濱崎潤之輔さんのスペシャル記事、全6回の3回目!前回に引き続き、講義や執筆などを通じて「英語を教える」プロとして活躍するハマーさんの勉強法について、辛口ネコが聞きます。
濱崎潤之輔さんプロフィール
濱崎潤之輔さんは英語講師。明海大学、獨協大学などで大学講師を務めるかたわら、楽天銀行、SCSK(住友商事グループ)、エーザイなどの大手企業でもTOEICテスト対策の講師を務めています。2006年からTOEICテストを受け始め、TOEIC満点の990点を50回以上獲得しており、『中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる問題集』『TOEIC L&Rテスト990点攻略』など著書も多数(累計30万部超!)。無類のプロレス好きでもあります。
「100%シャドーイング」でTOEICリスニングが満点に
前回、TOEICのリスニングにはシャドーイングが効果的という話を聞いたニャ。具体的にはどんな風に勉強すればいいか、詳しく教えてニャ!
gotcha.alc.co.jp
公式問題集のリスニングセクションを使って「100%シャドーイング」に取り組みました。「K/H システム」で提唱されているトレーニング方法ですね。
100%シャドーイング? ケーエイチ?
K/Hシステムは、国井さんと橋本さんという開発者の頭文字から名付けられたトレーニング方法で『究極の英語学習法 K/Hシステム』という本にもなっています。その中に出てくる、ちょっと変わったシャドーイングの練習法が「100%シャドーイング」なんです。

- 作者: 国井信一,橋本敬子
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100%つまり「完璧」になるまで繰り返す!
具体的にはどんな勉強ニャ?
僕がアレンジしている部分もありますが、まず、素材となる英文の予習ですね。単語や熟語などを調べながら読んで、英文の意味をしっかり理解しておきます。
その後、いよいよシャードイングです。英文は見ずに音声だけを聞きながら、音読します。で、この時に必ず自分の声をICレコーダーなどで録音しておくのがポイントです。
録音したら、自分の声を聞きながらスクリプトを読み直し、きちんと音読できていない箇所を蛍光ペンなどでマーキングするんです。冠詞が抜けているとか、単語を間違って発音しているとか、そういうところを全部チェックするんです。
面倒そうにゃ。
まぁそうですね。流れてくる音声に合わせて英文を読むだけのシャドーイングだと「結構よくできたかな?」と思ってしまうんですが、このやり方だと、実は自分が思っているほどできていない、ということが明らかになるんですね。
普通のシャドーイングは、単に聞きながらモノマネをするだけなので、できた気になりやすいんですよね。でも、K/Hシステムのシャドーイングだと、全然きちんとできていないことがわかるんです。少なくとも私はそうでしたね。
TOEICのパート3、1つ30秒~40秒のトークだけでも、最初のうちは10~20カ所はマーキングしてましたよ。
マッカッカニャ。
「正確に言えていない」「音を飛ばしている」「発音がおかしい」、きちんと言えていない所を全部マーキングしたら、今度は、文章を見ながら、正確に音読し直します。お手本となる音声を聞き、正確に読めるまで何度も練習して「よし、もうこれで大丈夫」と思ったら、はじめに戻ります。つまり、もう一度録音しながらシャドーイングするんです。
で、録音した音声をスクリプトと照らしてまたマーキングをして、正確に読めるようになるまで練習します。
このサイクルを、間違いがゼロになるまで何度でも何度でも繰り返します。間違いがゼロ、つまり、100%できるようになるまで練習するから「100%シャドーイング」なのですね。
相当に地道な作業ニャ。。。
シャドーイング以外のTOEICの勉強もあるので、これを始めた当時は1日15分から20分ぐらいを100%シャドーイングに充てていたでしょうかね。
TOEICのパート3でしたら、1つのスクリプトが40秒程度ですから、シャドーイングして録音してマーキングするという一連の作業には、時間はさほどかかりません。
何回くらい繰り返したら100%になるニャ?
もちろん個人差はあると思いますが、私は、始めた頃は2週間くらいかかりました。「よし、いけるぞ」と思って挑戦しても、録音したものを聞いてみるとなかなか100%にはなってないんですよ。
結構大変なんですが、でも、それをやったことで僕のリスニング力はものすごく伸びました。音に対する集中力が格段に上がって、聞き漏らしがなくなったのだと思います。
それまで、TOEICのスコアは停滞していたんですが、これがきっかけでほどなく970点が取れました。その時、リスニングがはじめて満点になったんです。
満点!まさに100%ニャ。上手くまとめたニャ。
詳しいやり方はK/Hシステムの本を見てください。僕が買った時は「いきなり100%やれ」というキツイ本でしたが、今は、易しいバージョンも出ていますね。

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「完璧」を目指してやりこむとなぜ効果がでる?
そういえば今日の話って、前回聞いた、1冊の本をとことん極める方が、いろんな本をやるより効果がある、という話にも近い気がするニャ。
そうですね。上手くできていない部分って、それなりの理由があって不得手なのだと思うので、1回や2回復習しても本当に「できた」状態にはなっていないのでしょうね。だから、同じ問題、似たような問題を、何度も間違えてしまうのだと思います。
あと、TOEICのような選択式の試験では、間違えなかった問題にも、完璧にできているものとたまたま正解しただけのものがありますからね。間違えたところだけを復習するだけでは、本当の得点力はついていかないんです。
だから、間違えたところはもちろん、そうでないところも含めて「この本の内容は100%理解している」「何度解いても満点がとれる」「なぜその選択肢が正解なのか、不正解なのかを即座に明確に説明できる」という状態にするのが効果的なんです。
もちろん、証明できるような話ではないのですが、自分はもちろん、周囲の仲間や生徒たちを見ていても、これは確実だと断言できます。
とことん極めるといえば「公式問題集」も気になるニャ。次回は、公式問題集の使い方を深堀りしてみるニャ。
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編集:GOTCHA! 編集部
GOTCHA(ガチャ、gάtʃə)は、I GOT YOUから生まれた英語の日常表現。「わかっ た!」「やったぜ!」という意味です。英語や仕事、勉強など、さまざまなテー マで、あなたの毎日に「わかった!」をお届けします。
写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)