義務を表すmustとhave toの違い。3つのポイントに絞ってやさしく解説【3分で分かる英文法】

TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。第3回は、「義務」を表すmustとhave toの違いです。ニュアンスが異なる二つの表現を誤って使うと、相手をむっとさせたり、場合によっては関係性を壊してしまったりすることもあるといいます。その微妙なニュアンスの違いを紹介します。

mustとhave toの違い

こんにちは。トイグルの田邉です。

英語を学んでいて、意外に見落としがちなのが、mustとhave toの違いです。これらはいずれも「~しなければならない」の意味ですが、微妙にニュアンスが異なります

もし、誤って使ってしまえば、相手をむっとさせてしまったり、場合によって関係性を壊してしまったりすることもあるでしょう。

そこでこの記事では、mustとhave toの違いについて、3つのポイントに絞り分かりやすく説明します。使い分け方を知ることで、より円滑で効果的なコミュニケーションができるようになるでしょう。

違い1 主観的な義務はmust、客観的な義務はhave to

mustとhave toの1つ目の違いは、mustは「主観的」な義務に用いるのに対して、have toは「客観的」な義務に用いる点です。例文を見てみましょう。

I must stop drinking.
I have to stop drinking.
(お酒をやめなければなりません)

この2つの英文は、日本語訳こそ同じものの、ニュアンスが異なります。mustは「主観的」なので、話し手自身が「お酒をやめよう」と決意している感じがあります。一方、have toは「客観的」なので、例えば「医者にお酒をやめるよう言われた」など、外的な要因がそうさせている印象を受けます。

ところで、これらの例はいずれも、話し手が自分自身に対して言っている場面です。もし、あなたが他者に対して「~しなければならない」と言う状況であれば、mustとhave toのどちらが良いでしょうか?

ケースバイケースではあるものの、多くの場合、have toを使うほうが自然です。mustは主観的な義務の意味ゆえ、相手に強制している感じがして、場合によって威圧的に捉えられることもあるからです。主観的と客観的の違いを覚えておきましょう。

違い2 緊急の義務にはmust

mustとhave toの2つ目の違いは、mustは「緊急の義務」を表すのに使われる点です。例文を見てみましょう。

You must phone home at once. It’s urgent.
(すぐに家に電話してください。緊急です)
出典:ロングマン・アレクサンダー英文法

ここでは、次の文で「緊急です」と言われているように、電話がすぐに必要だと述べています。このような場合、have toよりmustが好まれます。

緊急の義務にはmustが良いと覚えておきましょう。

違い3 過去のことを表す場合はhave to

mustとhave toの3つ目の違いは、mustには過去形がないため、過去のことはhave to(had to)を用いるという文法的要因です。例文を見てみましょう。

We had to walk 5 kilometers to school.
(私たちは学校まで5キロも歩かなければならなかった)

ここでは、話し手が過去、学校に通うのに5キロ歩いていたと述べています。canとcouldのように、多くの助動詞には対応する過去形がありますが、mustには過去形がありません。そのため、過去を表すためには、had toを使用しなければならないのです。

なお、未来の義務を表すには、mustをそのまま使う場合と、will have toのように未来を表す法助動詞(話し手の心境について表す助動詞)willを使う場合があります。ただ、英語で法助動詞を2つ続けることはできないため、will mustのように言うことはできません。この辺りの使い方もあわせて覚えておきましょう。

まとめ

この記事では、英語のmustとhave toの違いについて、3つのポイントを紹介してきました。これらを正しく使い分けることで、自然な英語を話したり、書いたりすることができるでしょう。

この記事の詳細は、トイグルのウェブサイト「英語のhave toの使い方!have got toとの違いもわかりやすく解説!」でご覧いただけます。

「3分で分かる英文法」目次

第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い

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田邉竜彦(たなべ・たつひこ)
田邉竜彦(たなべ・たつひこ)

英語教師。月間40万人に読まれる英語学習メディア『トイグル』を運営。TOEICR対策特化型スクール『トイグル』代表。マンツーマン講座とセミナーで社会人を中心に200名以上の英語学習をサポート。英ストラスクライド大学大学院経営学修士(MBA)、英ウォリック大学大学院英語教授法修士。

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