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John、Dick、Harry・・・。よくある名前の本当の意味を知らないと困るかも?!【スーパー英会話表現】

John、Dick、Harry・・・。よくある名前の本当の意味を知らないと困るかも?!【スーパー英会話表現】

英会話の達人、カン・アンドリュー・ハシモトさんが今回取り上げるのは、英語でよくある名前を使った表現について。JohnやHarryの別の意味を知らないと、会話についていけないことがあるかもしれません。

英語にも日本語にも通用する子どもの名前

日本人女性と結婚をしたアメリカ人の友人が「オレ、パパになるかもしれない」と幸せな報告をしてくれたのは10年程前のことでした。そのとき、彼に子どもはいませんでしたが、僕はある時期、彼と一緒に子ども向けの英語番組を作っていたので、彼がどれほど子ども好きかをよく知っていました。

You’ll make a great dad.
君は素晴らしいパパになるよ。

僕が言うと、彼は照れながら言いました。

I’m looking for names that work in both English and Japanese.
英語にも日本語にも通用する名前を探してるんだ。

「オレの名前なんてさ、日本人はきちんと発音してくれないじゃないか。そういうの、かわいそうだなと思って」

「Naomi(奈緖美)とかAmy(恵美)とかHannah(花)とか、たくさんあると思うよ」

「Anne(杏)とかJune(純)とかEmily(絵美里)とか」

「Erika(えりか)って名の日系人の女の子はたくさんいるよね」

「I’ll second that!(確かに!)じゃ、それはやめる」

「LとかRとか日本語にない音は避けるのも、発音の違いが少なくていいと思う」

「Ai(愛)は英語の名前にはないけど、どちらの言語でも発音しやすいよな」

「いや、Aiはやめた方がいい」

「どうして?」

「僕のめいのミドルネームがAi(愛)なんだけど、小学生のとき“You’re I?”と笑われたり、“Hey, Eye ball!”とからかわれたりして、それ以来ミドルネームはクラスメートには秘密だったもの」

「なるほど」

「奥さんは何て言ってるの?」

「彼女はオレの考えに感激して、名前は任せるって」

「子どもは女の子なの?」

「まだ分からない。でも女の子の名前を考える方が楽しくてさ。また相談に乗ってくれよ」

それだけは嫌!猛烈に反対された名前とは?

後日、赤ちゃんは男の子だと分かり、彼と僕とでワインを飲みながら名前のリストを作りました。先日、そのリストがオフィスの引き出しから出て来て(それがこの原稿を書くきっかけになりました)、それを見るとこんな名前が並んでいました。

Kai 海
Ken 健
Kent 健人
Joe 城
Kay 恵
Casey 敬士
Rick 陸
Eugene 友人
George 丈二

二人で張り切って作ったリストだったのですが、数日後、彼からこんな電話がありました。

「もっといい名前を思い付いた。Kanには先週時間をもらったのに悪かった。この前のリストは捨ててくれ」

I could be his godfather.
僕が名付け親だって思ってたのに。

「日本人の名前なのにアメリカ人でもみな知っている、とても親しみやすい、発音もしやすい、最高の名前なんだ」

I’m sure you’ll love it, Kan.
ぜったいKanも気に入るって。

そう言いながら、彼はその電話では名前を教えてくれませんでした。まだ奥さんにもその最高の名前は伝えていないとのこと。

I can’t afford to tell you that before her, can I?
彼女より先にKanに言う訳にはいかないだろ?

じゃ、こんな電話してくるな、と思いましたが、彼がうれしそうに「名前を付けた記念のパーティーをやる、そのときまで秘密にしようと思う」と言うのを聞くと、僕も幸せを分けてもらったような気持ちになりました。

落ち込んだ彼からの電話を受けたのはそれからすぐのことでした。

She rejected the name.
その名前はダメだって。

How come?
どうして?

I have no idea. But NOT if her life depended on it.
分からない。でも死んでもイヤだって。

「ちゃんと話し合ったの?」

「話し合える感じじゃないんだ」

「名前は何?」

「ハチ」

忠犬ハチ公をモチーフにしたリチャード・ギア主演の映画『Hachi: A Dog’s Tale』(邦題:HACHI 約束の犬)を最高に気に入っていた彼は、そこから名前を思い付いたとのこと。

奥さんには、もしも息子をハチという名前にするなら離婚するとまで言われたそうで、友人は落ち込んでいました。僕自身は悪い名前じゃないと思うのですが、周りの日本人に尋ねると「奥さんの気持ちは分かる」という意見ばかりでした。

「それはイヌの名前だから」と。

友人が調べたところによると(僕も調べてみました)、「ハチ」はイヌとしてしか通用しない名前ではなく、人の名前でもあるようなのですが、奥さんの反対は想像以上に激しいとのことでした。

赤ちゃんが産まれてからも「ハチ」を諦めきれない友人と奥さんの戦いは続き、とうとう友人は奥さんのご両親から「いつまでも名なしの権兵衛じゃ、かわいそう」と電話をもらい、結局、息子の名前は奥さんが付けることになりました。

JohnとJane、よくある名前の別の意味

そこで今回は、英語圏の名前を使ったちょっと変わった表現についてお話ししてみたいと思います。

「名なしの権兵衛って矛盾してるよ(contradict itself)。権兵衛って名前があるんだから名なしじゃないじゃないか」と友人は言っていましたが、英語にも同じ表現があります。

身元不明の人を英語では、男性ならJohn Doe、女性ならJane Doeと言います。映画やテレビ番組で身元不明の死体は必ずそう呼ばれるので、ご存じない方は次に映画を見るときに少しだけ注意して聞いてみてください。

複数の身元不明の死体は、John Does / Jane Doesのように単純に姓にsを付けて複数形にします。仮名や匿名にしたい場合などにもJohn Doe/Jane Doeは使われます。

The suit accused several John Doe defendants of sending deceptive e-mails.
詐欺メールの送信者を身元の特定をしないまま被告として提訴した。

日本語では、例えばニュース番組などで「詐欺メールの送信者を名なしの権兵衛のまま被告として・・・」とは言わないですよね。「名なしの権兵衛」は俗称か口語なのでしょう。それに対してJohn Doe / Jane Doeはニュースや訴訟などでも使われる表現です。

JohnやJaneが使われるのは、英語圏ではそれほど多い名前だということが理由なのでしょう。

「ジョンのところに行く!」ってどういう意味?

Johnには、もう一つ興味深い意味があります。

ここから先はクイズにしてみますので、挑戦してみてください。

1)I’ll go to the John.
2)Where is the John?

どんな意味だと思いますか?

「ジョンの所へ行く」「ジョンはどこ?」ではありません。この場合のJohnは「トイレ」という意味です。

1)は「トイレに行ってくる」、2)は「トイレはどこ?」と尋ねています。決してJohnさんを探している訳ではありません。

友人同士で話すようなときに使われる口語ですが、覚えておくと奇妙な誤解がないかもしれませんね。水洗トイレを発明した人の名前から、この表現が生まれました。

Johnと同様に、TomやDick、Harryも多い名前です。

3)Every Tom, Dick and Harry knows that Beyoncé is a singer.

これはどんな意味でしょう?

「TomもDickもHarryもビヨンセが歌手だって知ってる・・・?」

まあ、ほぼそのような意味ですが、これは「誰も彼もが」という意味の決まり文句です。

「誰も彼もがビヨンセが歌手だってことは知ってる」と言っているのです。

3つの名前は必ずこの順番で、DickやHarryの名を最初に言うことはありません。3つとも男性の名前ですが、この表現は女性に対しても使います。

Not every Tom, Dick and Harry gets a chance like this.
こんなにおいしい話を誰にでもするわけじゃないんです。

詐欺師やインチキ不動産業者(?)などが口にする、これも決まり文句のsales pitch(売り口上)ですが、男性に限定している訳ではなく、女性客に対しても使われるせりふです。

「3分待てばボブは君のおじさんだ!」

最後は、友人のイギリス人ナレーターがよく口にするこの表現。

4)Pour some hot water and wait for 3 min. and Bob’s your uncle!

どんな意味でしょう?

「お湯を注いで3分待つ、そうすればボブは君のおじさん???」

何それ、訳分からん、と思うかもしれませんね。

Bob’s your uncleは、イギリス人やカナダ人が好んで使う表現で「それだけでOK!」とか「たったこれだけで出来上がり!」という意味です。

何かの使い方や作り方などを説明するときに使われることが多いです。例文は「お湯を注いで3分待てば、それで出来上がり!」ということです。

19世紀にイギリスの首相を務めたロバート・セシル(Bob Cecil)が、周囲の反対を押し切って自身の甥をアイルランドの長官(Chief secretary)に任命をしたとのこと。周囲は皮肉をたっぷりこめて「(能力はないけど)Bobが君のおじさんなんだから大丈夫だよ、何の問題もない」と言った――そんなことからこのフレーズは生まれたそうです(諸説あるそうです)。

これが口癖の友人があるとき、“Robert’s your auntie’s husband.”と言ったことがあります。僕は一瞬目が点になりました(I was like, “What?”)

でもニヤニヤしている彼の顔を見ているうちに分かってきました。BobはRobertの愛称ですから、「Robertは君のおばさんの夫(=おじさん)」ということは、つまり「Bobは君のおじさん」(BobはRobertの愛称)と同じことを言っているわけです。

回りくどくて分かりにくいところがさすがイギリス人、と思ったことを覚えています。

英語独特の表現を楽しんでもらえたらうれしいです。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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カン・アンドリュー・ハシモト

カン・アンドリュー・ハシモト
アメリカ合衆国ウィスコンシン州出身。教育・教養に関する音声・映像コンテンツ制作を手がける株式会社ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。英語・日本語のバイリンガル。公益財団法人日本英語検定協会、文部科学省、法務省などの教育用映像(日本語版・英語版)の制作を多数担当する。また、作詞・作曲家として、NHK「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」やCMに楽曲を提供している。9作目となる著作『外国人に「What?」と言わせない発音メソッド』(池田書店)が発売中。