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「ジャーナル・ライティング」で、作文力と語彙・文法力をアップする

「ジャーナル・ライティング」で、作文力と語彙・文法力をアップする

上智大学で英語学習アドバイザーを務める玉木史惠さんには、これまで2回の記事で「リスニング力アップ」「リーディング力アップ」のトレーニングをご紹介いただきました。そのどちらでも、玉木さんは「まずは語彙力と文法知識の増強が大事」と強調されていました。そこで今回は、そのどちらにも効く「ジャーナル・ライティング」トレーニングをご提案いただきます。

みなさん、こんにちは。玉木史惠です。

インターネットの普及により、私たちは、これまで以上にリーディングとライティングでコミュニケーションを取っています。電話をしない日はあっても、SNSの投稿を読んだり、メッセージをメールで送ったりしない日はないのではないでしょうか。

今回は、語学学習であまり話題にならないライティングのスキルを伸ばす学習法のひとつ、ジャーナル・ライティング(Journal Writing)をご紹介します。

ライティングのメカニズム

ライティングのメカニズム

ライティングの成果(=プロダクト)は、紙に書かれた語句や文書、あるいは、画面上に作成されたテキストです。このプロダクトに至るまでのプロセスで、書き手は何をしなければならないでしょう。

  1. 書くアイデアを生み出す。
  2. 語彙や文法やその他の知識(メールの場合は受取人の名前から書くという書式に関する知識や、相手によって言葉の丁寧さを調節する知識など)を使って、アイデアを語句・文にする。
  3. 文字の知識を使って、語句・文を文字化する。

書き手は、自分のライティングをモニターしつつ、この3つのステップを踏みます。モニターしているからこそ、アイデア通りの文が書けなければ修正したり、文字を間違えてしまったら訂正したりすることができるのです。

書きたいことが1語句や1文であれば、3ステップでプロダクトは完成しますが、2文以上を書く場合は、モニターしつつ、この3ステップを繰り返します。優れた書き手は、この繰り返しを支障なく行っています。

では、ライティングに求められるのは、モニタリングと3ステップの実行だけでしょうか。

良いプロダクトとは?

良いプロダクトとは?

ツイッターに投稿するために、次の3文を書いたとします。

I watched a sad movie last night. I missed the last train. I cried.

(昨日の夜、悲しい映画を見たよ。終電を逃しちゃった。泣いたよ。)

これは、良いプロダクトでしょうか。

「終電を逃した」ことと「泣いた」ことには、何かつながりがあるのでしょうか。「昨日の夜、映画を見た」から「泣いた」のでしょうか。この投稿を読んだ人は、書き手が何を伝えたいのかよく分からないでしょう。

良いプロダクトには、1つの話題について述べているというまとまりがあり、読み手が苦労することなく理解できるような、自然で論理的な文のつながりがあります。

モニタリングと3ステップが支障なく行われたライティングでも、1文1文がバラバラでつながりがなく、全体としてまとまりがないプロダクトでは、読み手は理解するのにとても苦労します。そのようなプロダクトは、良いプロダクトだとは言えません。

次のプロダクトはどうでしょう。

I am very sleepy. I stayed up late last night watching a film. It was a sad story, so I cried a lot.

(すごく眠い。昨日の夜は、映画を見て夜更かししちゃった。悲しい話だったから大泣きしたよ。) 

「眠い」という話題を持ち出し、その理由が「夜更かしして映画を見た」からで、「その映画は悲しい話だったから大泣きした」と述べています。文と文がつながっていて、全体としてまとまりがあります。読み手が苦労することなく理解できる良いプロダクトです。

良い書き手になるためには、常に読み手を意識した論理的なライティングをしなければなりません。

ジャーナル・ライティングとは?

ジャーナル・ライティングとは?

心理言語学者のLenneberg博士は、ライティングも水泳もlearned behaviors(習得する行為)だと述べました。どちらも生まれつきできるものではなく、練習しなければできるようにならないからです。うまく泳ぎたければ、たくさん練習します。うまく書きたければ、たくさんの練習が必要です。

うまい書き手になるために、身近な話題で日記(=ジャーナル)を書いて、ライティング力を伸ばす練習法が「ジャーナル・ライティング」です。

ジャーナル・ライティングは、ライティングをする際のアイデアの生成力語彙力文法力ライティングの速さ論理力を鍛えます。

  1. アイデア生成力
    書きたいことを生み出すくせがつく。
  2. 語彙力の強化
    表現したい内容に合った語彙を使うことによって、語彙やコロケーションの知識が強化される。
  3. 文法力の強化
    意味を正確に伝えるための文法を使うことによって、生きた文法力が強化される。ジャーナルを書いたら読み直しをし、間違いに気づいたら訂正する。気づきと自己訂正が学びを促進する。
  4. ライティングの速さの向上
    書かなければライティングのスキルは伸びない。日記の継続で、ライティングのスピードが向上する。
  5. 論理力の強化
    空想上の読み手を意識して、まとまりのある自然なつながりのある日記を書くことで、論理力が強化される。

ジャーナル・ライティングを続けるコツ

ジャーナル・ライティングを続けるコツ

日記帳を買っても、「3日坊主」に終わってしまった経験のある方は多いと思います。日記と英語学習を組み合わせた書籍を利用するのはいかがでしょう。

例えば『Q&A Diary 英語で3行日記』や『Chat Diary 英語で3行日記』(共にアルク)は、質問に答えることで書くアイデアを生み出せるように工夫されています。答えのサンプルも書いてあるので、アイデアが思いつかなければサンプルを見て、質の高いコピーをしてもいいでしょう。

サンプルを写すだけでなく、サンプルを読んで理解し、理解したものを再生するのが質の高いコピーです。サンプルの一部分を変えてコピーする「アレンジ&コピー」も効果的です。

単語や文法事項調べるときには、辞書やアプリを利用しましょう。

KOD(研究社オンライン・ディクショナリー)」などのオンライン辞書をお勧めします。辞書には文法の説明も書いてあります。

スマートフォンで利用できる、『ウィズダム英和・和英辞典』や『表現のための実践ロイヤル英文法』も役に立ちます。

ライティング・スピードを向上させるため、ジャーナル・ライティングを日課にしましょう。

毎日書く時間帯を決めるといいですね。寝る前やお風呂に入る前の時間をジャーナル・ライティング・タイムにするのはいかがでしょう。

ジャーナル・ライティングの手順

ジャーナル・ライティングの手順も決めておくと、短時間で書けるようになります。

  1. 書くアイデアを15~30秒くらい考える。質問に対する直接的な答えと、追加する詳細を考える(追加する詳細は、5W1H:いつ、誰と、なぜ、どのように、など)。
  2. 書いている間は、間違いをあまり気にせずに書く
  3. 見直しをする。語彙文法まとまりと自然なつながりがあるかどうかをチェックする。必要であれば訂正する。

まとめ

現代社会で求められているライティングのスキルを、ジャーナル・ライティングで伸ばしましょう。英語学習の成功は、学習を続けるか否かに左右されます。自分のペースでジャーナルを書き続けて自己管理能力を養い、自律した学習者になりましょう!

おすすめの本

Chat Diary 英語で3行日記

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  • 作者: アルク出版編集部
  • 出版社/メーカー: アルク
  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: 単行本
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  • 発売日: 2016/09/20
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おすすめのアプリ

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玉木史惠

玉木史惠(たまき ふみえ)

上智大学英語学習アドバイザー。テンプル大学大学院にて英語教授法(TESOL)の教育学修士号取得。20年近くにわたり100以上の企業・大学・官公庁で1万人以上の日本人学習者に英語指導をしてきた。英語科教員免許状と英語学習アドバイザープロフェショナルの資格を持ち、英語学習法、TOEIC®をはじめとする各種試験対策、スピーキングとライティングを含むコースまで幅広く担当。日本人学習者にとって有益な内容を効率よく指導することを心がけている。TOEIC®990点、英検1級。共著に『 頂上制覇 TOEIC(R)テスト 究極の技術 トリプル模試 』(研究社)がある。