3分で測定!あなたの英語リーディング力

あなたは自分の英語力にどのくらい自信がありますか?新連載、イングリッシュ・ドクター西澤ロイの「英語健康診断」では、あなたの英語力をチェックして、英語の弱点を見つけることができます。英語に自信が持てるようになるよう、 改善 法をアドバイス。診断は無料です。さあ、さっそく調べてみましょう。英語健康診断スタート!

英語“視力”検査:リーディング力

英語がどれだけ読めているかをチェックしましょう。
まずは以下を読んでみてください。

I'm starved.
このような英語を見たときに、意味が分かる かどうか の1点だけで全てを 判断 してしまう人が少なくありません。意味が分からない場合にはダメ、もしくは自分には英語力が足りない・・・という具合にです。

そこで今回は、みなさんが上の英語をどれだけ読むことができているかの検査をしたいと思います。問題が5問ありますのでご回答ください。

Q1 上記の英語は「文」である。

A.はい
B.いいえ

Q2 主語は誰か?

A.私
B.彼
C.彼女
D.A~Cのどれでもない

Q3 ’m に関して 、省略をしないもともとの形は何か?

(   )

Q4 時制は何か?

A.過去形
B.現在 完了
C.受動態
D.A~Cのどれでもない

Q5 意味は何?

A.疲れている
B.走っている
C.喉が渇いている
D.A~Cのどれでもない

診断:解答と解説を見てみよう!

Q1 上記の英語は「文」である。

【答え】A.はい

解説

大切なのは、「I’m starved.」をなぜ「文」であると 判断 できたか、です。日本語の場合には「。」を付けることで文が終わりますが、英語の場合には「ピリオド(.)」を打ちますよね。「I’m starved.」はピリオドで終わっていますので、文だと 判断 できるわけです。

Q2 主語は誰か?
【答え】A.私

解説

Q2の主語は、もちろん「私」ですね。I - my - me のように活用する人称代名詞は、話し手が自分自身を指すときに使います。

Q3 ’m に関して 、省略をしないもともとの形は何か?
【答え】am

解説

そして、Q3の正解は「am」であり、「I’m」というのは「I am」が省略された形ですね。ご参考までに、ちょっと分かりづらいのが「’s」だったりします。「it’s」と書いてある場合には「it is」の場合もあれば「it has」の場合もあるからです(※この has は助動詞であり現在 完了 形になります)。

Q4 時制は何か?
【答え】C. 受動態

解説

Q4の正解は「C. 受動態」ですが、より正確に言えば、時制は現在形であり、受動態(受け身の形)になっています。

「A. 過去形」を選んだ方は、-ed が付いた starved という形を見て 判断 してしまったかもしれません。動詞に -ed が付くと「過去形」の場合もありますが、「過去分詞」の場合もあるのです。この文では、am という現在形の動詞(be動詞)が既にありますから、過去形ではありません。

今回の英文は「I am starved.」ですから、「be動詞+過去分詞」という形になっています。つまり、「受動態」が正解となります。 ちなみに 「B. 現在 完了 形」の場合には、「助動詞の have+過去分詞」にする必要がありますから「I have starved.」という形になります。

Q5 意味は何?
【答え】D. A~C のどれでもない

解説

答えは D です。動詞 starve は「飢える/飢えさせる」を表します。ですから「I’m starved.」は、文字通りには「私は飢えさせられた⇒私は飢えた」つまり、「おなかがすいた(I’m hungry.)」ことをやや大げさに表現している比喩表現なのです。

改善 ポイント:「意味」をつかむ以前に大事なこと"> 改善 ポイント:「意味」をつかむ以前に大事なこと

まず、最初の3問はきちんと正解できましたか。「英語は苦手」「全然分からない」などと思っている人であっても、Q1~3のような、 英語の基礎の基礎に当たる内容は既に知っているもの です。なお、勘違いや知識の抜けがあった場合でも大丈夫ですよ。次から間違えないように、今のうちに解消しておきましょう。

そしてキモとなるのが最後の2問です。4、5問目に不正解があった方や、当てずっぽうで正解した方、もしくは、正解できたものの100パーセントの自信はなかった方に、ぜひともお伝えしたいことがあります。

まず4問目(時制)で確認しているのは、 文法の理解 です。そして5問目(意味)が問うているのは、ボキャブラリーとして知っている かどうか です。多くの方が、4問目よりも5問目を重視するのではないかと思います。なぜなら5問目は、 文の意味が理解できる かどうか という大切なところだからです。でも、実際は4問目の文法 に関して 、苦手な人が多いです。

意味を重視しすぎると危険!

しかし私が、イングリッシュ・ドクターとしてあえてお伝えしたいのは、ぜひ 「知らない単語が出てきても気にしすぎないでください」 ということ。なぜなら私たちは英語を外国語として学んでいますので、意味が分からない単語があっても仕方のないことだからです。

今回の starve という英単語を知らなかったとしたら、それは、これまでに出合う機会がなかっただけです。出合ったことのない単語は知っているはずがありませんし、自分にとって重要な言葉であれば、何度も出てくることで自然と覚えるものです。

受験英語や TOEIC などの試験対策の場合には、自分が出合ったことのない単語を覚えますが、それは特殊なケースだと言えます。人間で例えると分かりやすいですが、出会ったことのない人の名前をたくさん知っている・・・ということは、相手が芸能人やスポーツ選手などでもない限りまずないでしょう。さらに、出会ったことがあっても 、めったに会わない人の名前が覚えられなかったりするのが普通 ですよね。つまり、知らないものは仕方がないのです。

もしも、私が出した問題が starve ではなく、もっともっと難しい単語を使ったものだったならば、正しく答えられた人は大幅に減っていたことでしょう。どんな単語が出てきても意味が分かるようになりたければ、ボキャブラリー量を例えば1万語、2万語・・・などと、ただ努力して増やすしかありません。しかし、そうやってボキャブラリーを増やしたところで、知らない単語がなくなるわけではありません。日々、新たな単語が生まれています。つまり、ボキャブラリーを増やすことは、学びが無限に続く、キリのない世界なのです。

変わらない本質をしっかりと押さえよう

それに対して、4問目で取り上げた文法は逆に、 「キリのある」世界 です。「ボキャブラリー」とは違い、文を作るためのルールである「文法」は基本的に変わることがありません。限られたパターンしか存在しないため、ひととおり学んでしまえば、そこで 完了 する 「閉じた」世界 なのです。

難しい単語がたくさん含まれるような難解な文章であっても、文法力があれば(分からない単語をうまく飛ばしながら)読み進められます。単語の役割が分かりますから、重要でない言葉は読み飛ばすことができます。もし、述語に当たる動詞の意味が分からなかったとしても、時制や文型などからある程度の意味を想像できる場合も少なくありません。

反対に、ボキャブラリーだけをたくさん知っていても文法力がなかった場合には、文の構造や単語の役割が分かりませんので、単語の意味をつなぎ合わせて全体の意味を推測するしかなくなってしまいます。つまり、文法が理解できるのとできないのとでは、英語の理解力に雲泥の差が出るということなのです。

まとめ:まずは文型と時制を固めよう

冒頭の問題を通じて、私がお伝えしたかったことの1つは、 「私は英語が全然できない」と思っている方でも、5問のうち3問は解ける ということ。「できない」「知らない」というのは大きな勘違いであり、 既に知っていること、できることもたくさんある 。そのことをまずはしっかりと認識しておきましょう。

そしてボキャブラリーは、増やしてもキリがありませんから、上達がなかなか感じづらいもの。それに対して文法は、パターンが限られていますから、努力に応じた手応えを感じやすいのです。ですから 文法力に自信がまだないという方は、中学英文法を学びなおすことをお勧め します。そして、4問目のような文法問題を常に自信をもって正解できるように、特に「文型」と「時制」にフォーカスをしてしてみてください。

そして、文法はもう大丈夫だからボキャブラリーを増やしたい、という人にアドバイスをするならば、 単語をやみくもに覚えようとしてはいけません 。繰り返しになりますが、ボキャブラリーを増やすことは、学びが無限に続く、キリのない世界です。「記憶」の 仕組み を理解することで、記憶効率を圧倒的に良くできます。

拙著『頑張らない英単語記憶法』において、記憶の 仕組み や、英単語を効果的、かつ効率的に増やす方法を 具体的に 解説していますので、ぜひ参考にしてください。

西澤ロイさんの本

▼ 5万部のベストセラー! 英文法を分かりやすく解説した『頑張らない英文法』

頑張らない英文法
 
▼『頑張らない英文法』の待望の続編。さまざまな時制について解説した『頑張らない基礎英語』
頑張らない基礎英語
 
▼脳科学を活用した記憶術を、英語に特化する形でまとめた(おそらく)初の書籍『頑張らない英単語記憶法』
頑張らない英単語記憶法
 
 

執筆:西澤ロイ

イングリッシュ・ドクター(R)(英語のお医者さん)。
英語への「苦手意識」や「英語嫌い」を解消し、英語が上達しない 原因 である「英語病」を治療する専門家。獨協大学英語学科卒業。TOEIC満点(990点)、英検4級。アメリカのジョージア州に1年間の留学経験あり。「英語感覚」や「英語の考え方」を分かりやすく日本語で伝えるスキルには定評があり、「長年の疑問がすっきり解消した!」「そんな風に英語を捉えたことがなかった」「目からウロコ!」という多くの感動や喜びの声が寄せられている。著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、「TOEIC L&Rテスト最強の根本対策」シリーズ(実務教育出版)など、計9冊で累計15万部を突破。メディア出演多数。木8(木曜夜8時)の英語バラエティ ラジオ番組「スキ度UPイングリッシュ」の他、コミュニティFMにてレギュラー番組・コーナーを4本オンエア中。

公式HP: https://english-doctor.co.jp/

YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/user/990english

写真:山本高裕

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