TOEICのリスニングを「100%」に仕上げる勉強法【濱崎潤之輔さんインタビュー3】

講義や執筆などを通じて「英語を教える」プロとして活躍する、「ハマー」こと濱崎潤之輔さん。インタビュー連載の第2回は前回に引き続き、ハマーさんのこれまでのキャリアやその仕事観についてお話しいただきます。2018年2月公開記事。

「100%シャドーイング」でTOEICリスニングが満点に

編集部:前回、TOEICのリスニングにはシャドーイングが効果的という話をお伺いしました。具体的にはどのように勉強すればいいかを、詳しく教えていただけますか。

前回の記事はこちら

濵﨑:公式問題集のリスニングセクションを使って、「100%シャドーイング」に取り組みました。「K/Hシステム」で提唱されているトレーニング方法です。

K/Hシステムは、開発者の国井信一さんと橋本敬子さんの頭文字から名付けられたというトレーニング法で、『究極の英語学習法 K/Hシステム』という本にもなっています。その中に出てくる、ちょっと変わったシャドーイングの練習法が「100%シャドーイング」なんです。

100%つまり「完璧」になるまで繰り返す!

編集部:100%シャドーイングについて、具体的に教えてください。

濵﨑:僕がアレンジしている部分もありますが、まず、素材となる英文を予習しておきます。出てくる単語や熟語の意味などを調べながら読み、英文の意味をしっかり理解しておきます。

その後、シャドーイングのトレーニングを始めます。英文は見ないで、音声を聞きながら同じ内容を繰り返して声に出します。さらにこのとき、自分の声をICレコーダーなどで録音しておくのがポイントです。

録音したら、自分の声を聞きながらスクリプトを読み直し、きちんと音読できていない箇所を蛍光ペンなどでマーキングするんです。冠詞が抜けているとか、単語を間違って発音しているとか、そういうところを全部チェックします。

編集部:やることがたくさんあって面倒そうですね。

濵﨑:まあ、そうですね。音声に合わせて英文を読むだけのシャドーイングだと、「結構よくできたかも」と思ってしまいがちです。でも、このやり方だと、実は自分が思っているほどできていない、ということが明らかになるんです。

普通のシャドーイングは、単に聞きながらモノマネをするだけなので、できた気になりやすいんですが、K/Hシステムのシャドーイングの場合、全然きちんとできていない!ということが分かるんです。少なくとも私はそうでした。

TOEICのPart 3に出てくる、1つ30~40秒の会話だけでも、最初のうちは10~20カ所はマーキングしてました。

編集部:ほぼ全部マークされてしまいますね。

濵﨑:「正確に言えていない」「音を飛ばしている」「発音がおかしい」といった箇所を全部マーキングしたら、そんな感じになりました。で、今度は文章を見ながら、正確に音読し直します。お手本となる音声を聞き、正確に読めるまで何度も練習します。そして、「よし、もうこれで大丈夫」と思ったら、初めに戻ります。

つまり、もう一度録音しながらシャドーイングするんです。そして、録音した音声をスクリプトと照らしてまたマーキングをして・・・。このサイクルを、間違いがゼロになるまで何度でも何度でも繰り返します。

つまり、間違いがゼロ、100%完璧にできるようになるまで練習するから、「100%シャドーイング」なんです。

シャドーイング以外のTOEICの勉強もありますから、このシャドーイングを始めた当時は、それに充てたのは1日15分から20分くらいだったと思います。

TOEICのPart 3くらいの長さの音声であれば、40秒程度ですから、シャドーイングして録音してマーキングするという一連の作業には、時間はそれほどかかりません。ただ、精度を100%まで高めていくのが大変なんです。

編集部:何回くらい繰り返したら100%になるニャ?

濵﨑:個人差はあると思いますが、私は最初、2週間くらいかかりました。「よし、いけるぞ」と思って挑戦しても、録音したものを聞いてみると、なかなか100%にはなってないんですよ。

結構大変なんです。でも、それをやったことで、僕のリスニング力はものすごく伸びました。音に対する集中力が格段に上がって、情報を聞き漏らすことがなくなりました。

このトレーニングを始める前まで、TOEICのスコアは停滞していましたが、これがきっかけで970点を取ることができました。そのとき、初めてリスニングセクションで満点を取ったんです。

編集部:満点!まさに100%ですね!

濵﨑:「100%シャドーイング」の詳しいやり方はK/Hシステムの本を見てください。僕が買ったときは「いきなり100%やれ」というキツイ本でしたが、今は、それより易しいバージョンも出ています。

「完璧」を目指してやり込むとなぜ効果がでる?

編集部:そういえば今日の話は、前回伺った、「1冊の本をとことん極める方が、いろいろな本をやるより効果がある」という話にも近い気がします。

濵﨑:そうですね。うまくできていない部分って、それなりの理由があって不得手なのだと思うので、1、2回復習した程度では、本当に「できた」状態にはなりません。だから、同じ問題や似たような問題を、何度も間違えてしまうんです。

また、TOEICのような選択式の試験では、間違えなかった問題であっても、完璧に理解して正解したものと、たまたま正解しただけのものがありますからね。間違えたところだけを復習するだけでは、本当の得点力は付いていかないんです。

だから、間違えた箇所はもちろん、そうでない箇所も含めて「この本の内容は100%理解している」「何度解いても満点がとれる」「なぜその選択肢が正解なのか、不正解なのかを即座に明確に説明できる」という状態にするのが、最も効果的なんです。

もちろん、証明できるような話ではありませんが、自分はもちろん、周囲の仲間や生徒たちを見ていても、これが最も確実だと言っていいと思います。

濵﨑潤之輔(はまさき・じゅんのすけ)
濵﨑潤之輔(はまさき・じゅんのすけ)

大学・企業研修講師、書籍編集者。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。明海大学や獨協大学、早稲田大学EXT、ファーストリテイリングや楽天銀行、エーザイやSCSK、オタフクソースなどの企業でTOEIC L&Rテスト対策研修講師を務める。TOEIC L&Rテスト990点(満点)を80回以上取得。『TOEIC L&Rテスト990点攻略』(旺文社)、『改訂版 中学3年間の英語が1冊でしっかりわかる本』(かんき出版)など、著書・監修書は80万部以上の実績を誇る。「濱崎TOEIC研究所オンラインサロン」主宰。

公式サイト 濱崎TOEIC研究所オンラインサロン
Twitter:@HUMMER_TOEIC
Instagram:junnosuke_hamasaki
TOEIC L&Rテスト 長文パート対策セミナー:https://tz-eigolounge.jp/news/2021cho/

写真:山本高裕(ENGLISH JOURNAL編集部)

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