TOEIC満点 取得 者であるJay(ジェイ)こと早川幸治さんの連載「3カ月でTOEIC200点アップ特訓法」。早川さんの豊富な受験経験から、最も効率的な対策法をTOEICスコア別に分けて伝授します!第4回は3カ月で500→700点アップを目指すための「TOEIC学習の質を高める解き方のイノベーション」について紹介します。
前回の「 TOEIC500点台における停滞の原因とその脱却法 」では、スコアの停滞が起こりやすいのが500点から600点をお持ちの方だとお伝えしました。「正解数は安定してきたけれど、成長が止まってしまった」という方もこのタイプに入ります。
停滞の 原因 は主に2つありました。それは、「 基礎力の穴 」と「 解答テクニック志向 」でした。その解決策として、停滞を抜け出すためのトレーニングをご紹介しました。
今回は前回の続編として、「 問題を解く際の 基準 の転換 」と「 上達させるための教材の使い方 」に関する内容です。
TOEIC学習における「質」とは?
何かを上達させる上で必ずと言っていいほど議論に挙がるのが「量か質か」です。TOEICの学習でいうと、 量というのは「解いた問題数」や「学習した時間」のこと です。では、TOEICの学習における「質」とはなんでしょうか。
別の例で考えるとわかりやすいかもしれません。例えば、運転で考えてみましょう。運転の量とは、運転の時間や頻度です。圧倒的に運転の量をこなしているのはタクシーの運転手さんです。ところが、タクシーの運転手さんは全員運転が上手かというと、そういうわけでもなさそうです。時々荒い運転をされる方もいらっしゃいます。一方で、感動するほどスムーズな運転をされる運転手さんもいらっしゃいます。これは量の違いではなく、「質の違い」といえます。この 質の違いとは「 基準 」の違い なのです。
つまり、 TOEICの学習における質とは、「 基準 」 です。Aさんという学習者がいるとします。このAさんの 基準 が「正解を出せればいい」という場合の学習と、「内容を理解できるようになりたい」という場合の学習では、同じ学習量をこなすとしても、おそらく学習の質が変わります。
前者は「答え探し」を追求する学習となり、後者は「内容理解」を追求する学習となります。当然、それぞれの延長線上にある結果は異なるものになるでしょう。
内容理解力を高める「解き方のイノベーション」
前回 は、解答練習後に「内容理解」を高める音読トレーニングをご紹介しました。今回は、題して「 解き方のイノベーション 」です。大それたネーミングですが、やることはシンプルです。
それは、「 内容を理解できている かどうか をチェックするための解き方 」に挑戦してみるということ。おそらく、現在のPart 3/4の解き方は、「設問を 先に 読んでから会話/トークを聞きながら答えを特定する」というやり方だと思いますし、Part 7でも「設問を 先に 読んでから本文を読んで答えを探す」というやり方だと思います。いわゆる「設問の先読み」と呼ばれるものです。
テスト本番はそのやり方でまったく問題ありません。しかし、これは「正解を出せればいい」という「答え探し」的なアプローチです。その結果、「正解か不正解か」だけで 判断する ことになります。これでは、「解けた かどうか 」はわかりますが、「聞く力」や「読む力」を伸ばすことはできません。
そこで「解き方のイノベーション」です。 練習において、Part 3/4は設問を 先に 読まずに会話/トークを聞いてください 。そして、聞き終わってから設問に取り組んでください。また、Part 7においても本文を 先に 読んでから設問に取り組んでください。
つまり、何の変哲もない「 普通に聞く/読む 」という方法です。Part 3/4は内容を思い出して解答する形ですが、リーディングは記憶できなくても問題ありません。どの辺りに情報があったかさえ思い出せれば、 すぐに 本文を確認することができます。まさに「内容理解」を 基準 としたアプローチです。
実際に本文から取り組んでみると、手応えは2つに分かれます。
「あれ、意外とやりやすい!」
「うわ、全然思い出せない・・・」
「やりやすい!」と感じた方、おめでとうございます!あなたのスコアを停滞させているのは、「答え探し」をしていたことです。3問セットのPart 3/4で、1問目に悩んでしまうと2問目と3問目も道連れになってしまうという方は、 内容理解を 優先する こと で解決します。
練習では、先読みなしで取り組んでみてください。聞けたものや読めたものは、比較的スムーズに正解することができるはずです。逆に内容を理解できなかったものは、易しい問題であっても思い出せないことに気付くでしょう。
内容の理解度を高めるために必要なトレーニングは、 前回 お伝えしたものです。「設問の先読み」をせずに解答をすることで、しっかりとストーリーを聞くようになります。そして、解答後にトレーニングをすることで、ストーリーの流れを聞き取る力を伸ばすことができます。
「全然思い出せない・・・」と感じた方も、おめでとうございます!その気付きによって、停滞を止めることができます。ここからの学習は「正解か不正解か」という 基準 ではなく、「内容理解」を 基準 にしてください。
練習においては、一時的に正解数が下がると思います。でも、 安心 してください。高くジャンプするには、一度かがんだり、後ろに下がって助走したりすることが必要ですよね。TOEICの学習も同じです。正解数が下がることは、かがんだ状態です。そこでの努力がジャンプの高さへとつながります。
テスト本番まで時間がある方は、以上の 取り組み で内容理解の精度を高めることをおすすめします。その後、テスト本番で確実に正解を出せるように、「設問の先読み」などを活用するための練習をしてください。この時点で 解答テクニックを戻していきます 。これは直前1週間でも遅くありません。
「テクニック」と言っても、「裏技」ではありません。不当にスコアを高めるテクニックというのは存在しません。あくまで 実力をサポートするために使う戦術 です。実力が伸びれば、解答テクニックの質も比例して高まります。
効果を最大化するための教材活用法
今回ご紹介した 取り組み の効果を最大化するためにおすすめの教材は、パート別対策の教材です。特におすすめなのが「 究極のゼミ 」シリーズです。
「分厚い!」
そう、「究極のゼミ」シリーズは分厚いのです。分厚さの理由の一つは、 量をこなすため 。そして、もうひとつが 「型」を身に付けるため です。同じタイプの会話やトーク、また文書を学ぶことで、「ストーリーの型」が身に付きます。これが内容理解に大きなプラスとなります。
さらに、もう一つの効果があります。それは、 スキルの積み上げができる ことです。薄い教材の場合、復習するにはすでに学習した個所に戻る必要があります。一度学習したところを再度確認するため、少しずつ知識を塗り重ねていく「漆塗り型」の復習です。
これに対して、分厚い教材の場合は、漆塗り型の復習もできる一方で、すでに学習した内容がこれから学習する部分にも登場するのです。そのため、ページを進めて 新しいことを学びながら復習もできる「積み上げ型」 となるのです。
パート別対策教材においても、「設問の先読み」をせずに挑戦して、どの程度内容を理解できるかを確認してください(たとえ、「設問を 先に 読んで取り組もう!」と書いてあっても、今回は無視してOK!)。その後、トレーニングを通してスキルを高めます。
各パートの学習が終わったら、以下のように模試教材の該当パートに取り組んでください。そうすることで、身に付けたストーリーの流れを、ランダムに登場する本番でも使えるスキルになっている かどうか を確認するためです。
学習順序(例)
まとめ
スコアアップに至るスキルアップのためには、 「答え探し」ではなく「内容理解」を 基準 とすることが大切 です。設問の先読みをしないことで、一時的に正解数が下がる 可能性 があります。しかし、それは理解度が反映されているだけです。
この気付きを基にした学習は、とてつもなく効果を発揮します。「良薬は口に苦し」を採るか、「楽で上達を逃がし」を採るか。ぜひ、正解を選択してください。
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ニックネームはJay。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。企業研修講師として、英語を公用語化した企業はじめ、これまで全国の160社以上で研修を担当してきたほか、大学や高校でも教えている。セブ島留学プログラムも監修。TOEIC 990点(満点)、英検1級 取得 。豊富な受験経験から 傾向 を押さえた効率的な対策法が好評。著書多数。アルクの通信講座「 TOEIC(R) LISTENING AND READING TEST 完全攻略600点コース 」監修。
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