公開目前!スター・ウォーズの原点にある「神話」 

アルクの英語情報誌『ENGLISH JOURNAL』(イングリッシュジャーナル)の動画連動企画「EJ Lecture」。1月号からは「神話」をテーマとしたレクチャーが始まります!第1回は、神話学者の勝又泰洋さんに「現代に語り継がれる神話の持つ意味」について解説してもらいました。動画を見ながら、英語で「神話」について学んでいきましょう!

勝又泰洋

1987 年、神奈川県生まれ。京都大学ほか非常勤講師、各種カルチャーセンター講師。専門は、ギリシャ・ローマ神話、比較神話学。大学生および一般の人々に神話の魅力を伝えることに尽力。

「スター・ウォーズ」と「神話」の関係

12/20(金)、シリーズ最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が日米同時公開します。本作はシリーズの第9作目にして完結編ということで公開前から大きな話題を呼び、「スター・ウォーズ」ファンだけでなく世界中の人が公開を楽しみに待ち望んでいます。

この「スター・ウォーズ」、実は「神話」のアイデアをもとに製作されたということをご存じでしょうか?

アメリカの神話学者ジョーゼフ・キャンベルは、英雄の活躍や苦難を描いた「英雄神話」を研究しており、その中で (1)出立(2)イニシエーション[通過儀礼](3)帰還、という一定のパターンがある ことを見つけ出しました。英雄は、まず慣れ親しんだ場所を離れ、自分の中での変化を経験し、そして最終的には故郷に帰ってくる、というものです。

「スター・ウォーズ」シリーズに登場するルーク・スカイウォーカーは、自分の父親が誰かを知らないまま、宇宙の旅に出ます。それから自分の父親ダース・ベイダーと出会い、仲間とともに戦い、父親の罪を許すことで、彼の旅は終わりを告げます。 キャンベルの「英雄神話」のパターンといえるルークの精神的な成長に多くの人が感動し、「スター・ウォーズ」シリーズは世界中で大ヒット したのです。

あれもこれも「神話」がモチーフ?

「スター・ウォーズ」だけでなく、実は、映画、小説、マンガ、ゲームといったさまざまなカルチャーの中で、「神話」は現代にも語り継がれ、世界中で愛されています。

単に「神話」と聞くと、伝説やおとぎ話、宗教の物語といった「古い」イメージを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、意外に身近なところにあるものなんですよ。

例えば、映画「アベンジャーズ」シリーズのキャラクターである“Thor(ソー/トール)”は、北欧神話に登場する雷神がモチーフとされています。 ちなみに英語の木曜日『Thursday』は、この雷神Thorから『Thor’s day』となり、さらにそれが変化して『Thursday』となった そうです(※諸説あります)。

ほかにはゲームで登場する地名や武器などでも神話がモチーフとなっているものは多く、「 ユグドラシル (北欧神話に登場する巨大樹)」「 グングニル (北欧神話に登場する主神オーディンが持つ槍)」「 草薙の剣 (くさなぎのつるぎ: 日本神話に登場する神スサノオがヤマタノオロチ(八岐大蛇)を退治した時に見つけた神剣)」などは、ゲーム好きの方なら一度は聞いたことがあるかもしれませんね。

「現代に語り継がれる神話」について動画でチェック!

こういった、現代の人々の生活にも実は深く関係している「神話」。その神話についての学問が、勝又さんが教える「神話学」です。一体どんな学問なのか、詳しくは動画で見てみましょう。

「神話学」ってどんな学問なの?(動画01:40~02:16)">「神話学」ってどんな学問なの?(動画01:40~02:16)

Mythology is relatively new as a academic discipline . It said that it started at the middle of the 19th century. And scholars are interested in the relationship between myth and nature . So for example , Friedrich Max Muller, he worked in Greek and India myth

神話学は、学問分野としては比較的新しいものです。この分野は、19世紀の中頃に始まったと言われています。(当時の)学者たちは、神話と自然の関係に興味を持っていました。例えばフリードリヒ・マックス・ミュラーは、ギリシャとインドの神話を研究しました。

19世紀の学者であるフリードリヒ・マックス・ミュラーやエドワード・バーネット・タイラーらは、神話と自然の関係に興味を持っていました。 ミュラーは神話の例を太陽の機能に結び付け、タイラーは自然現象に人格を与える「アニミズム」こそが神話の起源だと 主張 しました。神話は自然界の象徴にすぎず、神話をそれ自体に価値のあるものとは決して認めなかったのだと、勝又さんは話しています。この後、20世紀に入ると、人間と神話の関係性についてより深く考える学者が登場し、神話学はさらなる発展を見せていき、現在へと至るそうです。

ENGLISH JOURNAL1月号で音声と内容をチェック!

1~3月号レクチャー動画には勝又さんご本人が登場されていますが、1月号誌面に収録された音声はPeter von Gommさんによる吹き替えとなっています。レクチャー動画とともに誌面の音声、スクリプトも併せてご覧ください。

動画での学習は、視覚情報を伴い、英語でどんな内容を話しているかをより理解しやすくなるため、初級者の方にもおすすめです。レクチャー動画を実際に見ながら、「神話」についてぜひ英語で学んでみてください!

ENGLISH JOURNAL (イングリッシュジャーナル) 2020年1月号
  • 出版社: アルク
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 雑誌
 

英語でのレクチャーが充実! EJオリジナル動画はこちら

ENGLISH JOURNAL の連載「EJ Lecture」ではこれまで、ロッシェル・カップさん(経営コンサルタント)による「英語での働き方」、ギャヴィン・ブレアさん(ジャーナリスト)による「Brexit問題」、ソンヤ・デールさんによる「ジェンダー/LGBT」についてレクチャーしていただきました。ビジネスパーソン必見の動画となっていますので、ぜひこちらも併せてお楽しみください!

www.alc.co.jp

写真:田村 充
構成・文:須藤瑠美(ENGLISH JOURNAL編集部)

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