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本選びから読み方まで。「英語多読」をスムーズに始める4つのヒント

本選びから読み方まで。「英語多読」をスムーズに始める4つのヒント

「どんな本を選べばいい?」「どのように読めばいい?」スムーズに多読を始めるためのヒントを、『英語多読 すべての悩みは量が解決する!』の著者、繁村一義さんに教えていただきます。

多読を始めるときに感じる不安とは?

前回、英語上達のためには、英語をたくさん読むことは良いことで、その英語多読を楽しく続けるコツとして、多読三原則があることを紹介しました。

多読三原則

  1. 辞書は捨てる(辞書は引かない)
  2. 分からないところは飛ばす
  3. 自分に合わないと思ったら投げる

「なんだ、辞書なんて引かなくてもいいんだ」とか「分からないところは、放っておいてもいいんですね」「読む本は自分の好みで選んでしまっていいんですか!」といった具合に、この多読三原則だけで、楽しく多読を始め、どんどんと本を読めるようになる方もいらっしゃいます。

でも、例えば次のような疑問・不安から、多読の始め方で戸惑う方もまた少なくないようです。

  • どんな本を読めばいいんだろう
  • 多読三原則で読むと言っても、具体的にどうやればいいんだろう
  • ちゃんと読めているのだろうか

そこで、これらの不安を解消して、多読をスムーズに始めるためのヒントをいくつかお知らせすることにしましょう。一見英語が苦手な方向けのヒントのように見えるかもしれませんが、ある程度英語ができる方にもそのまま使えるものです。

多読をスムーズに始めるための4つのヒント

多読をスムーズに始めるための4つのヒント

ヒント1:本の選び方

現在の英語の力にかかわらず、多読を始める時に選ぶ本は、できるだけ以下の条件すべてにあったものが良いでしょう。

  • 絵や写真が中心

各ページとも、絵や写真などビジュアル部分の比率が圧倒的に高い。

  • ごく薄い

十数ページ以下くらい。

1ページ当たり1~3行程度。

  • 母語が英語の人向け

これらすべての条件を満たすものに、母語が英語の子どもが自分一人で本を読めるようになるために段階別に作られた絵本があります。例えば「Oxford Reading Tree」シリーズ(ORT)や「I Can Read」(ICR)、「Step Into Reading」(SIR)などのシリーズです。迷うようならこれらの本から始めることをお薦めします。

ORTの場合、Oxford Owlというサイトで一部ですが無料で読むことができますので、試してみるといいかもしれません。

なぜ絵本なのでしょう。英語に慣れていこう、英語を上達しようとするとき、やはり英文の理解にヒントが必要です。ただ、そのヒントが日本語で与えられると、英語を英語のまま理解することにはなりません。そこで、絵や写真などのビジュアルの力を利用するのです。

ヒント2:まずは絵「だけ」で読む

先ほど、字の少ない本から始めましょうと書きましたが、その少ない文字も見ないで、最初は絵だけで読むことをやってみましょう。どんなに薄い本でも、なんらかの物語や情報を伝えようとして作られています。その物語や情報を絵だけから読み取るようにしてみます。

大人になると、その重要なヒントである絵や写真といったビジュアルを読むことが、不得意になったり、おろそかになったりすることがあるようです。まず、しっかりと絵を読めるようになれば、それだけでかなり物語や情報を読み取れるようになります。

ヒント3:絵と一緒に字も読んでみる

ページごとに、まず絵や写真をしっかり見てから字を読むようにします。絵や写真から情報を十分読み取れるようになっていれば、もう外堀は埋まったも同然。この状態で文字を読めば、たとえよく分からない英文であっても大きな誤解はなく読めるはずです。

このとき、「意識して訳す」ことだけはしないようにしましょう。思わず浮かんでしまう訳はしょうがありませんが、できるだけ日本語化はしないようにします。英語を英語のまま楽しめるようになりたいのですから。

絵や写真をしっかり見ることと多読三原則を忘れなければ、絵本の多読は意外と簡単にできるものです。 

ヒント4:音の助けも借りてみる

多くの本では、朗読した音源がついていたりダウンロードできたりします。また、YouTubeなどに本の朗読や読み聞かせをアップしている方がたくさんいます。これら音の助けを借りることも試す価値のあることです。

まずは聞きながら読んでみます。このときも絵や写真は大事です。絵を見て字を読んで音も聞くという3つのことを同時にするのが難しいなら、最初は字を読むことは手を抜いてもかまいません。続けていれば自然に3つともできるようになります。

絵と音の助けを借りれば、より深く英語に親しめますし、多くの場合、楽しいものです。

なお、聞きながら読むことが合わない方がいます。そういう方は、読んでから聞いても、聞いてから読んでも問題ありません。

楽しむことが上達につながる

楽しむことが上達につながる

多読を始めるときや、始めて間もないときに役立つヒントをいくつか示しました。これらは、英語で書かれた本をストレスなく楽しむためのヒントとも言えます。

私たちは英語を長く「勉強」してきたので、英語を前にするとつい「勉強」しようとします。つまり、何かを覚えたり、仕組みを理解したりしようとしてしまうのです。

しかし、「英語を英語のまま分かるようになるために、英語に慣れ親しむ」という観点からは、英語が分かる/分からないよりも、内容が面白い/つまらないという視点で英文に接した方が、効果があるようです。もちろん勉強は勉強として行って構いませんが、多読中は楽しく英文に接しましょう。

日本人はどうもまじめな方が多いようで、楽しみましょうと言うと、「面白い」のハードルを上げて、「いや、まだまだ本当には楽しんでいない。多読できていない」と思ってしまうケースがあります。「つまらなくなければ『楽しい』のうち」くらいの気楽さがよいと思います。

さて、多読を始めてはみたし、そこそこ楽しくやれてもいるけれど、子ども向けの易しい本ばかりでは、なかなか単語力が付かないし文法も分かるようにならないのでは?という不安や疑問を持つかもしれません。

次回は、単語や文法について、英語多読の考え方や効果をご紹介しましょう。 

おすすめの本
英語多読 すべての悩みは量が解決する!

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  • 作者: 繁村一義、酒井邦秀、NPO多言語多読
  • 出版社: アルク
  • 発売日: 2018/07/17
  • メディア: 単行本

Kazuyoshi Shigemura

文:繁村一義(しげむら かずよし)
NPO多言語多読理事。二十歳で英検3級に落ちたレベルから、多聴多読でTOEIC900点を超え、外国人ばかりのチームをリードできるようになった経験を生かし、エンジニアとして活躍するかたわら、各地で講演や指導を通して多読の普及に努める。NPO SSS英語多読研究会監事、日本英語多読学会監事。