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日系アメリカ人のクリスマス&夢をかなえた少女~英語絵本2冊

「幼かったころの自分に思いをはせる」英語絵本2冊

英語絵本の案内人、木村千穂さんが、「幼少時代に過ごしたクリスマスの1コマ」「子どものころに描いていた夢」など、大人が子どものころを振り返るきっかけとなる英語絵本を紹介します。

こんにちは。英語絵本の案内人、木村千穂です。これまでは大人が楽しむための英語絵本、英国王室とマインドフルネス~大人の知的好奇心を刺激する英語絵本2冊と、大人のあなたにすすめたい絵がきれいな英語絵本2冊を紹介しました。今回は「幼かったころの自分に思いをはせる」をテーマに、人生を歩んで時を重ねた今だからこそ、楽しみたい英語絵本を2冊、選んでみました。

日系アメリカ人作家 Allen Say の、あるクリスマスの日

Tree of Cranes

Tree of Cranes

  • 作者:Allen Say
  • 出版社/メーカー: HMH Books for Young Readers
  • 発売日: 2009/11/16
  • メディア: ペーパーバック
 
Tree of Cranes(by Allen Say)

1冊目は、Allen Say の『Tree of Cranes』です。

表紙を見て、なんだか昭和な感じの絵、という印象を受ける方も多いかもしれません。実際、私もそうでしたから。この本は、表紙の男の子が大人になり、自分の子ども時代の思い出を語ったものです。彼がまだ半ズボンをはくくらいの年齢だったころの、特別な1日の思い出です。

作者の Allen Say は、1939年(昭和14年)横浜生まれ。16歳でアメリカ カリフォルニアに渡った日系アメリカ人の作家です。母は高校生までアメリカで育った日本人、父はイギリス人の養子として育った韓国人、という家庭に生まれましたが、8歳のときに両親が離婚したため、父親に引き取られています。

そうした彼のプロフィールを知ってからこの本を読むと、自伝的な要素がたくさん含まれているのであろうことが想像できます。

表紙で感じた昭和な雰囲気は、もちろん本文中でも描かれていて、大きな引き戸の門構えがある玄関や広い和室、木の浴槽、障子を開けた窓から見える庭の飛び石、など、現代の都会で見ることは珍しくなってしまったものの、かつての日本なら誰でも見たことがあるような情景が広がっています。何より、本の中に登場する Mama は、家の中で着物にかっぽう着姿なんです!

ある雪が降りそうなほど寒い冬の日、男の子は、外で遊んではいけないと Mama に何度も注意されたのですが、きれいな色のコイを見たさに池に遊びに行きます。そして、風邪をひいた様子で家に帰ったところからお話が始まります。

いつもは玄関へ迎えに出てくれる Mama なのに、この日は遠くの方から返事が聞こえてくるだけ。どうしたのかな、と思いながら男の子が部屋に入ると、Mama は一生懸命に銀色の折り紙で鶴を折っていました。少年の様子を見て、温かいお風呂をたててくれたものの、すぐに立ち去ってしまうし、寝間着(これも着物スタイル!)を着せられて、温かくしてお布団で寝ていなさいって・・・なんだか冷たい。1人寂しく、寝床に運ばれたおかゆをすすり、うとうとしていたところに Mama が植木鉢を持って現れます。それは、庭の小さな松の木を掘り起して盆栽風にしたものでした。

その木をどうするの?と Mama に尋ねる男の子は、今日が何の日か分かる?と聞かれて答えます。「新年の7日前でしょ」。

そして、千羽鶴に糸を通して、松の木につるしながら Mama が話してくれたのは、Mama がカリフォルニアに住んでいたころの、特別な日のお話。そう、クリスマスの様子でした。

And under each tree there are boxes of presents people give to friends and loved ones.

どの木の下にも友達や愛する人たちに贈るプレゼントの箱があるの。

You give and receive, child.

子どもたちも、あげたり、もらったりするのよ。

It is a day of love and peace.

この日は、愛とやすらぎの日。

Strangers smile at one another.

知らない人同士もほほ笑み合うし。

Enemies stop fighting.

ケンカをしている相手とも、いったんお休み。

We need more days like it.

こういう日が、もっとたくさんあったらいいのにね。

盆栽風の松の木に飾られた、いくつもの銀色の鶴と、ろうそくの数々。明かりをともし、Mama の膝の上でそれを眺める男の子と Mama の表情が、多くを語ってくれます。

Mama が今、思いをはせているであろう、かの地の景色や、かの地の記憶。目の前に現れた、光に揺れる鶴やともしびを見ながら、子ども心にそれを思いやる男の子の気持ちさえ、こちらに伝わってくるような気がします。そこで交わされる、男の子が欲しいプレゼントと、ママはどんなプレゼントがいいの?という2人の会話。そして翌日の朝、男の子が起きたら・・・。

最後のページは、Papa と作った庭の雪だるまが、家の障子窓からこぼれる明かりに照らされている絵です。このページに書いてある最後の数行。それをぜひ、ご自身で味わっていただきたいな、と思います。Amazonリンクで紹介している絵本はソフトカバーですが、ハードカバーでは、表紙のカバーを外してみると・・・これまた印象的な装丁が!ぜひ併せてお楽しみください。

幼いころの夢をかなえたジェーン・グドールの伝記!

Me . . . Jane (Mcdonnell, Patrick)

Me . . . Jane (Mcdonnell, Patrick)

  • 作者:Patrick McDonnell
  • 出版社/メーカー: Little, Brown Books for Young Readers
  • 発売日: 2011/04/05
  • メディア: ハードカバー
 
Me ... Jane(by Patrick McDonnell )

さて、話は変わって2冊目は、Patrick McDonnell の『Me ... Jane』です。

この絵本は、チンパンジー研究の世界的な権威となった、動物行動学者、ジェーン・グドールの子ども時代を描いた伝記で、2012年にコールデコット賞を受賞しています。コールデコット賞は、アメリカで出版された絵本の中で、最も優れた作品に対して年に一度贈られる賞です。

ジェーンは生き物が大好きで、お気に入りのチンパンジーの縫いぐるみジュビリーと一緒に、いつも外で実際の動物たちを見たり、本で学んだりしています。表紙にもあるように、この幼いジェーンとジュビリーの絵が、なんともかわいらしいのです。英語も易しく、短い文が多いのでスラスラと読み進められ、ストーリーの世界に入り込めます。

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絵本を開いてみると、見開きページの片側はほのぼのかわいい絵、もう片側には、細密画のような葉っぱや鳥の羽など、植物や動物が淡く描かれているので、そこもまたこの本をさらに魅力的にしている、すてきなポイントです。大人も引き込まれずにはいられません。そしてこの本も、表紙のカバーを外すと見える秘密のおまけが付いているのです。しかし、なんといってもこの本の良さは、ジェーンが幼いころからの夢を実現させること!

Jane dreamed of a life in Africa, too ... a life living with, and helping, all animals.

ジェーンはアフリカでの生活も夢見ていました。動物と共存して世話をする夢です。

最後の方で、幼いジェーンが大人になってこの夢をかなえたんだ!と分かるシーンがあるのですが、それはページをめくると、まずはじわっと伝わってきて、さらにもう1枚ページをめくると、1枚の写真からはっきりとどんな夢がかなったのかが分かります。この運び方、うまいなあ~。ナイスな構成と共に、思わず感激する最終ページのジェーンの写真を、ぜひご自身でお確かめください。

夢は寝て見るもの・・・じゃなかった時代が誰にでもあったはず。幼いころの夢はかないましたか?そしてあなたは幼いころ、どんな子ども時代を過ごしたのでしょう?

年末年始は、いつもは離れて暮らしている家族が一同にそろうご家庭も多いことでしょう。ご両親に、幼いころの自分について聞かせてもらうのもいいかもしれませんね。 Happy Holidays!

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木村千穂

文:木村千穂
リリオブランコ英語教室を主宰。「一生楽しめる英語を身に付ける」をモットーに、英語絵本からはじめる英語、を提案している。年齢を問わず、教室に1500冊以上ある英語絵本の貸出をしながら多読のガイドをする、プライベートレッスンが好評。著書『親子で楽しめる 絵本で英語をはじめる本 』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

編集:増尾美恵子