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英語のプロが考える、英語力を上げるために最も必要なものとは?【新刊発売記念対談・後編】

英語のプロが考える、英語力を上げるために最も必要なものとは?【新刊発売記念対談・後編】

電子書籍「GOTCHA!新書」のシリーズ第4弾発売記念対談の後編です。新刊『41歳の通訳者が15年ぶりに本気で取り組んだ英語学習法』の著者、川合亮平さんが『TOEIC(R) L&Rテスト スコアアップの奥義』の著者、早川幸治さんとトーク。英語指導のエキスパートの2人が自ら実践する英語学習法を教えていただきます。

英語力を上げる一番の秘訣は「自信」

編集部:イギリスの方とご結婚されていますが、家ではずっと英語なんですか?

川合:子どもたち同士では日本語を話すことがありますが、基本的に家では英語です。

編集部:子どもって、日本にずっといると日本語が優勢になっていきませんか?

川合:優勢になっていきますね。毎年夏にはイギリスに行くので、そこで若干リセットされますが。あとは、妻が子どもに毎日英語の読み書きを教えるようにしています。片親が英語を話すとはいえ、日本に住んでいるとどうしても日本語が優勢になっていくので、そうならないためにはルール化などの努力が必要ですね。

編集部:それだけ日常的に英語に触れる機会のある川合さんですが、41歳になって、英語をまた勉強しなきゃと思った。その転機を教えてください。

川合:早川さんも僕もスポーツが好きなんですが、プロレスしかり野球しかり、どんなスポーツ選手でもプロと呼ばれる人は、試合のために練習をしていますよね。僕もふと振り返ると、英語のプロフェッショナルとして通訳や翻訳をしている。仕事は試合にも置き換えられると思うんですが、日々スポーツ選手のように練習しているかというと、していないと気付いたんです。

プロフェッショナルで、英語を武器としているのなら、英語は日々磨かないと、そのうち仕事が行き詰まるような予感がしました。何もしなくても仕事がどんどん来ているなら努力しなくてもいいのかもしれませんが、僕のようなフリーランスは、思うように仕事を得られない時期もあります。そういうときに自分の出した答えのひとつが「実力を上げること」でした。

編集部:何か変化は感じられていますか?

川合:自信が多少付いたというのはありますね。実質的な英語力が上がったかどうかはなかなか客観的に言えませんが、通訳の現場に行くにしても「日々鍛錬している」という自信があるので、それが結果にも反映されているように感じます。

編集部:自信がつくというのは大きいですか?

川合:大きいですね。何の勉強でもそうですが、大人が学習するということは人生にとって有意義なことなんだなと確信しています。一生勉強するというのは、嫌々することではなく、幸せなことだと最近は思っていますね。 

アウトプットのためにはそれ以上のインプットが必要

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一生勉強するというのは、嫌々することではなく、幸せなことだと最近は思っています――川合亮平さん

編集部:早川さんは、噺家(はなしか)さんなどの公演に何度も足を運んで学ばれているということでしたが、教えることから得られるものとは何でしょうか。

早川:英語力を伸ばすことだけでなく、スポーツが上達するのも、カラオケを歌えるようになるのも、上達のプロセスは全部一緒だと思っています。これまではずっと英語のセミナーをやってきましたが、最近は英語だけではなくプレゼンのセミナーや習慣化のセミナーも開催しています。でも内容の2割は英語のセミナーと一緒です。それは、本質が似ているからなんです。

人が何かに上達するプロセスさえ伝えられれば、英語も他のものも全部上達しやすくなるんじゃないかと思います。最終的に重要なのは「自信」です。自信さえつけられたら、あとはそれぞれが伸ばしたいスキルを伸ばせばいい。それが、私自身が教える中で学べたことですし、学習の楽しいところですね。

川合:早川さんはフリーとしてデビューされて以降、英語の業界でずっと活躍されているイメージがあって、ここ数年親しくさせていただく中で、その秘訣を探っていたんです。英語力が高いからといって売れっ子の人気講師になれるわけではない。もちろんある程度の英語力は必要ですが、売れる売れないを分けるものは本当のところ何なのか。僕が気付いたのは、やっぱり「勉強」だったんですよね。努力とは思っていないかもしれないけれど、公演などに足を運ばれることが結果につながっていて、「じゃあ僕も勉強しよう」と思いました。

編集部:人前で何かをアウトプットするためには、その10倍ぐらいインプットがないと駄目ですよね。

早川:Facebookでくだらない話を書いているのも練習なんです。いかにくだらないことを真面目に書くか。たまに4行しか書いていないのに結構時間かけているときもあるんですけど。書いてるうちに「オチがないなあ」とか(笑)、「どうしようかな」と悩んで。朝書こうと思って一日中悩んで、夜やっと出来上がることもあります。あれも練習ですね。

編集部:ポンポンポンと話題が出てくるイメージでした。

早川:基本的には練習しています。そうしないと出てこないです。

川合:「セミナーの後は無性に本が読みたくなる」ともおっしゃっていましたよね。

早川:アウトプットの後はインプットしたくなるんですよ。セミナーの後に本屋に行くと、3冊くらい買っちゃうんです。本を読むスピードと買うスピードが全然釣り合わない(笑)。

編集部:連載のコラムを書かれるときも、かなり時間かけてます?

早川:すぐには書けないですね。途中で一回手を止めて、本を読んだりした後に「この話はいいかもしれない」と着想を得て戻るということもあります。

編集部:仕上がった原稿が、早川さんのは早川さんらしく、川合さんのは川合さんらしくて面白いんですよね。川合さんはどちらかというと軽妙、軽快な文体というイメージがあって楽しく読んで、早川さんは、笑いを忍ばせながらも理路整然と話が落ちていくような、全然違うスタイルなので、それぞれに面白い。

川合:SNSで僕をフォローしてくださった方で、「TOEICを受けるから」と早川さんの連載を読んで「すごく勉強になりました」という声は結構聞きます。 

「ネガティブを跳ね返す」英語学習におけるモチベーションの高め方

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英語力を伸ばすことだけでなく、スポーツが上達するのも、カラオケを歌えるようになるのも、上達のプロセスは全部一緒だと思っています――早川幸治さん

編集部:では今度はお二方に。「今後こんなことをやってみたいな」とか、これからの展望、野望を。

川合:僕は一つは「もっと英語力を上げる」ということです。

編集部:ちなみにもっと英語力を上げるとどうなるんですか?今でも普段の会話や、通訳される分には支障ないと思いますが。

川合:確かに支障はありませんが、「もっとできるな」というイメージが自分の中にあるんですよね。たとえば通訳していても、「100パーセント完璧にできた」という実感を持ったことはありません。改善する余地は常にあるんです。伸びしろが自分で見える限りはそこを埋めるようにしたいなと。

編集部:言い方を変えると「現状に満足すべからず」?

川合:そうですね。現状に満足すべからずですね。

編集部:同じことを繰り返していると、何となくなあなあになってくるじゃないですか。そこからさらに上を目指していく心構えが大事なのかもしれないですね。「この人の通訳がしたい」というのはありますか?

川合:例えばですが、「来日するスターの通訳といえば川合」と思ってもらえるくらいにはなりたいです。来日通訳と言えば戸田奈津子さんを思い浮かべる方も少なくないと思いますが、それくらいの信頼度と実力をつけたいです。

編集部:早川さんは?

早川:自分を客観的に見ていると、僕は上達は遅いけれど反復する力があるようです。それに上達が遅い分、いろいろ考えながら人のまねをよくするんですよね。まねをしながら上達させてきたので、自分の中で、英語の勉強も、プレゼンや笑いも体系化できていると思います。

教えることで悩んでいる方は多いのではないでしょうか。僕が教え始めたとき、最初に頂いた感想は「教え方が下手」でした。なんとかしなきゃいけないということで、すぐお笑いなどの公演を見に行き始めました。「こうすれば分かりやすくなる、こうすれば面白くなる」というのが積み上がってきたので、悩んでいる先生方にそれを提供していきたいというのはありますね。3月にTOEIC対策の指導者向けの講座を開催しましたが、「そのまま実践したら結果が出た」という声も頂いています。

編集部:ネガティブな要因を跳ね返すことがモチベーションになるパターンもありますね。

川合:それは学習者にとって重要ですよね。居心地の良い領域から外に飛び出して、傷ついてみることで「やるぞ」という気持ちになる。そういう意味で、学習している人は英語圏に旅行やプチ留学をすることも、起爆剤になるんじゃないかと思っています。日本にいるとモチベーションがどうしても上がらないという悩みがありますが、現地に行くと結構すぐに解消されます。

早川:どうしても日本でやる英語はテスト勉強になりがちですよね。正解不正解だけが基準になって、英語を嫌いになる人が多い。一方、海外旅行に行った人は「よーし、英語やろう」と意気込んで帰ってきます。何が違うのかなと思ったら、「海外に行ったら英語はテストではなく日常だった」と言うんです。英語がコミュニケーションツールだということに気付いたので、帰りの飛行機の中でやる気になって、帰ってきて「よーし、英語やろう」と本屋に行くと、また「正解不正解」の教材を買ってしまい嫌になる。それの繰り返しです。行き詰まったら一度外に出る、というのはおすすめですね。 

二者それぞれの切り口で英語を深めるGOTCHA!新書

編集部:最後にGOTCHA!新書。まず川合さんの本『41歳の通訳者が15年ぶりに本気で取り組んだ英語学習法』をこれから手に取るという方に一言。

川合:この本は、英語で行き詰まっている人や今勉強している人、これからやりたいという人、どんなステージにいる人でも役に立つ内容だと僕は自信を持って言えます。とにかく最大限に時間をかけて、自分の能力やノウハウ、体験などをできる限り詰め込みました。僕の英語に関するすべてが詰まっていると言っても過言ではないので、たくさんの方に読んでほしいですね。

編集部:奥さんを口説いた話とかはないですよね?

川合:当時のエピソードには触れていますが、口説く方法は書いていないです(笑)。本に掲載している最初の3本のコラムは、去年の年末年始にずっと喫茶店にこもって、ものすごく力を込めて書きました。本当に一点集中で書いていたので、結構伝わるものもあるんじゃないかなと思います。

編集部:今年の前半に発売された、早川さんの『TOEIC(R) L&Rテスト スコアアップの奥義』についても話しましょう。「スコアアップの奥義」ですから、セミナーで教えられているような内容もぎっしり詰まっていると思います。

早川:もちろんスコアを上げたい人にも参考になると思いますし、逆に勉強しているけれど全然スコアが上がらなくなってしまったという人にも役立つと思います。勉強しているのにスコアが上がらないというのは、英語力が上がっていないわけではなくて、別のところに原因があるんです。

例えば、問題を解いているだけで実は勉強になっていない、とか。健康診断を受けているだけでは健康にならないのと同じです。また、TOEIC対策はしているけれど対策が逆にスコアアップの足を引っ張っている場合もあります。400点対策としてやっていたことを800点対策でもいまだにやっている場合は、逆に対策を外していくと結果としてスコアアップにつながることがありますね。

編集部:読めば、スコアアップの奥義がすべて分かる?

早川:はい、そうですね。

川合:普通の学習者が見落としがちなことなので、そういうことを知るというのはすごく力になりますよね。

編集部:ありがとうございました。

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川合亮平(かわい・りょうへい)
通訳・翻訳者。最近の通訳実績はエディ・レッドメイン来日イベント(OMEGA主催)、TBSドラマ『グッドワイフ』制作会議など。関西のテレビ番組で紹介され、累計1万部を突破した『「なんでやねん」を英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・監修書は現在9冊。イギリス現地の観光・エンタメ・文化情報を伝えるジャーナリストとしても活動中。

ブログ:https://ameblo.jp/ryohei-kawai-blog/
メールマガジン:http://bit.ly/2JfOfob

早川幸治(はやかわ こうじ)
ニックネームはJay。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。企業研修講師として、英語を公用語化した企業はじめ、これまで全国の160社以上で研修を担当してきたほか、大学や高校でも教えている。セブ島留学プログラムも監修。TOEIC990点(満点)、英検1級取得。豊富な受験経験から傾向をおさえた効率的な対策法が好評。著書多数。アルクの通信講座「TOEIC(R) LISTENING AND READING TEST 完全攻略600点コース」監修。

構成・文:吉澤瑠美、写真:山本高裕(GOTCHA編集部)