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ブロークンではなくネイティブに通じる英語を話せるようになる方法【同時通訳者の解決法】

英語学習解決室

日本にいながらにして使える英語を身に付けようとすると直面するさまざまな悩み。この連載「通訳者の英語学習解決室」では、短大卒業時に英検4級、TOEIC 280点ながら、そこから3年半で通訳者デビューした「国産同時通訳者」、小熊弥生さんが、今日からできる解決法を教えます。今回の相談は、「ブロークンな英語から、きちんとした話し方に変えたい」です。

相談:ブロークンな英語になってしまい、きちんと話せない

今回のご相談は、「英語を話すときにブロークンな言い方になってしまい、きちんとした英語が話せない」です。

ブロークンな英語を話せるのは実は悪い状態ではない

ブロークンな英語とは、たどたどしく、文法的にも的確ではなく、言葉の選び方も自然ではない英語のことを指しています。

実は英語ではブロークン(broken)とはあまり言わずに、ちょっと軽蔑的な表現としてpidgin English(「ピジン」の由来は諸説*1あります)、他にcreative English(創作料理のようにクリエイティブな英語、ネイティブが思い付かないようなword choice[言葉選び]がある英語、の意)という言い方があります。

ブロークンな英語を話せる状態は、実はそんなに悪くないことを、まずはご理解ください。なぜなら日本では、正しい英語が話せないといけないと刷り込まれてしまっていて、英語が口から全く出てこない場合も多いからです。これについてはぜひ、前回の記事を読んでくださいね。

▼前回の記事はこちら↓

gotcha.alc.co.jp

まずは、自分は英語が話せると認めてあげましょう

正しく話さなきゃと自分で呪いをかけて話せなくなっている人たちと比較すると、ブロークンでも口を突いて英語が出てくるということは、思ったことを英語で発言するところまではできていることになります。ですから、英語で何も言えないよりは有利であることを理解して、自分の進歩を認めてあげましょう。

自分を認めてあげることで焦りがなくなり、ブロークンな英語を話すところから洗練された英語を身に付ける段階へ上がろう、というやる気がアップします。そのためにも、「私は英語が話せる」という事実をまず受け取りましょう。

これで、脳の中の畑を耕すように、あなたの脳が、洗練された英語を身に付けるための素地ができましたよ。You are amazing!

ブロークンな英語になってしまう3つの理由

次に、ブロークンな英語になってしまう理由を明確にしておきましょう。

1. 話すときに英作文をする余裕がなく、単語だけで伝えてしまっている

2. 日本語を基に英作文をしてしまっている。

3. 単語やフレーズの記憶があやふや。この場合は次の2つのパターンがある。

(A) 語尾があやふや。

(B) コロケーション(よく使われる単語と単語の組み合わせ)があやふや。

これから、これら全てをしっかり解消できる方法を教えますから、安心してくださいね。

1. 単語だけで英語を話してしまう、を解決

実は、私もずっとブロークン英語に悩んでいました。19歳のときに、電車の中で話し掛けたアメリカのハーバード大学の学生さんと、その友人たちも一緒に共同生活をすることになったものの、冗談を言われても分かりませんでした。そんな私に彼らが言った、「もういいよ」という意味の「Never mind.」の意味すら分からず、「What does never mind mean?(never mindってどういう意味?)」と尋ねるくらいでした。

当時はそんなレベルですから、とにかく言いたいことをなんとか口にするので、ほとんどが単語の羅列です。文法を考えると話すのが遅くなってしまうので、文法は無視していました。そうすると、一生懸命話しても、「ポカン」とされることも少なくありませんでした。

そこから、必死に英語を聞いて、必死にフレーズを覚えて、覚えたものを使うようになると、ブロークンでも徐々に意思疎通が取れるようになっていったのです。

これが、先ほどの話せない理由の「1. 話すときに英作文をする余裕がなく、単語だけで伝えてしまっている」に当たります。

この状態の人は、まずは英語の短いフレーズを覚えましょう。旅行英語フレーズ集、レストラン英語フレーズ集、日常会話フレーズ集などがインターネット上にたくさんあります。それらを暗記していきましょう。

ただし、発音を間違って覚えると、やはりブロークンの域から出られなくなりますので、音声のある教材を併せて使うか、またはフレーズをGoogle翻訳にコピー&ペーストして、スピーカーマークをクリックして、音声を聞きます。そして、英語の音をつづりから想像するのではなく、耳でしっかり聞いて、聞こえた音をまねして発音し、音で覚えましょう

あるいは、YouTubeにも、たくさんの場面に応じた英語フレーズ集が音声付きでありますので、そちらを利用するのも賢い勉強法ですよ。覚え方は、歌のメロディーを覚えるように、フレーズを言う状況を思い浮かべて、それを言っている人にできるだけなりきり、英語を音で覚えていきましょう。

2. 日本語をそのまま英訳してしまう、を解決

次に、「2. 日本語を基に英作文をしてしまっている」について考えてみましょう。

これは、TOEIC 500点の人から、900点を超えている人にもありがちな問題です。私自身も長きにわたって、この問題を抱えていました。

私はTOEICで805点を取ったとき、某有名英会話学校の主任講師に抜擢されました。そこで待ち受けていたのは、発音は良いのに、不自然な表現を使っていたために、英語がなかなか伝わりにくいという現実でした。

自分が言いたいことは言えていたのですが、特に、ネイティブ講師に対して、スクールの教室長と副教室長が言いたいことを私が英語に通訳しても、通じないことが多々ありました。

このときに私がしたのは、私が言った英語を聞いたネイティブスピーカーが、自分がちゃんと理解できたかを私に確認するために、別の英語表現で言い直してくれる瞬間を捉えることでした。言い直してくれた正しい英語表現を、お宝を探し当てたように耳を澄ませて聞き、それを書き出したり、録音したり、口で繰り返して言ったりしたのです。

このように、ブロークンな英語で発言すると大抵は、それを聞いたネイティブや英語が流ちょうな人が、自分の理解を確認するために言い直してくれます。それこそが、次回同じことを言うときに使える表現なのです。ですから、それをしっかりと聞き、できればその場ですぐに繰り返して、よく覚えてください。

これは、留学していた方もよく使った方法だと聞きますし、某通訳学校で主任講師をしている方も、ナチュラル表現を仕入れる最良の方法だと言っています。

しかし、こういった機会に多くの人は、通じたからいいや、と思うだけで終わりにしがちです。それではもったいないですから、実はこれこそがお宝表現だと認識して、口に出して覚えましょう!

相手が言った表現をその場で繰り返すと、相手も「自分が言ったことを理解したんだな」と思って安心してくれますから、会話もスムーズに運びますよ。

3. 単語やフレーズがあやふや、を解決

今度は、「3. 単語やフレーズの記憶があやふや」なためにブロークンな英語になってしまう、ということについて考えてみましょう。先述したように、これには2つのパターンがあります。

(A) 語尾があやふや

単語を大体は覚えているのに、語尾がどうだったか分からなくなるために、きちんと話せない、という場合です。

これへの対策としては、「妄想英会話」で、頭の中で練習する習慣を付けましょう。そうすることで、「何だったかな?」と迷ってしまうことが減ります。1つ1つを明確にしてから本番で話すようにすれば、ブロークン英語も必ず、洗練された通じやすい英語になりますよ。

また、語尾の記憶があやふやなのは、品詞の知識があやふやなことが原因である場合も多いのです。-tionは名詞の印、形容詞は-alで終わることが多い、副詞は-lyが多いなど、suffixと呼ばれる語尾を知りましょう。暗記までする必要はありませんが、なんとなく頭に入れておくことをおすすめします。

次の表で、品詞ごとの代表的な語尾を確認しておきましょう。表の右にある単語例を見て、真ん中にある語尾の意味を読んで、なんとなく語尾のイメージをつかんでみてください。「へえ、そうなのか」と思う程度でも、話すときに正しい語尾が思い浮かぶようになりますよ。

 

名詞編

ment、tion、sion、ity、ance、ence、ency、cy、ness、ism、dom、hood、ship、nomyなどは、名詞を表す語尾です。

語尾 意味 単語例
or, er waiter, caterer, teacher, worker
ist, yst stylist, analyst
an technician, electrician
er する人 employer, interviewer
ee される人 employee, interviewee
ment するもの statement
tion, sion もの tension
ity ~なもの ability
ance するもの assistance
ency ~なもの fluency
ness ~なもの sweetness
ism 主義、主張 criticism
dom ~の状態 freedom
hood ~の状態 childhood
ship ~の状態 friendship, hardship
nomy 学(問) economy

 

形容詞編

ive、cal、ous、full、less、able、ible、icは、形容詞であることを表します。

語尾 意味 単語例
ive ~の傾向のある native, massive
cal ~的 economical
ous ~の多い various
ful ~の多い successful
less ~の少ない careless
able, ible ~のできる capable, plausible
ic ~の economic

 

動詞編

動詞は、ify、ize、ateで終わることが多くあります。

語尾 意味 単語例
ify ~化する magnify
ize ~化する Americanize
ate ~する、~させる create

 

副詞編

そして、副詞の印となる語尾はlyですね。単語例としては、beautifullyなど、いろいろあります。

(B) コロケーションがあやふや

最後に、フレーズのコロケーションがあやふやな場合は、どうしたらいいでしょうか。

コロケーションとは、名詞と動詞、動詞と副詞の組み合わせのことを指しています。例えば、presentationに使える動詞は、makedeliver、giveです。自然な英語に聞こえるためには、このコロケーションが極めて重要です。

コロケーションがすぐ分かるのは辞書です。『コウビルド 英語学習辞典(COBUILD English Learner’s Dictionary)』がコロケーション専門の辞書なので一番いいのですが、毎回、辞書を引くのも非効率的ですので、もっと効率の良い学習法をお伝えしますね。

最もおすすめなのは、英語を読んだり聞いたりしているときに、コロケーションを仕入れる方法です。この名詞にはこの動詞か、と思ったら、その組み合わせを10回つぶやいてみましょう。大きい声でなくても大丈夫です。10回唱えるとかなう、と言いますよね。あなたのバイリンガルになりたいという願いも、かないますよ!

話し方を変えたいなら、意識的に!

ブロークンな英語になってしまう原因解決策をお伝えしてきましたが、いかがでしたか?

英語は基本的にスポーツと同じです。

初心者のスキーヤーであれば、ボーゲン(スキー板をハの字の形にして滑ること)から突然パラレル(スキー板を平行にしたまま向きを変えること)には切り替えられませんよね。

英語でも、ブロークンからきちんと通じる話し方ができるようになるためには、意識的に話し方を変えていく必要があります。ぜひ、この記事で紹介した方法を実践していきましょう!

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文:小熊弥生

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株式会社ブリッジインターナショナル代表。TOEIC 280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC 805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。ひとりひとりの目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ1000人以上の英語力アップに貢献している。

速ぺらEnglish:著者がTOEIC 280点から各国首脳の同時通訳を担当するまでに実践した英語勉強法を伝授。リスニング力とスピーキング力アップに特化したプログラムです。

編集:GOTCHA!編集部/写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)

*1:pidgin English:pidgin(ピジン)の由来は「コトバンク」参照