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ひとりで?みんなで?文化によって異なる意思決定のプロセス

フランスのエッフェル塔

世界を相手にビジネスを行うためには、英語力だけでなく、多様な文化を受け入れるためのグローバルマインドセット、つまり視野の広いもののとらえ方が必要となります。本コラムでは、経営コンサルタントのロッシェル・カップさんにグローバルマインドセット獲得のヒントを教えていただきます。

意思決定に関わる人が多すぎる!

文化の違いに疲れるフランス人女性

あなたは、勤めている会社のフランス現地法人で働くようになりました。

そこで働いているフランス人マネージャーは、会社の意志決定のやり方に順応できず、困惑している様子でした。

「ここでは、方針決定にとても多くの人が関与しなければなりません。なぜ私一人で決定が下せないのでしょうか。チームのメンバーが私に話に来るとき、彼らは私が方針を決めることができるだろうと期待しています。しかし私は『他のマネージャーと相談する必要がある』と答えなければなりません。これでは、私の立場が弱く見えてしまいます」

このフランス人マネージャーに対して、あなたはどう対応しますか?

【a】その人はワンマンなマネージャーだと判断し、今後は彼の動に注目して独断を取らせないように気をつける
【b】フランス文化の中では彼の困惑は驚くべきことではないと理解し、より自律性を与えるために会社の意思決定に伴うプロセスをできるだけスリム化する
【c】なぜ日本企業はコンセンサスが重視されるか、その理由とメリットを彼に説明する

トップダウンか、コンセンサス重視か

多くの日本人は、【a】を選びます。日本企業では、マネージャーでも独りで物事を決められるわけではなく、他のマネージャーなどのキーパーソンと相談して皆の同意を得ることが大切とされています。そのようなやり方が常識なので、他の人と相談せずに自分で物事を決めたがる人は、日本人の目から見れば独断的と映ります。しかし、もしこれがこのフランス人マネージャー個人の性格ではなくて、文化の違いのれだったらどうでしょう?

実は会社における意思決定の慣習には文化的な相違があります。下記のスケールの左の方にいる文化ほど、トップダウン方式の意思決定を好みます。リーダーが自分で決断を下し、詳細指示提供し、何をすればよいかを部下に伝えることが期待されています。一方、右の方にある文化はコンセンサス重視なので、決断をするときには皆の意見を聞くべきだと考えられています。組織のイニシアティブはマネージャーではなく社員全員が取るべきだと期待され、リーダーが自分の権力を盾に自分の意見を押し付けるのはよくないと思われています。

意思決定の方法のチャート

お互いの文化から歩み寄ろう

歩み寄ろう

日本の場合、このスケールの真ん中の「混合」的な意思決定方法が使われています。要するに、トップダウンの要素とコンセンサスの要素の両方が存在しています。そのため、フランスなど左の方の文化の人から見れば、このケースに見られるように、コンセンサス重視のように映ります。一方、右にある文化の人から見れば、日本の組織では上層部の人の意見がかなり尊重されて いるように見えます。

このような文化的違いを踏まえれば、トップダウン文化であるフランス人が日本の会社のシステムに慣れにくいのは、驚くべきことではないと言えます。

そのため、【a】は正しくありません。最も望ましいのは、【b】と【c】の両方を取り入れることです。ようするに、不必要なお役所的な部分を取り除いて、社内構造の中でできるだけの裁量を与えるのが望ましいです。

もちろんフランスの企業並に個人マネージャーに決定権を与えるのは現実的ではありません。そのため、日本の会社のやり方のメリットを十分説明することも大事です。そうすることによって、両文化のやり方から歩み寄りをして、会社にとってもフランス人マネージャーにとってもより良い状況を作ることができるはずです。

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ロッシェル・カップ

執筆:ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。
異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍企業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日本語が堪能で、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)、『英語の品格』(集英社) をはじめ、著書は多数。朝日新聞等にコラムも連載している。

編集:GOTCHA!編集部