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人工知能(AI)による5000万円の絵画の作り方とは?【英語多読ニュース】

人工知能(AI)による5000万円の絵画の作り方とは?

「英語多読ニュースフラッシュ」(10月31日号)。今回お届けするのは、人工知能が描いた肖像画に約5000万円の値が付いた、というニュース。人工知能はどのようにして、そんな高値が付く絵を描いたのでしょうか。

敵対的生成ネットワーク?何それ?

オークションハウス「クリスティーズ」に出品され、当初は100万円程度の値が付くと予想されていた人工知能による絵画が、なんと約5000万円で落札されたそうです。

French AI engineers and artists Obvious have made history with their artificial intelligence-generated painting, “Edmond de Belamy,” which sold for a reported $432,500 at an auction ...

フランスの人工知能エンジニア&芸術家集団のオブビアスが、AIにより生成された絵画で歴史を作った。「エドモンド・ド・ベラミー」が43万2500ドルで落札されたと伝えられたのだ。

www.complex.com

オークションでまさかの高額落札。その肖像画は一体、どんな仕組みを使って描かれたのでしょう。

“Edmond de Belamy” is part of a fictitious family created by a “generative adversarial network,” of which there’s ten other paintings. “Edmond” is one of the most striking of the paintings, and will likely become an important part of art history going forward thanks to its huge selling price.

「エドモンド・ド・ベラミー」は「敵対的生成ネットワーク」によって描かれた架空の一族の一人で、このほかに10点の絵画が存在する。「エドモンド」はその絵画の中で特に印象的な一点で、高値で落札されたことにより、将来、美術史において重要な存在となるだろう。

Generative adversarial network(敵対的生成ネットワーク)?? 何やら意味不明の言葉が出てきました。これは??

「TechCrunch」の記事は次のように説明しています。

GANs (Generative adversarial networks) comprise two parts, for which terminology differs but Obvious calls the “generator” and the “discriminator.” 

GAN〈敵対的生成ネットワークの頭文字〉は2つのパートで成り立っており、それぞれの専門名称は異なる。オブビアスはそれらを「ジェネレーター(生成ネットワーク)」と「ディスクリミネーター(識別ネットワーク)」と呼んでいる。

techcrunch.com

やっぱり専門的すぎて、何が何やらわかりません…。

わからないからもう読まない?

まあ、そうおっしゃらずに、あと少しだけ、先を読み進めてみましょう。

Both visual recognition models are given a set of data to ingest, in this case 15,000 portraits from the last 600 years or so. Based on this data, the generator attempts to create new portraits, and the discriminator tries to identify those portraits as either authentic or artificial. The less sure the discriminator is that an image is artificial, the closer it tends to be to the authentic portraits.

(ジェネレーターとディスクリミネーターの)双方の画像認識システムはデータセットを取り込む。今回の場合は過去約600年間に描かれた1万5000点の肖像画だ。このデータを基に、ジェネレーターは新しい肖像画を生み出そうとし、ディスクリミネーターはその肖像画が本物っぽいか偽物っぽいかを判別しようとする。ディスクリミネーターがあるイメージを偽物と判別できなくなればなるほど、その絵は本物の肖像画に近いということになる。

要するに、2つの仕組みが切磋琢磨(せっさたくま)しあっているということですね。

私の解釈では、たぶん次のようなやり取りをしているのだと想像します。(G=ジェネレーター、D=ディスクリミネーター)

G:犬を描いてみたよ。
D:いやいや、それは犬じゃないだろう。
G:じゃあ、これはどう?絶対犬だよ。
D:うーん、でもやっぱり違うんじゃない?
G:それなら、これは?
D:どうだろう。本物っぽいような…。本物かなぁ。

こうやって人工知能どうしが勝手に学習することで、これまでの人工知能のように人間が「調教」する手間が大幅に削減できるのが、この「敵対的生成ネットワーク」の特長のひとつなのだそうです。

“It is an attribute of the model that there is distortion,” explained Hugo Caselles-Dupré, from Obvious, to Christie’s. “The Discriminator is looking for the features of the image — a face, shoulders — and for now it is more easily fooled than a human eye.”

「肖像画に不自然なゆがみがあるのは、システムの特性によるものです」と、オブビアスの一員ユーゴ・カセレス・デュプレはクリスティーズに説明した。「ディスクリミネーターは、画像にある顔や肩などの特徴を識別していますが、現在のところ、人の目ほどの精度を持っていません」。

とはいえ、勝手に学んで人間より頭が良くなったら結構怖いです…。人間が識別できないニセモノを作れるようになったら、どうするんでしょうね。 

ちなみに、この人工知能ネットワークが描いた「ベラミー一家」の肖像は、オブビアスのウェブサイトで見られます。

Gallery - Obvious Art

Takahiro Yamamoto/山本高裕

文:山本高裕(GOTCHA! 編集部)

高校の英語教師を経て、今は編集者として、ときに写真家として活動中。アートを作るのも買うのも人工知能が行うようになって、そのうち人間は蚊帳(かや)の外?