「依頼」を意味するWill you ~?とCan you ~?の違い。ニュアンスなどをやさしく解説【3分で分かる英文法】

TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第6回は、「~してくれますか?」を意味するWill you ~ ?とCan you ~ ?の違いです。使い方を間違うと、相手をムッとさせてしまうことも!?その微妙なニュアンスの違いを紹介します。

Will you ~?とCan you ~?の違い

こんにちは。トイグルの田邉です。

相手に何かを依頼する表現に、Will you ~? Can you ~? があります。日本語に訳すと、いずれも「~してくれますか?」なので、違いがいまいち分からない、と感じる方も多いでしょう。

Can you ~ ?は友だち同士でよく使われる表現です。一方、Will you ~?は、依頼の意味はあるものの、どちらかというと「指示・命令」といった、高圧的なニュアンスになります。そのため、上司や顧客に対してWill you ~?を使ってしまうと、上から目線な言い方で、関係性を崩してしまうことになりかねません。

私は英語教師をしていますが、Will you ~?の正しい使い方を知らず、恥をかいてしまった日本人をたくさん見てきました。

そこで、この記事ではWill you ~?とCan you ~?の違いを解説します。正しく使い分けられることで、あなたの英語はよりいっそう、説得力のあるものになるはずです。ぜひ最後までご覧ください!

Will you ~?は指示や命令を表す

はじめに、Will you~?の使い方から、見ていきましょう。

willは未来を表す助動詞です。話し手が「確実に起こるだろう」と思っていることに使われます。そのため、Will you~?のように疑問文にすると、「相手にそれを確実にさせる」ということから、高圧的なニュアンスになります。例を見てみましょう。

Will you clean the room?
(部屋を掃除してくれますか?)

話し手は聞き手に対し、部屋を掃除するよう求めています。日本語訳では単なる依頼のように見えますが、英語のニュアンスでは命令的です。話し手のいらだちが感じられると言っても良いでしょう。

Will you ~?を使った文は、より直接的に命令を表すことがあります。例を見てみましょう。

Will you do as I say?
(言ったとおりにしてますか?)

話し手は聞き手に対し、言われたことをするよう命令しています。これを言われたら、聞き手は話し手の要求をのまざるを得ないでしょう。

なお、willには単純未来を表す用法もあります。この場合、指示や命令のニュアンスにはなりません。例えば、次のような場合です。

Will you be at home this evening?
(今晩ご在宅でしょうか?)

ただし、この用法のwillを疑問文で使うことは、頻度としてはそれほど高くありません。

日本語母語話者の場合、単純未来を表すと思ってWill you ~?を使ったものの、相手には指示・命令の意味に聞こえてしまい、ムッとさせてしまう・・・といったことがあります。

したがって、ケース・バイ・ケースではあるものの、Will you ~?の使用には慎重になるとよいでしょう。

Can you ~?は親しい相手への依頼を表す

canは「~できる」を表す助動詞です。ここから、Can you ~?を用いることで、相手への依頼を示すことができます。例を見てみましょう。

Can you tell us about that?
(それについて私たちに教えてくれますか?)

話し手は聞き手に、情報を教えてくれるよう求めています。Can you ~?は、どちらかというとカジュアルな表現です。そのため、話し手と聞き手が顔なじみのような関係性で使われます。

丁寧に依頼したい場合は、Could you ~?を使うことができます。先ほどの例文を比較してみましょう。

Can you tell us about that?
(それについて教えてくれますか?)

Could you tell us about that?
(それについて教えてくださいますか?)

couldはcanの過去形ですが、過去形と言っても時間的な過去ではなく、ここでは相手との距離感を示します。つまり、Could you ~?を使うと相手に配慮した形になるので、結果的に丁寧さが増すことになります。

Can you ~?とCould you ~?で迷ったら、Could you ~?を使うようにしましょう。そうすれば、コミュニケーション上のエラーは防げるはずです。

まとめ

この記事では、英語のWill you ~?とCan you ~?の違いについて、説明しました。一見すると似た表現ですが、どのように使い分ければいいか、お分かりいただけたと思います。

この記事の詳細は、トイグルのウェブサイト「英語の助動詞willとは?ポイントは『意志未来×習性×単純未来』を区別すること」と「助動詞canの使い方!ポイントは『能力×自由×疑い』の意味を理解すること」でもご覧いただけます。

「3分で分かる英文法」記事一覧

第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い

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田邉竜彦(たなべ・たつひこ)
田邉竜彦(たなべ・たつひこ)

英語教師。月間40万人に読まれる英語学習メディア『トイグル』を運営。TOEICR対策特化型スクール『トイグル』代表。マンツーマン講座とセミナーで社会人を中心に200名以上の英語学習をサポート。英ストラスクライド大学大学院経営学修士(MBA)、英ウォリック大学大学院英語教授法修士。

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