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グローバルな場で伝わるシンプル&ロジカルな英語スピーキングのコツ1つ【同時通訳者の秘訣】

英語学習解決室

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回の相談は、「ちゃんとしたビジネス英語が苦手」です。

相談:ビジネスできちんとした英語が使えない

今回のご相談は、「日常英会話はある程度できるけど、仕事の英語できちんとした話し方ができない」です。

ビジネスでは誰もが分かる英語を使うのが大切

私はビジネス通訳を25年してきましたが、ビジネス英語には一般に大きな誤解があります。それは、英語が正確でなければならないという思い込み。しかし実はシンプルで論理的であればいいのです。なぜかも含めて詳しくお伝えしていきます。

例えば、こんなことがありました。

あるアメリカ生まれの日本人通訳者の話です。その人は英語がネイティブスピーカーのレベルで、同時通訳の仕事をすると英語ネイティブスピーカーには大絶賛されていました。

しかし、彼女が通訳した英語は、アジア出身者など英語が第1言語でない人にはポカンとされてしまうことも多々ありました。ご本人は、グローバルなコミュニケーションの視点から考えると、自分の英語は伝達において阻害要因になってしまっているように感じられたそうです。

実は、シンプルな中学生英語で同時通訳をする私のような同時通訳者の方が、アジア人もネイティブも一度ですぐ理解できるから、コミュニケーションとして効果的なのです。これはかなり重要なポイントです。

同時通訳とは、本当に一発勝負です。通訳した英語が聞き手に伝わらなければ、聞き手が内容を理解しないまま、会議などが進行し続けます。ネイティブスピーカーに近い英語力がない場合、ほとんど理解できない、または中途半端な理解のまま、会議が進行するのです。

どうでしょうか?あなたがもし会議で他の人の発言を中途半端にしか理解できなかったら、積極的に意見を言うことはできますか?そもそも、その場で話されていることが分からないのに、意見を形成することなどできるでしょうか?

さらに、英語が理解できず誤解をしてしまったとしたら、誤解を解くのに、一発で理解できた場合と比べて倍の時間がかかります。

これらのことから、一度で理解してもらえるコミュニケーションを取ることは極めて重要なのです。そのために、日本を含めたグローバルな場では、英語がネイティブレベルである必要はなく、むしろシンプルな英語で伝える方がビジネスではより効率が高く、最適であると言えます。

自分の英語が稚拙だと思っていたとしても、そう思わずに、シンプルな英語は価値が高いのだと思って自信を持ってコミュニケーションしてください。

分かる人が限定されるbig wordsは使わない

シンプルな英語とは例えば、big wordsではなくsimple wordsを使うということです。big wordsというのは英検1級で出てくるような、『TIME』誌や『Newsweek』誌で多用される大学院レベルの長くて難しい単語のことです。

例えば、同じ「Aさんは気分が変わりやすい・気分屋だ」という文も、big wordで言うこともsimple wordで言うこともできます。

Aさんは気分が変わりやすい・気分屋だ。

A is capricious. ※big word

A is moody. ※simple word

かなり単純な例ですが、capriciousは大学院レベルの単語で、知っている人の数が限定されてしまいます。

それに対してmoodyは、日本の人も意味を想像しやすいのではないでしょうか。moodyから連想できるmoodは日本語でも「ムード」として使います。もちろん、日本語で言うところの「ムードがあるお店ですね」といった使い方は英語ではしません。それでも、moodが気分と関係していることは、capriciousよりも想像しやすいのではないかと思います。

このように、ビジネス英語ではできるだけシンプルな表現で伝えることを心掛けましょう。

▼シンプルな英語で話せる2ステップ訓練法がこちら↓

gotcha.alc.co.jp

論理的に話さないと伝わらない

ただし、シンプルな英語であれば何でもいいかというかと、そういうわけでもありません。

日本語話者など、英語を使わない人の通訳をする際の注意点として通訳学校でいつも言われるのが、論理的なコミュニケーションです。英語やヨーロッパ言語などの話者でない人は、論理的ではないコミュニケーションになりがちなのです。そして人間は、論理的であろうとしないと、多くは時系列思考になります。

例えば、時系列思考の発言はこんな感じです。

「今朝はアラームの電池切れで、寝過ごしました。それで慌てて出掛ける支度をし、家を出たら、雨が降っていて、それで自宅に戻って、傘を持ってから、バスに乗ろうとしたのですが、あと一歩のところで足が滑って転んでしまい、バスに乗り遅れてしまって、会議に遅刻しました。すみませんでした」

もしこれをそのまま英語で上司に話したら、What’s your point?(あなたは何が言いたいのか?)と怒られてしまうでしょう。

では、どうすればいいのでしょうか?英語的思考ではこうなります。

「会議に遅刻した理由は、3つあります。アラームの故障予想外の雨、雨による転倒。今後は、アラームの電池の定期的交換、天気予報の事前確認、雨の日でも滑らない靴の入手で予防します」

このように言えば、上司も怒ることもなく「分かった」と言ってくれて、事は済むでしょう。なぜなら、遅刻の理由と原因への対策が端的に伝わるからです。

これを、論理思考と呼びます。

遅刻したという結論から話して、続けてその原因を伝え、最後にそれに対する予防策を伝えれば、何の話をしているのかが最初からよく分かり、一言一句、無駄なく意思疎通ができるのです。

しかし、最初の時系列コミュニケーション、これを「ぐるぐる思考」とも読んでいますが、それだと、話の最初で、聞いている人はなぜアラームの話が出てくるのかよく分かりません。「遅刻してすみません」という結論が最後に話されるまで、一切、効果的なコミュニケーションになっていないのです。

論理思考を身に付けるには、実は、論理思考の本を読んだり、学校に行ったりする必要はありません。もちろん、勉強することも悪くありませんが、もっと簡単に論理思考を身に付ける方法があります。

それは、頭の中で「要は?=in a nutshell」と考えることです。こうすることで、自分が一番伝えたいポイント=結論が脳内で引き出されます。そして次に、「理由は?=The reasons are ...」と考えます。それから、「例えば?=For example?」を考えてください。最後に、「だから?=So what?」と自分に問い掛けて、再度、結論を言葉にします。

こうして自分から引き出した答えを、シンプルな英語にして、この順番で伝えれば、英語らしく論理的で、かつどんな人にも理解してもらえるコミュニケーションをすることができます。

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文:小熊弥生

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株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish:著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)