EJロングラン連載の著者、ケイ・ヘザリさんにインタビュー!外国語学習を続けるこつとは?

月刊誌『ENGLISH JOURNAL』で18年近く連載された人気コーナー「Tea Time Talk」が、このたび書籍化されました。著者は、長い間日本で翻訳家や大学講師として活躍し、現在は生まれ故郷のアメリカ、テキサス州で暮らすケイ・ヘザリさん。英語を学ぶ多くの人々から支持されてきた、読みやすいのに奥深く、表現力豊かな文章の書き手であるヘザリさんに、執筆や外国語学習にまつわる質問に答えていただきました。

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EJ大人気コーナー、ファン待望の単行本に

月刊誌『ENGLISH JOURNAL』に連載された「Tea Time Talk」では、折々のトピックへの深い考察とともに、読書家、愛犬家、日本文化の愛好家など、ご自身のさまざまな面を見せてくれたケイ・ヘザリさん。EJの休刊とともに、ヘザリさんの連載も残念ながら終了してしまいましたが、連載をまとめた単行本『英語で珠玉のエッセイ』が、1月26日に発売されました。

前回の記事では、本書の内容を中面の画像やヘザリさんの朗読音声付きで紹介しています。

そして今回は、新刊の発売を機に、ヘザリさんに来日のいきさつやEJ連載時の環境の変化などについて、改めて伺ってみました。

日本の英語学習者との関わり

――What brought you to Japan in the first place?
(来日のそもそものきっかけは何だったのでしょう?)

I met a wonderful man, Professor Iwao Yamamoto, while studying at the University of Wisconsin. He was there on sabbatical from Ritsumeikan University, and we became friends. Thanks to his introduction, I was able to move to Kyoto and teach English at Ritsumeikan for two years.

ウィスコンシン大学で学んでいたときに、山本岩夫教授という素晴らしい人と出会ったのです。立命館大学からサバティカル(研究休暇)で来られていた山本先生と、そこで親しくなりました。先生の紹介のおかげで、京都に移り、2年間、立命館で英語を教えることができました。

――How did you get started writing essays for English learners?
(どんな経緯で、英語学習者に向けてエッセイを書き始めたのですか?)

As a guest on Professor Masaaki Ohsugi’s NHK Radio Eikaiwa program, I started writing “small talks” for the show comparing life in Japan and the U.S., later published as a book series called What’s New. When that program ended, NHK asked me to keep writing for the Eikaiwa monthly textbook.

大杉正明先生のNHK番組「ラジオ英会話」のゲストとして、日本とアメリカの生活を比較した「スモールトーク」を番組用に書き始めたのですが、それが後に『What's New』という書籍シリーズとして出版されました。(大杉先生の)番組が終わってからも、NHKから「英会話」の月刊テキストに引き続き執筆してほしいと依頼されました。

NHKのテキストに連載されていたエッセイは、後に『American Pie』『Kitchen Table Talk』などの書籍として出版されています。NHKのテキストやこれらの書籍でヘザリさんを知った人も多いことでしょう。

そして2005年、月刊誌『ENGLISH JOURNAL』での連載「Tea Time Talk」がスタート。この連載は、2023年1月号(最終号)まで約18年にわたり、214回(!)休みなく続くことになります。この長期連載を振り返る質問もしてみました。

EJ連載中の環境の変化

――Over your nearly 18 years of writing essays for English Journal, did you see any changes in your writing?
(18年近くEnglish Journalのエッセイを執筆する中で、ご自分の文章に何か変化が見られましたか?)

What changed the essays most was moving from Tokyo to Texas in 2006. That impacted the content significantly. I wrote mainly about Japan and cultural differences while living in Tokyo and the first few years back in Texas, but gradually the focus shifted more to life in the U.S.

エッセイが変わることになった最大の要因は、2006年に東京からテキサスへ移ったことです。それが内容にかなりの影響を与えました。東京に住んでいた頃と、テキサスに戻ってから最初の数年間は、日本のことや文化の違いについて主に書いていましたが、徐々にアメリカでの生活へと、より焦点が移っていきました。

ヘザリさんの最新刊『英語で珠玉のエッセイ』のPreface(はじめに)には、新型コロナウィルスの大流行とロックダウン生活が、エッセイの内容にも影を落としている、というくだりがあります。執筆の場所が変わり、そして2020年以降、社会や生活が大きく変わる中で、エッセイの題材も変化していったのですね。

実は、『英語で珠玉のエッセイ』にも、「教えて!ヘザリさん」という質問コーナーがあり、執筆その他についていろいろと伺っています。その中から、2つのQ&Aをご紹介します。

――What are you most careful about in writing?
(書くときに最も気を付けていることは?)

What I value most is clear, simple language. I love the editing process, getting rid of clunky phrases or sentences and cutting unnecessary words. Reading the final draft aloud is important because you can hear anything that sounds awkward or repetitive. I like my writing to sound like my voice.

最も大切にしているのは、明快で簡単な言葉を使うことです。ぎこちないフレーズや文を消したり、不必要な単語を取り除いたりする編集の過程がすごく好きです。最後の段階で原稿を声に出して読み上げるのが重要です。格好悪く聞こえたり、繰り返しているように聞こえたりする部分が耳でわかりますからね。文章が私の声のように聞こえるといいな、と思っています。

――Tell us about the place you recorded your monthly reading for English Journal.
(English Journal用に毎月朗読を録音していた場所について教えてください)

Pre-pandemic, I recorded at Fire Station Studios, a local studio affiliated with Texas State University. After we all began working from home, I started recording my columns from my living room armchair, using QuickTime Player on my MacBook. If the dogs made a noise or the birds chirped too loud outside, I had to start over.

パンデミックの前は、ファイヤーステーション・スタジオという、テキサス州立大学と提携した地元のスタジオで録音していました。みんなが在宅勤務をするようになってからは、自宅の居間のアームチェアで、マックブックのクイックタイム・プレーヤーを使って録音するようになりました。犬が物音を立てたり、外の鳥のさえずりがうるさ過ぎたりしたら、最初から録り直さなければなりませんでした。

2020年以降は、文章の題材だけでなく音声収録の方法も、大きな変化を余儀なくされたのですね。写真は、2017年、ファイヤーステーション・スタジオでの収録風景です。

最後に、日本語に堪能なヘザリさんに、アメリカ暮らしの中でどのようにして日本語力を維持しているのかについて、また、日本で英語を学ぶ人に伝えたいことについて、伺いました。

外国語学習との付き合い方

――How are you currently keeping your Japanese up?
(現在はどのようにして日本語力を維持していますか?)

I stream a lot of Japanese movies and try to read at least a page a day, but I have to say it’s a struggle! Living in Japan was a paradise for learning Japanese, but now I have to rely only on self-motivation and that goes up and down.

日本映画をネット配信でたくさん見て、1日に少なくとも1ページは読書するようにしていますが、苦戦中と言わざるを得ません!日本暮らしは日本語を学ぶには理想の環境でしたが、今は自分のやる気に頼るしかなく、それは浮き沈みがあるので。

――Could you give a message to those now learning English here in Japan?
(日本で今、英語を学習中の方々にメッセージをいただけますか?)

It’s all about doing a little every day and finding whatever motivates you to keep going. That might be singing in English, taking lessons, watching movies, doing a language exchange or reading (my essays, I hope!). If it gets boring, try something new and never give up!

結局、毎日少しずつやること、そして、なんでもいいので継続意欲を生むものを見つけることに尽きます。それは、英語で歌うことかもしれないし、レッスンを受けること、映画を見ること、ランゲージ・エクスチェンジ(母語が異なる者同士の言語の教え合い)をすること、あるいは読書(私のエッセイだといいですが!)かもしれません。もし飽きてきたら、何か新しいことをやってみて、決して投げ出さないことです!

すきま時間に英語学習&ほっこり気分を

いかがでしたか?ヘザリさんでも日本語学習の継続に苦心している、というお話には、励まされた人も多いかもしれません。

やさしい英語で書かれた楽しく読めるヘザリさんのエッセイは、学習継続の強い味方になってくれるはず。それぞれ400語強の長さで、短時間で1編読み切ることができるので、すきま時間の英語学習にもぴったりです。ぜひチェックしてみてください。

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ケイ・へザリ(Kay Hetherly)
ケイ・へザリ(Kay Hetherly)

アメリカ、テキサス州在住。通算17年、日本で暮らし、その間、大学講師や翻訳家などとして活躍。著書に『American Pie』『Kitchen Table Talk』(ともにNHK出版)、『ケイ・へザリのTea Time Talk』(アルク)などがある。月刊誌ENGLISH JOURNAL(アルク)で、2005年4月号から2023年1月号まで連載エッセイ「Tea Time Talk」を執筆。

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