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英語の依頼表現のWould you ~?とCould you ~?をとっさに使い分けられますか?

ラクする英文法

学校で習った英文法と、実際に触れる英語の用法の違いに気付き、どちらが正しいのか、混乱したことはありませんか?連載「ネイティブはやっている!ラクする英文法」では、そんな疑問を一つずつ解決し、英文法に煩わされることなくラクに英語を使えるようになることを目指します。教えてくれるのは、『総合英語Forest』編集・共著者である英文法のエキスパート、鈴木希明さんです。今回は「Could you ~?やWould you ~?などの依頼表現」を取り上げます。

丁寧なお願いにはCould you ~?を使えばラク!

この最終回では、「~していただけますか」と、丁寧に依頼をするときの表現を取り上げます。まず、次の文を見てみましょう。

Could you do me a favor?

お願いを聞いていただけますか。

Could you ~?は「~していただけますか」と、何かを依頼するときに使う表現です。

couldはcanの過去形ですが、もちろん過去のことを言っているわけではありません。過去形を使うことで、Can you ~?よりも丁寧なニュアンスを出すことができるのです。

また、ここで使われているfavorは「好意」「親切」という意味で、直訳すると「私に親切なことをしていただけますか」となります。具体的な依頼をするときの前置きとして、次のように使うことができます。

Could you do me a favor and carry my suitcase for me?

すみませんが、スーツケースを運んでいただけますか。

依頼表現にはWould you ~?もある

何かを依頼するときには、Would you ~?という表現を使うこともあります。Will you ~?のwillを過去形のwouldにした表現で、Will you ~?よりも丁寧な表現になります。

では、Could you ~?とWould you ~?のどちらを使えばいいのでしょう?

辞書を見ると、Could [Would] you do me a favor?とありますから、どちらを使ってもよさそうです。うーん、迷いますね。迷ったときは、Could you ~?を使うのが無難です。何かをしてほしいとお願いするときには、Could you ~?が最適なのです。

Can you ~?とWill you ~?の違いは?

まず、何かを依頼するときに使うCan you ~?とWill you ~?という表現を確認しておきましょう。

Can you close the door?

Will you close the door?

ドアを閉めてくれる?

どちらも「ドアを閉める」ことをお願いしていますが、意味には少し違いがあります。

canは「能力」や「可能」を表しますから、Can you close the door?は、相手に「ドアを閉めることができるかどうか」を尋ねる表現です。一方、willは「意思」を表しますから、Will you close the door?は、相手に「ドアを閉めるつもりがあるかどうか」を尋ねる表現ということになります。

プロポーズをするときに、英語ではWill you marry me?と言いますが、相手にそのつもりがあるかどうかを尋ねるためにWill you ~?を使っているのです。これをCan you marry me?とすると、ちょっとおかしなことになりますね。「私と結婚できますか」ということになってしまうからです。

Will you ~?は口調次第で命令にもなる

Will you ~?はCan you ~?よりも相手に行動を促す意味合いが強く、言い方によっては命令に近くなります。

Will you close the door?

ドアを閉めてくれる?

これは、命令文に付加疑問を付けた次の文と似ていて、命令に近いニュアンスが感じられるのです。

Close the door, will you?

ドアを閉めてくれる?

Could you ~?とWould you ~?が丁寧になるのはなぜ?

依頼をするときに使うCan you ~?とWill you ~?の助動詞を過去形にすると、丁寧な表現になります。

Could you close the door?

Would you close the door?

ドアを閉めていただけますか。

このcouldとwouldは過去のことを表しているのではなく、仮定法の形として使われています。では、どうしてこの形を使うと丁寧な表現になるのでしょうか。まず、仮定法の使い方を確認しましょう。

If you were here, I would be so happy.

もしあなたがここにいたら、私はとてもうれしいのに。

仮定法は、事実とは違うことについて話すときの表現方法です。この文では、if節で動詞の過去形を使って「もし~なら」という仮定を表し、主節でwouldを使って「…だろう」という想像を述べています。

仮定法のポイントは、現実との「距離感」です。想像の世界は現実の世界とは離れています。その距離感を過去形で表しているのです。

Could you ~?やWould you ~?が丁寧な表現になるのも、この「距離感」からです。過去形にすることで直接的な意味合いが薄れ、「やってほしい」が「やっていただければと思うのですが」という遠回しなニュアンスになるのです。

Could you ~?とWould you ~?の違いは?

Could you ~?とWould you ~?の違いは、Can you ~?とWill you ~?のニュアンスの違いと同じです。

couldを使うのは「できるかどうか」を尋ねる場合で、wouldを使うのは「するつもりがあるかどうか」を尋ねる場合です。wouldでは、「できる」ことは前提となっているわけです。

海外のホテルにチェックインするときにフロント係が客に言う「パスポートを見せてください」には、wouldを使うのが自然です。

Would you show me your passport?

パスポートを見せていただけますか。

また、海外で道を教えてもらう場合には、couldを使うのが自然です。

Could you show me the way to the station?

駅への道を教えていただけますか。

尋ねる相手が道を知っているかどうか分からないわけですから、wouldよりもcouldを使う方が自然に感じられるのです。

依頼表現で迷ったらCould you ~?を使う

今回は、依頼するときの表現を取り上げました。仲の良い友人に対してであれば、Can you ~?やWill you ~?で構いませんが、そうでなければ過去形のcouldやwouldを使うのがいいでしょう。

また、Would you ~?よりもCould you ~?の方が直接的ではない感じになります。ですから、どの表現を使えばいいか迷ったときは、Could you ~?を使うのが無難なのです。

Could you ~?に、possiblyやkindly、pleaseを加えると、お願いしたいという気持ちをさらに込めることができます。

Could you possibly close the door, please?

ドアを閉めていただけないでしょうか。

やり過ぎはよくありませんが、相手との関係や状況などを考慮して、適切な表現を使うようにしましょう。

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鈴木希明(すずき のりあき)

英語教材編著者。東洋大学、武蔵野大学非常勤講師。立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科修士課程修了。研究テーマは認知文法と英文法教育。『総合英語be』など著書多数。文部科学省検定済教科書『be English Expression』編集委員。

※この記事は、『学校では教えてくれない!英文法の新常識』(NHK出版)に加筆・修正をして再構成したものです。