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外資系企業の給料はなぜ高いのか?[外資ワークの真実 03]

BUSINESS STUDY アルクの本

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アルクの新刊(2017年1月)『 英語転職の教科書』のエッセンスをご紹介します。

外資系企業の給料はなぜ高いのか?

転職を考える方からよくいただくのが、外資系って給料が高いの?という質問です。

様々な要因が絡まり、一概に言えることではありませんが、ただ、外資系企業への転職により年収アップを果たしている人が多いことも確かです。

それはなぜか? 理由を考えてみましょう。

外資が高給な理由(1):文化的な背景

第一に、外資の「カルチャー」として給料が高くなりがちだということです。

外資と言っても様々なカルチャーがあり、お国柄によって異なるという話をしましたが、しかしながら、外資系企業の多くは日本企業よりもアグレッシブ。同じ業界で比較しても、個人の成果や実力を評価しようとし、それに対して報酬を与えようとしています。一般的な年間賞与の差もメリハリは大きいし、営業などのインセンティブも「できる人には多く出す」風土があるため、給料は高くなりがちです。

こういうと「それはメリハリの話であって、バラツキが大きいだけで給与の総額は変わらないのでは?」という疑問が生じます。しかし外資の場合、パフォーマンスが上げられない人は会社を去らざるを得なくなる可能性が日系企業よりも高いので、残っている人は比較的高給になりがちです。このような文化的な背景が、給料が高くなる要因のひとつです。

外資が高給な理由(2):希少な人材の獲り合い

次に、移動が激しい業界や職種では給料の相場は上がりがちです。

移動が激しいというのは人の取り合いが激しいということなので、そのような業界や職種では、給料が吊り上がります。IT業界でクロージングを担当する営業などはまさしくそうでしょう。よく知られたところでは、投資銀で働くトレーダーのような方々も、個人の成果が測りやすく、異動も容易なので給料が高くなりがちです。

異動が激しい業界」というと日本人はネガティブに捉えがちですが、できる人からすれば、これは、給料を上げていくチャンスがあるということです。

もちろん、誰でもできる仕事で異動が激しいのでは意味がありません。能力の「希少性」がポイントです。ITの営業にしても投資銀に働く人にしても、供給が少ない人たちである必要があります。だからこそ人の取り合いが始まり、給料が上がっていく訳です。

ここにジェネラルスキルの英語力が加わると、更に希少性が高まります。英語ができる人というのは、IT企業で言えば、営業もさることながら技術者ではさらに供給が少なく、値段は高くなりがちです。英語力のある人の多さは職種によって異なりますが、人事やファイナンスでも同じく英語が加味されれば希少性は高まります。

外資系企業でよく聞く愚痴に「あいつは英語だけで出世している!」というのがあります。詳しくは後述しますが、もし、現実にそういうことが起きているのであれば、ひがんでも仕方ない。努力して英語力を身に着ければ大きなアドバンテージになる、と考えるべきでしょう。

外資が高給な理由(3):リスクプレミアム

次にリスクプレミアムという概念があります。

皆さんが仮に、ベンチャー的な会社、外国の本社が大きくても日本に上陸してからまだ歴史が浅い小規模の日本法人から誘いを受けたらどう思うでしょうか? おそらく、リスクが高いな、と感じるでしょう。「面白そうな仕事だけど、今の仕事にある程度満足しているから動きたくはないな」とか。

しかし、こういう場合も、そのリスクをある程度カバーできるような金銭的な上乗せがあれば受けてもいいかなと考えるのではないでしょうか? もしくは、すぐには無理でも昇進の機会が大きいなら、魅力的に思えるかもしれません。

これは「リスクプレミアム」が給料や昇進(これも金銭的なメリットにつながります)に乗ってくる、ということです。

もちろん、その仕事の面白さが強ければ、リスクプレミアムはそんなに要らないかも知れません。また、現職でもう会社にいられない状況であれば、今の状況で失うもののコスト(機会コスト)が小さいため、プレミアムがさほど高くなくてもこういった転職に応じるかも知れません。それでも平均的にみれば、リスクが高そうな転職であれば、その報酬は、リスクプレミアムのために高くなりがちです。

小さな会社はもちろん、日本企業でもありますが、今の時点で大手企業に勤めているような人たちは中小にはあまり転職しませんし、その場合は給料が下がるケースが多いでしょう。金銭的に失うものの大きい、つまり機会コストの高い大企業の人たちは、いい悪いは別にして、あまり日本の中小企業にはいきたがりません。

しかし、外資系企業への転職は中小でも引き抜き等で起こり得ることもあるので、このような転職ではリスクプレミアムが反映し、給料が上がってくるケースが多いのです。

リスクはあるが稼げる機会も多い

まとめると、外資系企業の競争や差を是とする文化的な背景以外は、スキルの希少性故の引き抜きによる異動の激しさや、機会コストと関連したリスクプレミアムなどの要素で給料が上がりがちになるということです。外資の世界は、リスクはあるが稼げる機会も多いのです。

「お金の話ばかりでいやらしい」という指摘を受けるかも知れません。しかし、多くのサラリーマンの皆さんは本音ではお金を気にしています。

特に、将来的な年金問題など考えると、蓄えも含めてお金について考えなければならないことが多々ある訳で、考えたり気にしたりするのは当然です。また、何らかの理由で「今はお金が欲しい」という方もいらっしゃるかも知れません。留学のための資金準備か、はたまた借金の返済か……その人たちが、歩合の高い業界で頑張るのは、私見ですが、それはそれで社会の多様性として全く問題のないことだと思っています。

日本の働く人たちは事の本質から逃げないで、もっとお金の勉強をしっかりしていく必要があると考えています。この点については本著では詳細までは書きませんが、外資系でも日本企業でもあてはまる「成功するための秘訣としてのお金についてのスタンス」は、この後のコラムでもう少し掘り下げたいと思います。

村上賀厚

村上賀厚(むらかみ・のりあつ)
同志社大学商学部卒業、イェール大学経営大学院経営管理学修士(MBA)
マーケティングエージェンシーで市場調査分析売上モデル作成など、一般消費財メーカーの販促活動をサポート。その後、住友ビジネスコンサルティング等で、大手ゼネコン、電機メーカー、不動産開発会社および石油精製企業などへの処遇制度、人材開発制度、ホワイトカラーの生産性分析などの人事組織コンサルティングに従事。
イェール大学卒業後は、フォードジャパン人事課長、日本JDエドワーズ人事部長、日本モンサント人事総務本部長、ロイタージャパン人事本部長、GEコンシューマーファイナンス日本で人事本部ディレクターを務める。独立後はノリ・コーポレーション代取締役として、エグゼクティブコーチおよび人事・組織関連コンサルティングを行うとともに、収益不動産開発も手掛ける。
著書に『元・外資系人事部長が見た 要領よく出世する人』(東洋経済新報社)がある。