく感動した。

日本は「感謝の気持ちを持ちなさい」「感謝の気持ちが足りない」とかよく言いますね。それがすごく良いと思う。何ごとも当たり前と思わずに、とにかく感謝して、ありがとうと言ったほうが良いなと思った。

日本語の「散りばめられる」「夏季休暇」は音の響きが好き

「散りばめられる」とか「夏季休暇」の音の響きが大好き。夏季休暇は、「すみませーん、夏季休暇取りたいんですけど」って言いたいがために夏季休暇を取ったんよ。舌をかみそうな早口言葉みたいだから気に入っている。「行き当たりばったり」や「福袋」「老若男女」など日本語の響きがすごく好きだね。

大学生に英語を教えていて難しいと思うことはありますか?

英語で説得力のあるプレゼンができる生徒を育てたい

文法にこだわり過ぎずに積極的に英語を話してもらいたい

私、工学部で5つの学科を教えている。学生たちは真面目でとてもすてきです。でも、理系だからかもしれないけど、あまり積極的に話そうとしない学生が多い。彼らには、もっと英語を楽しんでもらいたいから、「間違いを恐れず、積極的に話す学生は一番伸びる」と、いつも学生に言っている。英語のミスも楽しめばいいと思う。

「文法が大事なのか、会話が大事なのか?」という議論があるけれど、私は本当は両方大事だと思ってる。一番いいのは習った文法をすぐ使ってみること。「練習する機会がない」というのは、10年前、20年前ならそれが言い訳になったかもしれないけど、今は練習する機会はすごくたくさんある。大学に留学生もいるし、Skypeの英会話なんかもあるでしょう。だから積極的に話してほしい。しっかり意見を持って、それを言えるような学生になってほしい。

私の仕事は英語を教えることだけでなく、主張できる力を育てること

私の仕事は英語を教えることだけだと以前は思っていたけど、今は、考える力を与えること、主張ができるようにすることも含めて私の仕事と思ってる。だから、授業中は必要なところでは日本語を使ってる。英語だけで授業をすると、学生は理解できないところが出てきて大変だからね。

今はディスカッションとディベートの授業を教えてる。授業では日本語で意見を考えるところから始める。どうやって意見を持つか、どうやって意見を言うか、どうやって説得力のあるプレゼンテーションをするか。日本語でできないと英語でもできないね。だから最初は日本語でやって、次に英語で同じようにやると、最終的にはすごく立派な説得力のある英語のプレゼンができるようになる。その後のディスカッションは日本語でする。

学生の可能性は無限にあると思う。だって、入学時にはTOEIC平均が300点台でも、どんどん勉強していくと、頑張って500点台に上がる学生がいる。500点台はそれほど高いわけじゃないけど、最終的には説得力のあるプレゼンテーションが英語でできるようになってる。先生として、学生が「知りたい、調べたい」という気持ちにさせること、考えさせるように刺激を与えたら学生は何でもできると思う。

英語を学習する読者にアドバイスをいただけますか?

言葉と人生の楽しさは絶対につながってる

失敗すると恥ずかしいけど、「失敗は成功のもと」

大きく失敗すると成長すると思うね。以前、マスターカードのCMで「〇〇、プライスレス」というのがあって、「計り知れない価値がある」という意味なんだけど、日本語訳を間違えて友達に「あなたは価値がない」と言ってしまったことがあってね。そんなことを言ってしまったら、もう二度とそんな間違いはしないよね。それはすごくいい思い出になった。

失敗すると恥ずかしいけど、「失敗は成功のもと」っていうことわざもあるよね。人間は失敗と仲良くしたほうが良いと思うね。それは多分日本人が苦手なことでもあるよ。私も計り知れないくらい日本語のミスはしてきたけど、全部ブログのネタになっているし、全部勉強のもとになっている。

言葉と人生の楽しさは絶対につながってると思う

日本に来て4カ月ぐらい経ったとき、ホームステイ先からマンションに住み始めた。引っ越しのあいさつをしに行こうと思って、洗剤を買って「つまらないものですが、つまらないものですが…」って練習したの。いざ行ってみると、「誰?」って聞かれたの。想定していない質問だったから、どういうふうに答えたら良いか分からなかった。考えて、考えて、何か言わなきゃいけないと思ったんだけど分からなくて、結局「外人です」って言っちゃったんだよね。

自分が言いたいことが言えないとすごくモヤモヤするでしょう。すごく気持ち悪い。やっぱりコミュニケーションは大事だね。それから日本語を勉強し始めて、同時に人生が楽しくなったって感じ。言葉と人生の楽しさは絶対につながってるなと思う。

英語が苦手でも、好きならなんとかなる

好きじゃないことは絶対続かないでしょう。私の学生のほとんどは英語が好きじゃないね。工学部でみんな理系だから。最初の授業で「英語が嫌いな人、手を挙げてください」と言うんだけど、半分以上が手を挙げるね。これは相当なチャレンジだよ。「この授業が終わるまでには絶対好きになってるよ!」と言ってる。好きになったら話せるようになると思うね。「好き」がベースだね。

自分が好きなことを英語でするのが一番いいと思う。私、カラオケや音楽が大好きで、カラオケで日本語を習った。Kiroroが大好きで、毎週カラオケで Kiroroの バラードを全部歌って、どんどん漢字が読めるようになって、発音も上手になった。

例えば、料理が好きなら英語のレシピを見ながら作るとか、映画が好きだったら、英語音声と英語字幕で映画を見るとか。

できることと好きなこともつながっている

私、料理がずっと嫌いだった。嫌いだったから、もう、「せんでいい」と思っていて、ずっとしなかった。友達に教えてもらって、ちょっとだけできるようになったら好きになった。好きになって、できるようになったね。できないことは楽しくないよね。

できることと好きになることはすごくつながっていると思う。ちょっとできるようになったら「これ楽しい!」と思うでしょう。英語には英語の楽しさや、ゴールも必要。なんでこの言葉を勉強するのかというゴールがないと、やりたくないよね。ただテストや単位のためだったらそんなに一生懸命勉強できないけど、いつか留学したいとか字幕無しで映画を見られるようになりたいとかいうゴールを設定したら、実現に向けて楽しく頑張れると思います。

アン・クレシーニ

文:アン・クレシーニ Facebook
アメリカ生まれ。福岡県宗像市に住み、北九州市立大学で和製英語と外来語について研究している。自身で発見した日本の面白いことを、博多弁と英語で綴る「アンちゃんから見るニッポン」も更新中!

編集:増尾美恵子