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英語ができる人の共通点1つと英語力が向上する条件4つ

通訳者が選んだ学習法

通訳・翻訳者で、ベネディクト・カンバーバッチさんやエディ・レッドメインさんなどの通訳や英語インタビューも行い、イギリスの観光・文化・エンタメ情報を伝えるジャーナリストでもある。そんな経歴を持つ川合亮平さんが、15年ぶりに本格的に英語学習を再開したそうです。この連載「通訳者が選んだ学習法」では、川合さんに英語学習を再開した理由や具体的な学習法を教えていただきます。第1回のテーマは「英語ができる人の共通点」と「向上の条件」です。

通訳者として働きながら15年ぶりに英語学習を再開

こんにちは、川合亮平です。

僕は2018年の10月に英語学習を再開しました。振り返ってみると、約15年ぶりに能動的な英語学習を意識的に、積極的に生活の中に組み入れたことになります。

僕はなぜ英語学習を再開したのか?そして具体的にどんな学習を今しているのか? それら個人的なストーリー(の一部)が、この全3回の連載の中心となります。

そんなごく個人的な体験・経験談があなたの英語学習にどれだけ役に立つのか、正直分かりかねる部分もあるのですが、一方で、個人的だからこそ、リアルに響く・届くこともあるのではないかという希望的観測も持っています。

「英語ができる人からのアドバイス」みたいな上から目線ではなく、やることが山積みで、知らない単語や表現が目の前に無数に広がっていると日々感じているイチ英語ラーナー(学習者)として、できるだけ率直に、ざっくばらんに記していくつもりです。カフェで雑談を楽しむ雰囲気で、「ちなみに僕は英語学習についてこんなふうに今考えているんだ」と語り掛けますので、どうぞ気軽に読んでいただければと思います。

僕はなぜ英語学習を再開したのか?

理由は1つではないし、平面的なものでもないので、なかなか一言では表現できないのですが、あえて簡単に言うと「危機感」になります。

振り返れば、20歳前後の数年間、生活の全てを英語学習に捧げたと言ってもよいくらいの日々を過ごしていました。そこでの蓄えが、これまでの20年間、英語力を主な武器としてさまざまな仕事をしてこられた原動力になっていたと言っても過言ではありません。

しかしここ数年、20年前の蓄えではもうさすがに、いろんな物事が立ち行かなくなっているという現実に直面せざるを得なくなっていました。すごく簡単に言ってしまうと、フリーランスとして思うように仕事が得られない・広がっていかないということです。まあ大げさかもしれませんが、それは「生活の危機」と言えなくもないと思います。

最初は、なぜ自分がそういうスランプ状況に陥っているのか戸惑って右往左往するばかりだったのですが、数年間の長い紆余曲折(うよきょくせつ)を経て(その一部は後の回で語ることになると思います)、状況を打破するためには、または、形勢を逆転するためには、広い意味で自分の実力を上げていくしかないという結論に行き着きました。

この連載では「英語力」を主に取り上げますが、いろんな意味で自分自身を成長させていくしかないという判断に至ったのです。それに伴い、今の生活における優先順位を整理して、「英語学習」の優先順位が高いことを認識し、現在、それに沿った日々を過ごしているという感じです。

英語ができるようになった人の共通点とは?

英語力ゼロだった19歳のときに、英語力向上を志して大阪の自室で英語独習を始めてから今までの20数年間、(前述したように)常に能動的学習を行っていたわけではありません。それでも、「日本で生活しながら、どうすれば第2言語として本当に使える英語力を身に付け、向上していけるのか?」というのは、僕の頭の中に常にあるテーマ、普遍的なクエスチョンでした(それは現在も変わりません)。

自分の体験・経験を含め、これまで数多くの生身の人間の事例を吟味していく過程で、英語ができるようになった人には共通点があることに数年前に気付きました。その共通点に倣えば、英語力が向上するポテンシャル・可能性がグンと高まると言えると思います。

では、その共通点とは一体、何なのか?

まず一つ言えることは、「やり方」ではないということです。やり方、言い換えれば「学習法」は、僕の経験上、人の数ほどヴァリエーションがありますので、共通点はありません。

同じ教材や素材、例えばNHKのラジオ英語講座を使って英語上達した人は多くいると想像しますが、個別に細かく観察してみると、人それぞれ使い方(活用法)は微妙に違うはずです。そして、教材や素材の「組み合わせ」も考慮に入れると、それこそ十人十色と言えるのではないでしょうか。

アメリカ大統領や有名プロスポーツ選手をクライアントに持つカリスマコーチ、アンソニー(トニー)・ロビンズ 氏は、人が何かを成し遂げる(この記事では「英語学習がうまくいく」)ときの法則として、次のような言葉を使って表現しています。

I've found it’s 80 percent psychology and 20 percent skills.

80パーセントが在り方(考え方)で、20パーセントがやり方(方法)である。

英語上達を志すとき、とかく「skills=やり方」にばかり注目が集まるように感じているのですが、実は英語学習の成功と不成功を隔てているのは、その個人の「psychology=在り方」であるということです。

僕自身、やり方よりも在り方(考え方)の方が大切であるということは、自分自身を含むさまざまな学習者の方々と直に触れ合う中で常々実感していたことです。それがつまり、以下に述べる「英語ができるようになった人の共通点」なのです。

共通点:学習を推し進めていく確固とした「原動力」がある

例えを使って説明してみましょう。レーシングカーの場合、速さにこだわった外装・部品をどれだけそろえても、そもそも原動力となるエンジンが入っていなければ、1センチも前には進んでいきませんよね。エンジンがあってこその外装・部品であるわけで、それは英語学習も同じだと実感しています。つまり、原動力(「動機」と言い換えてもいいかもしれません)があってこその学習法である、と。

では、僕が15年ぶりに能動的英語学習を再開した原動力を大まかに分析してみると・・・

  • 「このままではマズイ」という危機感
  • 「とにかくもっとペラペラになりたい」という欲望
  • 「自分がイメージするくらいの英語力を獲得できれば、仕事が広がるかもしれない」という希望

このように、僕の英語学習の成分は危機感と欲望と希望です。

(なお、英語ができる人の共通点は「原動力がしっかりある」だけではなく、他にも2、3個あると思っているのですが、混乱を避けるため、今回の記事ではあえて1つに絞っています)

英語力向上だけに限らず、何事も、原動力がしっかりあれば、その事柄に関して生活の中での優先順位が自然に高まり、行動・継続化につながっていく(結果として、上達・向上が出現しやすくなる)、というフローが立ち上がるようです。

僕の場合、「英語力アップ」は自分にとってここ20年間ずっと大切な事柄であったのは間違いのない事実なのですが、それよりも優先順位が高い他の事項が生活の中にあったので、能動的な学習には至っていなかったのです。

でも、2018年の夏から秋にかけて、改めて自分の生活(人生)を意識的・無意識的にレビューする中で、人生の優先順位に変動があり、その結果、英語学習が実際の行動レベルにまで浮上してきました。

ちなみに現状では、「英語学習」「子どもたちのhealth, safety and experience」「仕事」「走ること」の4つが僕の優先順位のトップ。その後に続くのが個人的なレクリエーションかな)

「優先順位を決める」ことを、英語ではstreamliningと表現したりします。つまり、逆の見方をするなら、順位が低い事柄には極力、力と時間を使わないようにするということです。

これはまあ多少ストイックな考え方であるし、「自由にダラダラ・気の向くまま風の向くまま」というのも人生には必要不可欠な要素だと実感・理解していますが、少なくともフリーランサーとして、一人の人間として、壁にぶつかっている今年42歳になる僕個人としては、streamliningは今、行使すべきカードだと思っています。

とにかく前進していこう

第1回の記事の最後に、僕はどんなことを意識しながら日々の英語学習に取り組んでいるのかを、2人の方々の考え方を通してシェアさせていただきます。

ペンシルベニア大学心理学部教授で、ベストセラー『やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける(Grit: The Power of Passion and Perseverance)』の著者でもあるアンジェラ・ダックワース氏はインタビューで、何年も日常的にランニングをしている割にタイムが全く伸びないという自身の経験を例に、「向上」のメカニズムをお話しされています。英語力アップにもつながる面白い話なのでシェアしますね。

ダックワース氏は、時間をいくらかけてもタイムが伸びない事実を疑問に思い、「『超一流』研究の第一人者」で、『超一流になるのは才能か努力か?(Peak: Secrets from the New Science of Expertise)』の共著者であるフロリダ州立大学心理学部教授、アンダース・エリクソン氏に尋ねたそうです。エリクソン氏によると、彼女のタイムが伸びないのは至極当たり前のことで、詰まるところその主たる原因は、目的意識を持たず惰性で行っているから、でした。

この経験を通じてダックワース氏は、「向上」の条件が、

  • 明確なゴールを持つ
  • 100パーセント集中する
  • 十分な情報に基づき即座に振り返りを行う
  • カイゼン」しながら進む

であることを学んだ、とおっしゃっています(動画の05:35~)。ものすごくシンプルだけど、本質を突くアイデアだと思います。

僕自身、30歳から40歳までの10年間は、振り返ってみると英語力の伸び代がまだまだあったと実感しており(他の優先順位があったので仕方がないとも言えるのですが)、同時に、同じような感想を10年後の50歳のときに持ちたくないと強く思っています。その思いは日々の学習の強力な原動力の1つです。

メジャーリーグの投手、ダルビッシュ有氏は、テレビのあるインタビューで「大事なのは何かをすること。何もしなかったら昨日と今日は同じ。何かすれば、今のままの自分ではなくなる」と語っていました。世界を舞台に活躍する超一流のアスリートが、日々の切磋琢磨(せっさたくま)から紡ぎ出した言葉だけに、リアルな重みを感じています。僕の今の気持ちを代弁してくれているようで、心が強く動かされる言葉です。

今、僕は過去10年間意識してきた英語力の「現状維持」ではなく「向上」を標榜(ひょうぼう)して日々、英語と向き合うようにしています。昨日より今日、今日より明日、とにかく少しでも前進していければ、と。

さて、次回は、「いつ・どこで・何を・どのように」しているのか、そんな具体的な僕の英語学習法を紹介していきたいと思います。お楽しみに。

川合亮平でした。

川合亮平

文:川合亮平(かわい・りょうへい)
通訳・翻訳者。エディ・レッドメイン、エド・シーランなど、イギリス出身の俳優・ミュージシャンの通訳・英語インタビューを多数手掛けている。コラムニストとしては過去10年イギリスに頻繁に滞在し、現地情報を日本のメディアを通じて発信している。大きな話題となった『「なんでやねん」を英語で言えますか?』 (KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・関連書は現在9冊。https://ameblo.jp/ryohei-kawai-blog/

編集:GOTCHA!編集部