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留学や海外駐在で英語力がアップする事前準備とは?【同時通訳者が教えます】

英語学習解決室

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回の相談は、「海外に行けば英語ができるようになると思っていたのに、違った!」です。

相談:海外に来ても英語が全然話せない

今回のご相談は、「海外に行きさえすれば英語が話せるようになると思っていたのに、話せないまま・・・」です。

語学留学者や海外大学卒の人でも英語が話せない?!

これは、留学などの場合、かなりコストもかかっているからこそ、深刻な問題ですよね。そして、この問題に直面する人の数は、思いの外、多いことを強調させてください。

どのくらい深刻かをご理解いただくために、私が実際に相談を受けた事例を、個人が特定できない範囲で紹介します。

  • 某企業元幹部が、会社が費用を出して語学留学させてもらったものの、英語は一切できるようにならず。
  • アメリカの大学を卒業しても、英語ができるような感覚が全くなく、海外講師の来日講演でも通訳に頼る状況。
  • 大学時代に語学留学して英語ができるようになったと言いながら、就活面接で英語を一切話せず、その後も通訳に依存。
  • アメリカ人と結婚して10年以上たつのに、英語は初心者レベルから抜け出せず、ひそかにコンプレックスに悩む。

他にも枚挙にいとまがありません。

こういう方々は皆、海外にさえ行けば(または英語圏の人と一緒にいれば)、英語ができると思い込んでいたのです。

しかし、実際にはそうならない理由を明確にお伝えしますので、同じ過ちをしないようご注意いただければと思います。

海外に行っても英語ができない理由

語学留学や海外大学への進学をしても英語ができないままになる一番の要因は、「英語圏で過ごせば、英語が自然と聞き取れるようになる」という思い込みです。

これは、幼少期でまだ脳が発達中の状況では、確かにイエスです。しかし、私が知る限り、これが当てはまるのは中学生まで。

高校に入ると、本人のオープンさが成否を分けるようになります。すなわち、性格がオープンで、良い友達に恵まれる、良いホームステイ先に恵まれるなどの運によって、英語が話せるようになるかが決まってしまう傾向が強くなります。

容赦のないスピードに圧倒される

なぜ、海外に行くだけでは英語でコミュニケーションできるようにならないのか、もう少し詳しく説明します。

海外に行って直面する現実は、英語圏で話される英語は、TOEICや英検、英会話学校、英会話の教材で聞く英語よりも数倍も速いということです。そのため、容赦のないスピードに圧倒されてしまいます。

しかも、話す際にも、正しい文法で話そうとゆっくり考えながら話していると、一切相手にされないことが起こり得ます。

この状況には、実は私も通訳者として陥ったことがあります。

通訳デビューしたばかりのころは、海外出張の案件よりも国内案件が多く、国内の仕事での顧客は、「逐次通訳ではメモを取らないといけないので、ゆっくり話してください」とか「同時通訳では、聞きながら英語を理解して翻訳して日本語で話すので、ゆっくり話してもらえないとできません」と伝えることによって、ゆっくり話してもらえる場合がほとんどでした。

しかし、通訳歴が10年を超えるころから、海外出張の案件も入るようになりました。そうすると、一対一で話しているときにはゆっくり話してくれる英語話者も、出席者の大多数が英語ネイティブスピーカーの対面会議では、容赦なく速く話します。

さらに、電話会議(ウェブ会議)ともなると、回線状況によっては音声がぶつ切りになり、しかも早口で、インサイダー(内部関係者)のトークに特有の「あれ、これ」的な話し方が多くなり、外部の通訳者であった私が完全に置いていかれることも少なくありませんでした。

一番強烈だったのは、世界ナンバーワンコーチのアンソニー・ロビンズによるセミナーでの通訳でした。8000人いる参加者の中で日本人はたったの20人ですから、まさかアンソニーが日本人の通訳者のためにゆっくり話してくれるわけがありません。初めて通訳させていただいたときには、もちろん事前に状況は理解していたものの、タクシーの運転手からF1レーサーに突然アップグレードさせられたようなつらさを感じました。

そのときから、ネイティブの自然な速度すなわち日本人にとってはものすごい早口を克服する必要性に迫られて、対応できるように工夫を重ねました。自分で「リスイン」というメソッドを作り、リスニング力を強化することによって短期間で聞き取れるようになり、同時通訳ももちろんできるようになったわけです。

それにしても、ナチュラルな速さの英語に対応できないことは、日本の英語教育が抱える大きな問題だと思います。

何しろ、日本の英語教育の一番上のランクであると言っても過言ではないはずの英検1級に受かっても、そして通訳学校で何年も勉強したあとにもかかわらず、正直、映画やドラマで少しでも込み入っている話題が出てくると聞き取れませんでした。

ですから、語学留学や海外赴任で渡航した人が最初は英語を全く聞き取れない状況は、当然と言えば当然かと思います。

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たどたどしく話す英語を待ってはくれない

もう一つ、多くの海外渡航者がぶつかるのは、いざ英語で話そうとしても、1文を言うのに1分以上もかかるような速度でしか話せないのであれば、全く相手にしてもらえないことがあるという状況です。現地の人にとっては、聞き取るのも話すのもスムーズにいかない外国人とやりとりするのは大変です。

これは例えば自分が日本で、忙しい日々の中、留学生と話すことになった場合を想像してみると分かると思います。1回会話するくらいならいいし、楽しいかもしれなくても、ゆっくりした会話となると、毎回、相手にするのはなかなか難しい、となるのではないでしょうか?

海外に行って陥るわなとは?

英語に関して何も準備せずに、あるいはTOEICやTOEFLといった資格試験の勉強ばかりしてしまった人が陥るわなとは、具体的にどういうものでしょうか?

まず、準備として、映画でもドラマでも、せめて骨子は分かる程度に英語を聞き取れるようになることが最低限、必要です。さらには、ネイティブスピーカーや達者な英語話者がクスッと笑うところを理解できるレベルには到達しておきたいものです。

その準備が十分でないと、海外に行っても誰も相手にしてくれないでしょう。そうなると結局、人間一人では生きていけませんから、寂しくなり、相手をしてくれる人とつるむことになります。

そして、同じ言語を操る日本人との会話に終始してしまいます。あるいは、ブロークンな英語でやりとりできる留学生や、日本好きで日本語が話せる現地の人とばかり付き合うようになってしまい、英語力は一向に伸びない結果になるのです。

こうして見ると、「海外に行けば、なんとかなる」というのは大きな誤解で、そう思っているとかなりの確率で悲惨な状況になり得るということがお分かりいただけたでしょうか?

では、どうすればこの問題を回避できるのかをお伝えします。

渡航前に最低限レベルの英語の準備をする

渡航後の失敗は、渡航前に最低限レベルの英語力を身に付けておくことで回避できます。

最低限レベルとは、まずナチュラルスピードの英語を聞き取れるようにしておくことです。これは多くの人が侮ってしまいがちで、勘違いが発生する率が最も高いのです。

でも実は全てを聞き取れなくてもよくて、意図を聞き取れればいいのです。

冠詞のaとかthe、複数形の-sなど、細かいところは聞き取れなくても問題ありません。

要は相手が、ビールが欲しいか、牛乳が欲しいか、コーヒーが欲しいかといった用件だけ分かれば、最初はOKです。

くどいですが、ナチュラルスピードに慣れておくことは必須です。

映画やドラマ、その他、興味がある番組などを見ると、ナチュラルスピードの英語に慣れることができます。また、そういった学習方法により、ネイティブスピーカーが使う単語やフレーズも自然と仕入れられます

10分で10倍聞き取れる「リスイン」メソッドは、海外に行く前にこのメソッドで学習すると、ナチュラルスピードの聞き取りとネイティブ表現の仕入れが同時にできて、スピーキングと発音矯正にもなりますから、一石二鳥どころではないメリットがあります。

▼「意図」を聞き取るリスニングの詳細はこちら↓

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フレーズの暗記よりも聞き取りの対策が先!

ありがちな失敗が、単語やネイティブらしい表現を一生懸命覚えようとすること。せっかく覚えても、相手の話が聞き取れなければ、結局、会話にはなりません

聞き取れないから、おじけづいて、ますます話そうとしなくなり、話さないので覚えたことを忘れてしまって、結局身に付かないというパターンに陥ります。とても残念ですね。

聞き取れないと、(文字通り)話にならないですし、聞き取れれば、あとは単語が言えるだけでも、最初はなんとかなります。もちろん、ブロークンな英語でも大きい声で素早く話していれば、相手も聞いてはくれるでしょう。

▼素早く簡潔に話せるようになる方法はこちら↓

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まとめ

海外にいきなり行って、結局は英語ができるようにならなかった、という失敗をしないためには、まずは日本でナチュラルスピードの英語を聞いて骨子をつかめるようにします。リスニングで、相手が言おうとしているメッセージだけは理解できるように訓練しておくのです。

スピーキングについては、キーワードを使って即座に返答できるようにしてから、渡航しましょう。

あとは渡航後に、相手が使う表現をどんどんその場で言ってみて、自分の表現として仕入れて使えるようにしていけば、ネイティブ並みの英語力を手に入れられます。そうすると、たくさんの現地の友人ができて帰国したり、あるいは現地に滞在し続けたりできるでしょう。

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文:小熊弥生

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株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish:著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)