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外国人と英語で話すとき身構えてしまうのはなぜ?解決策は?

多文化コミュニケーション

今はオンラインでもリアルでも、日本にいながらにして、多様な人たちと交流できます。この連載「多文化コミュニケーションのすゝめ」では、「英語でコミュニケーション」に関心のある全ての方に、多文化コンサルタントで東京大学大学院学術研究員(文化人類学)の三吉美加さんが、その楽しみ方を伝えます。第1回のテーマは、「身近な異文化体験と、異文化体験の利点3つ」です。

身近になった異文化体験

ひと昔前なら、「異文化体験」というと、海外旅行や留学など外国へ出掛けるイメージが強かったでしょう。しかし、今では異文化体験をうたったイベントが身近にたくさんあります。

例えば私が住む地域では、地域に住む外国人の出身地の文化を紹介する催し物が定期的に開催されています。外国語講座はもちろん、みんなでワイワイ楽しみながら海外の文化を学べるイベントが数多くあります。「四川料理を作ろう」「ルーマニアワインの飲み比べ」「アラビア書道をやってみよう」「ネパールのヘナアートを楽しもう」などユニークなものばかりです。東京では、各国の文化を紹介する大きなフェスティバルもたくさん開催されています。

SNSなどインターネットで興味のある国や文化に関する情報を集めていると、多文化交流会の案内が表示されます。語学を目的とした勉強会から、海外の方と出会うための会まで、さまざまです。また、はやりのオンラインサロンのラインアップを見ても、外国人や外国に興味のある人との出会いと交流を目的とした会があります。

インターネットを使えば、たとえ興味のある文化が日本ではあまり知られていなくても、専門家やその文化圏から来ている人に出会えそうです。オンラインなら、海外にいる人とも交流できますね。今や異文化体験には無限の可能性があります。

現在、日本へやって来る外国人観光客の数は年間3100万人、日本で暮らす海外出身者は250万人を超えているそうです。東京では外国人を見掛けるのは当たり前になっていますし、労働のためにやって来ている人も多いので、なんらかの形で私たちは彼らの恩恵を受けながら日本で暮らしていると言っていいでしょう。

日本で日常的に外国人に接する機会が増えたので、「語学を頑張って勉強しよう」「外国人と知り合いたい」と思う人が増えているのでしょう。「東京オリンピックで外国から来た人と英語で話したい」と英会話を始める人も多いようです。自分で決めた目標を持つと、前向きな気持ちになれていいですよね。

そのコミュニケーションは誰のため?

皆さんは、海外から来た方とこれまでどのように接してきましたか?「〇〇人とか気にしないで付き合っているよ」という方もいらっしゃるでしょう。その一方で、職場でもプライベートでも、外国人の前では身構えてしまうという方もいるようです。自分の言いたいことがうまく伝わるだろうかと心配になったり、コミュニケーションを取ることがストレスになったりするケースも見受けられます。

どのような原因であれ、「心配」「不安」「ストレス」はできるだけ避けたいですね。もしそのような心の状態に気付いたら、注意信号だと思って、その気持ちに注目してみてください。例えば、「何が自分をそのように感じさせているのだろうか」と考えてみましょう。

私がコンサルテーションをしていたクライアントのAさんは、「英語ができないと不利な職場なのですが、私は英会話が下手なんです。外国人の同僚に話し掛けられるのがストレスになっています」とおっしゃっていました。ストレスの原因となっていたのは、「うまく話せないと駄目だ」という強い思い込みでした。Aさんの職場にはバイリンガルの同僚がいたため、「自分もその人のように英語を話さないと駄目なのだ」と自分自身にプレッシャーを与えていたのです。

Aさんは、よく考えてみると自分はバイリンガル採用ではないのだと改めて気が付きました。ですから、「うまく英語を話す」必要はないのです。仕事をする上では、「まあなんとか通じている」というAさんの自己判定のレベルで十分なのです。もちろん、英語で同僚たちと流ちょうに話せるようになれば、楽しい時間は増えそうです。でも、英会話の上達は自分のペースで負担なく行えばいいですよね。

Aさんの話は、読まなくていい「空気」を読んでしまって、自分にプレッシャーを与えていたという例です。

異文化体験から学べる3つのこと

世界各地から来た人と交流するのは楽しいですね。そのような経験を通して、自分にとって重要なことも学べます。どんなことを得られるか、ここでは3つ紹介しましょう。

相手を通して自分を知ることができる

異文化の人と話をするのはとても刺激的です。知らなかったことを知る喜び、流ちょうではない言語を操って通じたときの満足感、互いの理解が深まることの充足感、予想外の反応に対する驚きなど、いろいろな感情が自分の中から湧き上がってきます。そんなときに、自分の感情を味わうように、少し客観的に眺めるようにしてみると、自分の新しい一面に気付いてきます。自分では意識していなかったけれど、大事だと思っていたことに気付くことも多いですよ。

例えば、在日の外国人と日本の食文化について話しているうちに、自分が普段はあまり意識していなかった日本人としてのアイデンティティーに気付くことがあります。「刺し身とか、すしとか、生で魚を食べるなんて気持ち悪い」「活作り(いけづくり)なんて野蛮だ」と海外の方に言われると、ちょっと傷ついてしまったという経験はありませんか?

相手の言ったことに対する自分の感情に目を向けてみると、自分への理解が深まっていきます。たとえ相手の言葉を聞いて嫌な感情が生まれたとしても、相手を即座に判断しないようにしましょう。「どうしてそのように言っているのだろうか」と考えながら会話を進めていくと、相手の意味するところは自分が当初受け取ったこととは違っていたと気付くことも少なくありません。人が話す言葉は、その人の心をいつもそのまま映しているとは限らないのです。

コミュニケーション能力が鍛えられる

外国人を相手にコミュニケーションをするときは、普段よりも慎重に言葉を選んで話そうという気になりますね。分かりやすく話す、相手に言いたいことが伝わったかを確認した上で話を続ける、ということの繰り返しです。

正しく伝えるための工夫として、いつも以上に豊かな表情やジェスチャーを多く取り入れてみましょう。ノンバーバル(非言語な)コミュニケーションです。言いたいことがうまく伝わったときは、何がよかったのか後で考えてみてください。そして、よかったことを次もやってみましょう。どんどんコミュニケーションがうまくなります。伝えたい内容の大筋をまず明確にして、それを表現するのに必要な基本的な語彙を調べておくのもいいですよ。

使う言語に自信がない場合は、「大まかに伝わればいい」と割り切っても構いません。緊張するようなら、役者が舞台で演じるように、誰かになり切って話すのはどうでしょう。多少大げさなジェスチャーを使うのもいいですね。失敗してもなんてことはないので、とにかくコミュニケーションを楽しむことです。

ジェスチャーゲームのように身振り手振りで伝えようとしたり、スマホやタブレットでインターネット翻訳を試したりしてもいいですね。インターネットで画像や地図を見ながらコミュニケーションを取るのも盛り上がりますよ。

相手と共通の楽しい話題は何かと考えておくのもいいでしょう。互いに好きなことについて話すのもいいですね。質問をしたときの相手の表情に注目すると、その人の興味や関心事が分かってくるはずです。好きな話題になると、人は口数が多くなります。好きなことを話すのは誰にとっても楽しいことだからです。

柔らかな表情と笑顔を浮かべ、相づちも積極的に打って、相手の話をよく聞きましょう。自分をよく理解してもらうためにも、まずは相手が心地よく話せる環境をつくりましょう。コミュニケーションはちょっとしたことでどんどんうまくなっていきますよ。

いつでも人と対等でいられるようになる

最後に、相手を尊重することはもちろん大切ですが、自分も大事に扱われる存在であることを忘れないでください!

「英語が流ちょうでないから」「相手の国や文化の知識が少ないから」という理由で、相手よりも自分を下に置いていませんか?自分の言いたいことや素直な感情を抑えてはいませんか?「〇〇でない」こと、「知らない」ことは、ただの事実にすぎません。良し悪しの問題ではありませんから、自分を卑下する必要はありません。相手に自分の感情をコントロールさせているような状況、相手に自分を任せているような状況は好ましくありません。しっかりとした自分の軸を持って、相手と付き合っていきましょう。

 

いかがでしたでしょうか?ここでは3つだけ紹介しましたが、まだまだありますよ。皆さんもご自身の体験を通して、いろんな学びがあったと実感されていくことでしょう。

これから外国人と交流したいとお考えの方は、どのような相手とどんな話をしたいのかを事前に考えてみるのもいいかもしれません。インターネットで特定のことに関心を持つ人たちの集まりを検索すれば、自分に適した場所が効率よく見つかるでしょう。自分発信で、自分の求めるものを積極的に見つけていく行動力が大切です!

三吉美加

文:三吉美加(みよし みか)

多文化コンサルタント。文化人類学の視点から、さまざまな顧客に対する配慮やサービスの仕方、具体的なプランを提案している。ライフコーチングおよびタロットリーダーとしても活動。東京大学大学院学術研究員(文化人類学)。専門は米国・カリブ海地域のラティーノ・黒人文化、移民。「1000時間ヒアリングマラソン」の「カルチャー再発見」コーナー担当コーチ。

編集:GOTCHA!編集部