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給与アップの交渉方法は?アメリカ人の経営コンサルタントが指南

イマココ働き方改革

自分の給料額が会社への貢献に対して正当とは思えない、上司に成果を横取りされてしまう、そんなときの対策は?特に外資系企業では自分の貢献や成果を上手にアピールすることが有効ですが、日本の組織でも活用できるコツがあります。異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに教えてもらいましょう。

外資系企業での給料アップの交渉方法が知りたい

female office worker外資系企業に勤める会社員です。

アメリカ企業で給料アップを求める際の交渉の仕方を教えてください。以前勤めていたのは、社員500人くらいの、自動車事業に携わるアメリカの会社でした。私が控えめだったこともあり、功績をずっと上司に横取りされていたような状態だったんです。現に、私が転職した後、上司は成果が出せなくて解雇されたそうです。どうしたら自分がしたことを社内で適切にアピールできますか?

カップさんからの回答

こういった経験をされたのは、とても残念なことです。この相談内容には、実は3つの質問が含まれていると思います。1つ目は、自分の貢献度を会社の上層部にどうやって気付いてもらうか。2つ目は、自分の仕事の成果を上司に横取りされないようにするにはどうしたらいいか。そして3つ目は、昇給してもらえるようにどうやって持ち掛けるか。これから、1つずつ見ていきましょう。

自分の貢献度を会社の上層部に気付いてもらう

努力をすれば、組織の上層部がそれに気付いて、いつか報われるだろうと思っている日本人は少なくありません。日本の組織であれば、謙遜は美徳とされ、自己宣伝をするのは逆効果になるかもしれません。しかし、少なくとも外資系の場合は、自分の功績をアピールしないと、誰にも気付いてもらえない場合が多いでしょう。

自己宣伝によって生み出される社内における知名度は、英語でvisibilityと言います。visibilityがあれば、昇給や昇格につながる可能性が高くなるかもしれません。

そのvisibilityを高めるためには、複数の方法があります。

まずは、自分の上司にアピールするのがいい方法です。自分は何をしているか、どんな結果を出しているのかを報告することから始めましょう。一日に何回も上司に細かいことを言う必要はありませんし、逆にそのようにすれば迷惑と思われるかもしれません。

そのため、上司が最も好んでいるコミュニケーション方法が何なのか(メールかインスタントメッセージか紙の報告書か)を把握し、それを使って定期的に簡潔なアップデートを提供しましょう。自分がやったことを知らせるだけではなく、それが会社にどんなインパクト(影響)を与えたのかを知らせることも大切です。定期的に一対一の(one-on-one)打ち合わせもして、そのときに自分の活動の成果を強調しましょう。

また、上司も一人一人さまざまな悩みを持っているものですが、それを把握して手伝いや解決策を提供するのもいいでしょう。

さらに、会社の上層部の人と接する機会を積極的に探すのも効果的です。彼らが講演をする機会があれば、それに出席して質問をしたり、彼らがリードしているプロジェクトのボランティアを自発的に買って出るのもいいでしょう。社内の提案箱などのシステムを使って提案することにも価値があります。これら全てに共通する目的は、自分の積極性と関心を示すことにあります。

それから、上司や会社の広報担当の事前許可が必要な場合がほとんどですが、可能であれば自分が業界のカンファレンスで講演をしたり業界の出版物に記事を書いたりすることもいいかもしれません。講演までしなくても、カンファレンスでボランティアをするだけでもプラスになります。目的は、業界で自分が役立つ存在であると示すことです。

職場では、他部署の人を知るために、そして組織全体において自分の知名度を上げるために、社内の委員会などのグループでボランティアをすることも効果的です。インフォーマルにも、他部署の人を手伝ったり協力したりする機会を積極的に探しましょう

自分の成果を上司に横取りされないようにする

残念ながら、このようなことはビジネスの現場では時々起こります。例えば、上司に素晴らしいアイデアを提案したとします。上司はその場でそのアイデアに反対しますが、後で上司がそのアイデアを自分のものとして上の人に提案し、好評価を受け、その結果、あなたではなくその上司がみんなから評価されてしまう、というシナリオは少なくありません。

もしこのようなことが起きたのなら、上司と直接話すべきです。進行中のプロジェクトなどに関するポジティブな会話の後、例えば次のように言ってみましょう。

「最近気になったことに関して少し触れさせてください。先日、私は◯◯を提案しましたが、課長がそれを山田部長に伝えてくださった際に、私の名前を出していらっしゃいませんでした。何か特別な理由があったのかもしれませんが、率直に言うとがっかりしました」

このように言うことによって、上司がしていることに自分は気が付いていると相手に知らせることができるため、それだけで再発防止ができる可能性があります。

もしそのような会話をした後も問題が続くのなら、自分を守る方法として、まずは自分の仕事に関する記録をきちんと取ることをおすすめします。もし後で自分の活動や貢献に関して情報提供をする機会があれば、これが大いに役立ちます。

他の対策として、いいアイデアがあるときは、上司だけに言うのではなく、他の人にも言ってみましょう。そうすれば、自分のアイデアであったという認識を広めることができます。

なお、当然のことながら、もし上司が問題のある行動を続けるのであれば、まさにこの相談者がされたのと同じように、違う上司の下で働く決断をされた方がいいかもしれません。

昇給してもらえるよう交渉する

典型的な日本の企業でしたら、年功序列で賃金が決まっていますので、従業員が特別な功績を残したとしても、大きな昇給をすぐにしてもらえるとは限りません。また、多くの日本企業では、報酬に関する決定は人事部によって主導されていますので、直属の上司にアピールしても思うようにいかない可能性が高いでしょう。

それに対して、外資系企業の多くでは、マネジャーが人事権を持っており、部下の給料を決める、あるいは昇給を人事部に推薦する立場にいます。そのため、こういった企業では上司にアピールする価値が大いにあります。多くの日本人は給料アップを依頼することを遠慮しますが、そうすれば自分が実際に値する報酬をもらえないかもしれません。トライするのは悪くは思われないので、言ってみた方がいいと思います。

自分の活動の成果を具体的に伝えることはとても重要です。顧客や会社の他部署の人から褒め言葉をもらえたなら、それも上司に伝えた方がいいでしょう。というのは、常にこのように自己PRをしていれば、昇給を依頼するときにやりやすくなるからです。

大切なのは、自分がどれほど期待を上回る成果を残したか、どのような貢献をしているかをきちんと伝えることです。そうすることにより、自分の行動が直接的に会社の利益につながったということを明確にしておきましょう。

「お金を必要としている」という方向からのアプローチではなく、「自分はもっと多くのお金をもらうのに適している」ことを理由とともにアピールするのが重要です。

また、自分の価値を示す以外に、もう一つ役立つのは、他の会社が自分と似たような経験と職務内容の人に対してどれくらいの給料を払っているかに関するデータを提出することです。

どの方法でも、給料に関して口出ししているような格好で主張するのはやめましょう。あくまでも、自分が現在の給料レベル以上に会社に価値を提供しているということを強調するのです。

自分の価値を上手にアピールすることによって、自分が本当に値する評価と給料をもらうことができます!

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ロッシェル・カップ

執筆:ロッシェル・カップ

ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。

異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍企業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日本語が堪能で、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)、『英語の品格』(集英社) をはじめ、著書は多数。朝日新聞等にコラムも連載している。

編集:GOTCHA!編集部