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インド英語やシンガポール英語、オーストラリア英語など多様な発音の「なまり」に対応するには?【同時通訳者の秘訣】

英語学習解決室

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回の相談は、「各国・地域の特徴的なアクセントの英語が聞き取れない」です。

相談:なまっている英語がさっぱり分からない

今回のご相談は、「さまざまな国や地域に特有のアクセントがある英語が全然聞き取れない」です。

▼「ナチュラルな速い英語が聞き取れない」の解決法はこちら↓

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どんななまりも制覇できる通訳者の秘訣を教えます

私も、通訳になって3年目に、通信事業者の研究所でIT通訳に挑戦した際、インド英語に初めて出合ったときのショックは、25年以上たった今でもよく覚えています。しかし、その後は、「インド人といえば小熊さんに任せれば大丈夫」とまで言われるようになりました。

もちろん、他にも、フランスなまり、スコットランドなまり、イタリアなまり、シンガポールなまり、オーストラリアなまり、ニュージランドなまりと、25年のキャリアの中で続々と各国・地域のなまりを制覇できるようになりました。その秘訣を、今回も惜しみなく書かせていただきますね。

最も重要なのは思い込みを変えること

まず、大原則からお伝えします。それは、自分で「分からない」という呪いをかけないということです。これは、どのなまりでも、共通でやってはいけないことなのです。

「分からない」と頭の中で唱えてしまうと、聞き取れるはずのものも聞き取れなくなります。これには「プラセボ効果」という、脳の指令力の強さが表れていると言えます。思い込んでしまうと、体がその通りに反応してしまうのです。

プラセボ効果とは、製薬会社が薬を新たに開発し、臨床試験を行う際に見られる現象に由来します。プラセボは偽薬という意味で、臨床試験では新薬の効果を検証するために、被験者(患者)を無作為にグループ分けし、一方に有効成分が入った新薬を、もう一方には有効成分が入ってない偽薬を投与します。これは、投薬されているものがどちらなのかが患者にも医師にも分からないように行うため、二重盲検といいます。

偽薬を投与された人たちは、有効な薬だと思って服薬することで、30パーセントから60パーセントに治療効果が出ると言われています。それくらい、マインドの思い込みには影響があるのです。

このように、英語のなまりについても、聞き取れないと自分に言い聞かせてしまうと、その通りになってしまいます。

「できる呪い」をかけてあげる

私自身も「英語ができない」という思いををずっと抱いていました。英検1級に合格した後でもです。通訳者として15年以上キャリアを積んでも、正直、「できない」と思い込んでいる節がありました。そのために、勉強は頑張れたのですが、通訳者としてのパフォーマンスがいつも安定しなかったのです。

なんとかしなければと、世界ナンバーワンのコーチ、アンソニー・ロビンズのセミナーで通訳をした際に、参加者と一緒に「英語ができない」という思い込みを取るワークをしました。

すると、帰国した途端に、常に指名が入るようになり、憧れていた国際会議の通訳もデビューし、官公庁の通訳でも大抜擢してもらい、どんどん通訳者としての依頼が殺到するようになりました。そして、一日に10件も依頼が来るようになり、立場が急変して、仕事を選べるようにまでなったのです。

これくらい、自分で「できない呪い」をかけないようにすることは大切です。

「できない」ではなく、どうか逆に「できる呪い」をかけてあげてください。I canを自分に言い聞かせるだけで、まずは「できるようになる」ための下地が整います。

それぞれのなまりのパターンを知る

次に大切なのが、なまりにはパターンがあるということです。自分が理解できるようになりたい、理解する必要があるなまりから、優先的にパターンを知っていきましょう。

例えば、各国の英語には次のような特徴があります。これらも踏まえて、徐々に慣れていきましょう。

【アメリカ】

・腹の底からジャズシンガーのように発声する。

・Rの音が巻き舌になる。

・wantがwannaのように、音がリンキングすることが多い。

・do、have、get、maketakeなどの基本動詞を多用したイディオムでの表現が多い。

 

【イギリス】

・やや鼻声で、胸式呼吸により口で発声していることが多く、発声方法が日本語に近い。

・語末などでRの音は発音されない。

・ちょっと遠回りな表現や、big wordと呼ばれる難しい単語を使うことも多い。

 

【オーストラリア】

・Good day mateが「ゲダイマイト」になるように、dayが「ダイ」になる。

・Rの音が「アー」と日本語的な発音になり、巻き舌にはならない。

 

【インド】

・東北弁に近い(私見ですが、ヒンズー語の映画を見る[聞く]と、一発で雰囲気がつかめると思います)。

・抑揚があまりなく、comfortは「コムフット」と発音する。

・とにかく早口。

 

【シンガポール】

・シングリッシュとも言われるくらいに特徴的。

provideが「ポパイ」になる(私も通訳中に「We ポパイ」と言われて、ポカーンとしたことがありました)。

・一番有名なのは、「かしこまりました」「分かりました」「できます」という場面で、「can」を連発する。

他にも、インターネットで「〇〇英語の特徴」などと検索すると、有用な情報がたくさん出てきます。インド英語イギリス英語など、必要なものを調べて一通り特徴をつかんでから、次に紹介する方法で練習してみましょう。

英語の多様ななまりをマスターする練習法

では、実際に私がそれぞれのなまりをどうやって克服したのかを紹介しますね。

まずは、YouTubeでそれぞれの英語を検索します。例えば、「how to speak with American accent」などのキーワードでの検索が有効です。そうするとたくさんの解説動画が出てきますので、その音声を聞きながらシャドーイング(音声のすぐ後について同じように声に出す練習)をしましょう。

自分で発音しようとすることで、音をより詳細なところまで聞くようになるので、聞き取れるようになります。

英語の初級者であれば、最初は聞くだけでも大丈夫です。中級者は、字幕を自動生成して、それを見ながらシャドーイングをしましょう。上級者は、字幕を見ないでシャドーイングをしましょう。

口で言おうとすると、必ず耳が音に集中して鍛えられますので、初級者でも、何度か聞いた後、できそうであれば自分で言ってみましょう。動画をフレーズや文ごとに区切って再生し、音声のリピート&アフター(区切り部分の音声を聞いてから音声を止め、口に出す練習)をして、最終的にはシャドーイングまで行います。

この方法で、さまざまななまりを完全にマスターできるでしょう。

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小熊弥生

文:小熊弥生 https://ameblo.jp/interpreteryayo/
株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

マインドブレークスルー英語:著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)