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soとveryはどっちも「とても」。違いなんてあるの?【イージー英会話】

soとveryはどちらも「とても」。違いなんてあるの?

英会話の達人、カン・アンドリュー・ハシモトさんが今回取り上げるのは、so と very の違い。分かるようで分からない「とても」の使い分けを教えていただきましょう。

言葉のニュアンスの大切さに僕が気付くまで

僕が20代前半のころ、僕自身のことをミュージシャンだと思っていたのは僕だけだったのかもしれません。

ときどき音楽でお金が入ってきても、そうなったら大喜びでそのお金で楽器を買ったり、NYC にミュージカルを見に行ったり、雑誌でしか見たことのないレストランにご飯を食べに行ったり・・・。そんなことばかりしていたので生活は全く安定せず(今も安定していないですけど)、いろんなアルバイトをしていました。

日本では杉並区と豊島区の小学校で ALT(外国語指導助手)をやったり、音楽の専門学校で「作詞作曲」と「楽典」と「英会話」の授業を受け持ったり、今はなくなってしまった大手英会話スクールで偉い大学の先生とテキストを作ったり・・・。これらは少なくともアメリカの両親に報告できる仕事でした。

でも本当は、下高井戸の釜飯屋さんで日本酒を温めたり、六本木の怪しいクラブで用心棒として働くナイジェリア人に日本語を教えたり、板橋区の解体屋さんに雇われて、フィリピン人と一緒にダンプカー(英語では dump truck と言います)で産業廃棄物を栃木県まで運んで夜中にそっと捨てる(ものすごい音がするので全然「そっと」じゃないです)みたいな、ガールフレンドにさえ言えないことも沢山していました。

僕が字幕制作者に教えられたこと

そんなとき、アメリカにいたころからの古い友人――悪友が言いました(僕はこの日本語単語が割と好きです。英語では my partner in crimeと言います。直訳は「犯罪での相棒」となりますが、実際には「とても仲が良い友達」「とても親しい仲間」という意味です。ミシェル・オバマがジョージ・W・ ブッシュを後ろからハグしてこの言葉を言った映像が、テレビで放映されましたね。彼女がしびれるような甘い笑顔で言ったせりふは“He’s my partner in crime at every major thing.”でした)。

Hey, Kan, I found a good job. It pays.
カン、いい仕事見つけたよ、金も悪くないよ。

数日後、僕は当時(おそらく今も)日本で最も仕事量の多い日本語の映画字幕制作者の事務所を訪れました。友人と彼が友達だという初対面の数人と一緒に。みんな日本語も少し(少し以上?)分かって、英語は不自由ない人たちばかりでした。

「僕たちはあなたの仕事を完全に、しかも安価に手伝えるだ」(by 僕の友人)
「それは保証するだ」(by 友人の彼女)
「私たちはあなたを助けることができると約束しよう」(by 友人の友人)
「僕がこんなに日本語が上手なのは僕のお母さんのせいです」(by 僕)
「あなたは私たちの提案がありラッキーと言えるだろう」(by 友人の友人)

「・・手伝えるだ」「・・保証するだ」「・・約束しよう」「・・は僕のお母さんのせいです」「・・と言えるだろう」は僕のタイポではありません。実際に僕たちはそう発言しました。

そんな僕たちの営業トークを聞いて、日本一の字幕制作者は言いました。

「あんたたちみたいなのが一番ダメなのよ。頭に来るわ。この仕事は英語がどれだけ分かるかということが大切なんじゃない。日本語をどれだけきちんと扱えるか、それが重要なの。英語のせりふをできる限り意味が近くて短い日本語に置き換える、そういう仕事なの。ニュアンスって言葉の意味分かる?あなたたちはダメ。最悪。あなたたちには分からない」

暑い夏の日のことでした。僕たちはみな拒絶されたことに不満で、汚い言葉を吐きながら原宿を歩き、そのあと飲み明かしたことを覚えています。

長い時間がたった今、僕は彼女が言った言葉は100パーセント正しい、僕たちはとてもごう慢だった、失礼だった、と思っています。

今日はあのころの反省とともに、言葉の「ニュアンス」についてお伝えできたらうれしいと思います。

so と very は何が違う?

時々、so と very には「違いがない」と思って使われていると感じます。どうでしょう?皆さんは「同じ」だと思っていませんか?

実はこれらの2つの語は、意味は同じでも使い方は同じではありません。ニュアンスが違うと言えばいいのでしょうか。混同して使われていたとしても意味の誤解はないので、僕も指摘したことはありません(指摘するのは何かイヤな感じだし、それで問題が起こることはないので)。でもそれこそが、映画字幕翻訳者があのとき僕たちに言ってくれたことなのかなと思うので、今日はちょっと言わせてください。

so は「もうすでにお互いに知っていることについて『すごいね!』というときに使う言葉」です。

一方、very は「相手が知らない情報について『すごいんだよ!』というときに使う言葉」です。

例えば、この原稿を書いている7月31日、東京ではすでに梅雨明けしていますが、犬の散歩をしていた今朝、近所ですれ違った友人に「今日もホント蒸し暑いよね」と言うなら、お互いに今朝が蒸し暑いことを知っているので、

Hey, it’s so humid today.

と言います。

でも、アメリカのウィスコンシン州に暮らしている、日本を知らない僕の昔の同級生に「日本は今、めっちゃ蒸し暑いんだよね」と言うなら、

It’s very humid in Japan.

と言います。

気持ちが違いますよね。「とても」という意味は同じですが、相手と「情報が共有できているかどうか」に違いがあります。

別の例です。僕が Rachel’s so funny. と誰かに言ったなら、「その誰かと僕の前で Rachel は何か面白いことを言った、おかしなことをやった」ということが考えられます。僕は相手に同意を求めるような気持ちで、「Rachel ってホントおかしいよね、面白いよね」と言っているわけです。

一方、僕が Rachel’s very funny. とある人に言ったとしたら、その人は Rachel と会ったことがないか、会ったことはあるとしても彼女が面白い人だという情報は持っていない、そんな状況です。「Rachel ってさ、実はとても面白い人なんだ、会ってみたら?」と僕が相手に Rachel を紹介するような場面では、very しか使いません。

英語の教科書などで、so はカジュアルな場で使う、very はフォーマルな場で使う、という解説は読んだことがありますが、「気持ちの違い」についてはあまり書かれていないような気がします。

意味の違いはないけど意味合いは違う、という語やフレーズはたくさんあります。アメリカ人なら誰でも知っていることなので、僕が偉そうに言うことではないのですが、時々紹介していきたいと思います。

でもまあこの2つを混同して使っても大きな問題になることはないと思うので、あまり気にしすぎずに会話を楽しんでくださいね(じゃ、何のためにこの記事を書いたのか・・・は尋ねないでください)。

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カン・アンドリュー・ハシモト

カン・アンドリュー・ハシモト
アメリカ合衆国ウィスコンシン州出身。教育・教養に関する音声・映像コンテンツ制作を手がける株式会社ジェイルハウス・ミュージック代表取締役。英語・日本語のバイリンガル。公益財団法人日本英語検定協会、文部科学省、法務省などの教育用映像(日本語版・英語版)の制作を多数担当する。また、作詞・作曲家として、NHK「みんなのうた」「おかあさんといっしょ」やCMに楽曲を提供している。9作目となる著作『外国人に「What?」と言わせない発音メソッド』(池田書店)が発売中。