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英語が聞き取れないから英会話ができない?そんなことはありません!高橋基治さんのアドバイス

これだけ!英会話

英会話を楽しみたい方のための連載「これだけ!英会話」。「楽しく、ためになる」授業や企業研修に定評のある、東洋英和女学院大学教授の高橋基治さんに、これだけ押さえれば英語で意思疎通できるというポイントを教えていただきます。第2回のテーマは「聞き取り」です。聞き取れない原因からその克服方法、それでも聞き取れないときの対処法、折れない心を鍛えるためのアドバイスまで、勇気の出る話が盛りだくさんです。

英語が聞き取れない原因は主に2つ

日本の英語学習者にとって、日常英会話が聞き取れない理由はいろいろ考えられますが、ここでは原因を2つ紹介します。1つ目は音声の問題、2つ目は意味内容の理解の問題です。

自分で発音ができていない

まず、案外、見落とされがちですが、そもそも英語を自分で正しく発音できていないという点が挙げられます。これには、個々の単語だけでなく、単語と単語の音がくっついたり、音が脱落したりといった音声変化や、リズム、イントネーションなども含まれます。

「話す」ことと「聞く」ことは表裏一体で、自分で発音経験を積んだ音については、聞き取りが容易になると言われています。つまり、発音能力が高まれば高まるほど、聞き取りにもプラスの効果があるということです。ところが実情は、学校などで十分な音声的アプローチを経験してきた人は少ないと言えるのではないでしょうか。

例えば、数字の1から10までを正しい発音で言えますか?これが簡単そうで難しい。正しく言える人は意外と少ない印象です。

1でさえ、one /wʌ́n/という音ですから、「ワン」ではなく、正しくは「ゥワンヌ」です。出だしは/w/なので、口をすぼめてタコのような口を作ります。そして最後は/n/があるので、舌が上の歯茎の裏側にペタッと付きます。これらが無意識のうちにきちんとできるようになって初めて、1をマスターしたと言えます。

リスニング力アップにもつながる、発音のトレーニングをする際に参考になるサイトを紹介しておきます。どちらもアメリカ英語の発音のネイティブスピーカーによる英語での解説ですが、英語初心者でも映像を通して理解できると思います。

10までの数字の正しい発音の仕方を解説している動画(How to Pronounce the Numbers 1 - 10: American English)です。

スピーチ専門家による声の作り方のレッスン動画(Create a dynamic voice using these techniques)です。特に、1:21からの、息を吸ってから数字を言っていくトレーニングを一緒にやってみるといいでしょう。

 

さらに、1語や1つの音の正しい発音を身に付けることに加えて、音のつながりや脱落にも気を付ける必要があります。いくつかの単語がまとまって意味を成すときには特に、音がつながって発音されることが多く、聞き取るのが大変になります。

例えば、on and on。これもまず1つ1つの単語が正しく発音できるのが大切です。そして、音がつながって、「オン・アンド・オン」ではなく「オーネノーヌ」のように変化した音を自分でも再生できるようになると、聞き取れる力も付いていきます

このように、自分で発音ができないというのが、聞き取りが難しい1つ目の理由です。

実は読んでも理解できない

日本の英語学習者が英語を聞き取れない2つ目の理由は、聞いても分からない英語は、実は読んでも分からないことが多いという点です。例えば、次の英語がどういう意味だか分かりますか?

(1) What are you getting at?

(2) Mind your head.

(3) She plays hard to get.

どれもよく耳にする言い回しで、単語は中学レベルの易しいものばかりです。でも、文の意味がぴんとこないかもしれません。その場合、読んで分からないものを聞いて分かるはずがないのです。

(1)が意味するのは、「何が言いたいの?何を言おうとしているの?」です。get atは「それとなく言う、ほのめかす」という意味で、I don’t understand what he’s getting at.なら、「彼が何を言おうとしているのか理解できない」ということです。

(2)は公共の場所でよく目にします。「頭上に注意してください」という意味で、mindは動詞で「~に気を付ける」です。Mind your step.なら、「足元に気を付けてください」ですね。

最後の(3)は、「彼女は自分を高く売る人だ」という意味で、人の誘いなどに対して、簡単にはYesと言わない、もったいぶる人」という意味です。「彼女、そう簡単には落ちませんよ」というわけです。

上記の例のように、実際の英語では簡単な単語やシンプルな句動詞(put off、get onなど)が、私たちが思っている以上に多用されています。そのため、これらを苦手としている日本の学習者は会話についていけないことが多く、当然、聞き取ることもできないということになってしまいます。

というわけで、たとえ音が聞き取れても意味が取れないということは往々にして起こります。ですから、「聞き取り力」を上げるための普段の学習として、ただ英語の音だけに耳を慣らすとか、リスニングの問題ばかりをひたすら解くというのでは足りません。

それらだけではなく、自分で発音することを通しての音声的理解と、目から英文を読んで意味を理解すること、この両方向から攻めていくといいでしょう。英語の「聞き取り力」を上げるとは、口に出して積極的に音に関わっていくと同時に、文字を通して意味の理解度も高めていく作業に他なりません。

分からなかったら「分かりません」と宣言すればいい

上記の練習を重ねることで聞き取り力が向上するとは言うものの、音声的にも意味的にもスキルが未熟なままで、英語が使われている世界へ飛び込む人もいるでしょう。その場合のアドバイスをお伝えします。

まずは、とにかく黙っていないことです。また、分かった振りも厳禁です。沈黙は「金」の日本社会と違って、一歩外へ出ればそこは沈黙は「禁」の世界だと思っていいでしょう。ではどうすればいいのでしょうか?

聞き取れなかったときは、ためらわずにその旨を伝えることです。分からなかったら、「分かりません」「ゆっくり言ってください」「英語は初心者です」という3つの文を使い回しましょう。

I’m afraid I don’t understand what you’re saying.

Can you speak more slowly?

I’m just a beginner at English.

また、非常手段としては、紙やスマートフォンなどを出して、「ここに書いて(入力して)もらえますか?」と相手にお願いする手もあります。

Can you write it down here, please?

それをここに書いてもらえますか?

Can you type/enter it in here, please?

それをこれに入力してもらえますか?

とにかく、黙ってニタニタしないことです。英語は私たちにとって外国語なので、できなくても当たり前と考えて、卑屈になることはありません。妙なプライドで知ったかぶりをしても、あとでもっと恥をかいたり、大変なことになったりすることもあるので、気を付けましょう。

親切な人ばかりではないことも承知しておく

あまりきれい事ばかり言っても現実的でないので、本音の話もしておきます。

海外に行くと、特に都会ではみんな忙しいです。日本でもそうですね。旅行者などが勇気を出してたどたどしい英語で話し掛けても、答えが聞き取れずに何度も聞き返していると、Oh, sorry.やForget it.と言って、その場から離れていく人も実際のところいます。でも悪気があるわけではなく、時間がないので仕方がないわけです。日本でも同じでしょう?

ですから、たとえそういう目に遭ったとしても、自分の語学力を責めたり、くよくよしたりせず、別の優しそうで急いでなさそうな人を探して、再度トライしてみてください。割とすぐに親切な人に出会えるものです。私の個人的な体験から言うと、大都会でも日本より海外の人の方が困った人に手を差し伸べる人の割合は多いように思います。

みんながみんな、親切な人ばかりではありません。これは世界どこでも共通です。こういうことも知っておいた上で、あきらめずに挑戦を続けて、英語でうまく聞き取れたという成功体験を積み重ねていってください。それが自信になり、たとえ断られてもそれほど気にならなくなりますから。面の皮が厚いことも外国語学習には必要です。It pays to have a lot of nerve!

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高橋基治

高橋基治(たかはし もとはる)
東洋英和女学院大学教授。専門は英語教育。「楽しく、ためになる授業」は教育機関や一般企業から講演依頼が絶えない。ビートルズがきっかけで英語の世界へ。国連英検特A級の面接官、英語ナレーターとしても活動。著書に『マンガでおさらい中学英語』シリーズ(共著、KADOKAWA)他多数。

編集:GOTCHA!編集部