not to doとto not doの違い。ポイントを絞ってやさしく解説【3分で分かる英文法】

TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。最終回の今回は、not to do(不定詞の否定形)とto not do(分離不定詞)の違いについてです。ネイティブの間でも意見が分かれるこの問題。必ず押さえておきたい内容です。

not to doとto not doの違い

こんにちは。トイグルの田邉です。

英語には、「・・・すること」や「・・・するために」の意味を表す、to不定詞と呼ばれる用法があります。to不定詞は特殊なものではなく、日常英会話でもよく使います。仕組みを知ることで、より多彩な英語表現ができるようになるでしょう。

ただ、to不定詞を使う場面で、否定の内容を表したいことがあるでしょう。そのとき、否定を表す副詞notを、どの位置に使うかが問題になります。

そこで、この記事では、to不定詞を否定にする方法について説明していきます。市販の教科書には載っていないような、生きた英語の知識を盛り込んでいます。ぜひ、最後までご覧ください。

to不定詞の否定はnot to doとするのが普通

to不定詞を否定にする場合、notをtoの前に置いてnot to doの形にするのか、それともtoの後ろにおいてto not doの形にするのか、ネイティブスピーカーの間でも、判断が分かれます。

英文法に関する規範的な考え方を元にすれば、notはtoの前に置くのがよいとされます。次の英文を見てみましょう。

He decided not to attend the meeting.
(彼は会議に出席しないことを決めた)

ここでは、彼が会議に出席しないことを決めたと述べられています。notをtoの前に置くことで、「会議に出席すること」を否定にしています。英文の構造を表すと、次のようになります。

He decided [not to attend the meeting].

もし、英会話や英作文をするにあたって、to不定詞に対するnotの位置で迷ったら、取りあえずtoの前に置いておけば間違いありません

くだけた文体ではto not doとすることも可能

ただ、上のような考え方に反して、notがtoの後ろに置かれることがあります。次の例文をご覧ください。

He decided to not attend the meeting.
(彼は会議に出席しないことを決めた)

notの位置が変わり、toの後ろに置かれています。規範的な文ではありませんが、比較的くだけた文体では、このような形で用いられることもあります。

通例、notの位置が変わっても意味は同じです。上の例文は、最初の例文と同じく、会議に出席しないことについて述べられています。

分離不定詞はtoと動詞の間に副詞を挿入する用法

なぜ、notをtoの後に入れることができるのでしょうか。この使い方の鍵となるのが、分離不定詞です。これは、副詞(先ほどの場合はnot)をto不定詞の後ろに入れる用法を指します。

notとは別の副詞で、分離不定詞が使われている例を見てみましょう。

She decided to carefully examine the evidence.
(彼女はその証拠を注意深く調べることに決めた)

副詞carefully(注意深く)が、toの後ろに置かれていることが分かります。

分離不定詞はかつて、誤った英文の作り方として批判の対象になりました。現代でも、積極的に用いるのは避けたほうが無難です。

ただし、英語の実際の用法として、分離不定詞が使われることはしばしばあります。良し悪しは別として、こうした用法があることを知っておくことは、リスニングやリーディングなど、英文をインプットする際に役立つでしょう。

まとめ

この記事では、to不定詞を否定にする方法について、分離不定詞の考え方も紹介しながら、説明しました。

内容をまとめると次のようになります。

  • to不定詞の否定はnot to doとするのが一般的
  • くだけた文体ではto not doとすることも可能
  • 分離不定詞はtoと動詞の間に副詞を入れる用法

ぜひとも、参考にしてくださいね。

「3分で分かる英文法」目次

第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い

英語力が伸び悩んでいる人にはこちらもおすすめ

英語力が上達しない5つの原因と解決法、早口な英語が聞き取れるようになる3つのポイント、スペリングを簡単に覚えられる3つの方法などを、田邉竜彦さんが解説します。

田邉竜彦(たなべ・たつひこ)
田邉竜彦(たなべ・たつひこ)

英語教師。月間40万人に読まれる英語学習メディア『トイグル』を運営。TOEICR対策特化型スクール『トイグル』代表。マンツーマン講座とセミナーで社会人を中心に200名以上の英語学習をサポート。英ストラスクライド大学大学院経営学修士(MBA)、英ウォリック大学大学院英語教授法修士。

SERIES連載

2024 04
NEW BOOK
おすすめ新刊
観光客を助ける英会話
詳しく見る
メルマガ登録