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英語学習にベストなコンディションを毎日保つための3つの習慣

通訳者が実践する英語学習法

通訳・翻訳者で、ベネディクト・カンバーバッチさんやエディ・レッドメインさんなどの通訳や英語インタビューも行う川合亮平さん。この連載「通訳者が実践する学習法」では、15年ぶりに本格的に英語学習を再開した川合さんに、日々、向上し続けるための方法を多方面から教えていただきます。第1回のテーマは「英語学習に常にベストな状態で臨むための生活習慣」です。

こんにちは、イギリス英語通訳・翻訳者の川合亮平です。

1~3月の全3回連載「通訳者が選んだ学習法」を多くの方に読んでいただいたようで、大変うれしく思っています。誰の役に立つのか分からないけれど、僕としては自分の(現在進行形の)英語学習体験をとにかく包み隠さず書きました。全3回に「思い」の全てを詰め込んだので、映画に例えるなら、さしずめ「ホビット」3部作です。

今回から新連載を書かせていただくということで、「3回で全て表現して完結したんじゃなかったの?」と突っ込まれそうですが、それはそれ、これはこれ、とお考えください。「ホビット」シリーズの監督ピーター・ジャクソン氏も、3部作以外に素晴らしい単発作品をたくさん撮っていらっしゃいますよね。それと同じで、今回からの連載は1回ずつが単発作品というイメージです(ですから、今日の記事の裏タイトルは「移動都市/モータル・エンジン」です。言ってみれば)。

まあ、通訳・翻訳など英語を使う仕事を生業(なりわい)としているとはいえ、自分の実力の足りなさ加減にいつもあぜんとしつつ、それをコツコツ埋めていくしかないと日々試行錯誤しているイチ学習者が考えることなので、「いや、川合はそう言うが私はそうは思わない」というような部分も多々あると思いますが、気軽にお付き合いいただければ幸いです。

身体と脳と精神を最適化する

例えば、風邪をひいているときと、体調が普通のとき、1時間の学習における生産性はどちらが高くなると思いますか?

答えは言うまでもありませんが、大切なことは、体調は白黒(良い・悪い)の両極端ではなくグラデーションであり、そのグラデーションは自分の工夫次第で少しずつでも高めていけるということです。

仮に体調レベルを0~100で表せるとすると、できるだけ高い数値で学習に臨んだ方が時間対効果は高くなるということです。ロールプレーイングゲームで、レベルが高い方がモンスターをより容易に倒せるのと同じですね。

結論として、英語学習の生産性・効率性を追求することと、普段の生活における精神的・肉体的調子を上げることの追求は比例していると僕は考えています。

そして、普段の生活で精神的・肉体的調子を上げるには、

  • 寝る・休む
  • 食べる・飲む
  • 身体を鍛える

ことを意識するのが大切だと思っています。

これらの各項目と英語学習の効率アップの関係性について詳しく見ていきましょう。

しっかり休めば英語力がアップする

「エキサイトバイク」というゲームをご存じでしょうか?僕と同じ世代(1977年生まれ前後)の方なら一度は遊んだことがあるゲームだと思います。バイクでレースをするシンプルなゲームなのですが、スピードマックスで走り続けると、ペナルティーとして強制的に何秒間かストップさせられるというルールがあります。つまり、最終的に最高のタイムでゴールするためには、腹八分目のように、常に80パーセントくらいのスピードにセーブしつつレースしなければならないのです。

僕は、この仕組みについて、人生の充実度や生産性に対するとても適切なメタファー(隠喩)だなあと常々思っています(ゲーム制作者にその意図があったかどうかは定かではありませんが)。人生も英語学習も、何らかの成果を期待する場合、長期的な視野が必要不可欠になるわけで、結果を出すためには「適切な休息」がものすごく大切な要素になってくると考えるからです。

アメリカのCNBCの記事によると、アメリカの企業を対象に行われた調査で、しっかり休暇(バケーション)を取った人ほど、昇進や昇給をする割合が高い傾向にあることが示されたそうです。

また、アメリカのビジネス書のベストセラー作家であるダニエル・ピンク氏はポッドキャスト番組のインタビューで、

「アマチュアは休まないが、プロは休む」

「ブレーク(休息、休憩)は向上の重要ファクターであり、ブレークすることでパフォーマンスが上がる」

という2つの簡潔な文で、休息の重要性を述べています(ブレークに関する話は音声の10:40辺りから)。

長期的な自己成長を考えたとき、「無駄なこと」「遊び」「非効率なこと」「休憩」をいかに積極的に生活に組み入れるかが鍵ということは、僕自身、痛感しています。

英語学習でも何でも、しゃかりきになって取り組むのは悪くないことだと思いますが、結果的にバーンアウトして(燃え尽きて)しまっては本末転倒どころか、初めから何もしない方がマシだったという状況になってしまいかねません(僕は子育てに関してバーンアウト的な状態を経験しているため、なおさらブレークの重要性を強調したいのです)。

効率一辺倒は、実は最も非効率な状態を招く可能性があるということです。

まとめとして、英語学習者の「休み」に関する具体的戦略としては次のものが挙げられます。

  • 毎日学習するのではなく、意識的に週に1、2日の「休学習日」を設ける
  • 30分ごとに5分程度、意識的に小まめにブレークを入れる
  • 一日の後半に学習する場合、学習に取り組む前に10~25分、仮眠を取る

適切な食事を取れば英語力がアップする

英語の有名な格言に、You are what you eat.(あなたはあなたが食べたものそのものだ)というものがあります。意味するところは明白ですが、食べ物は身体だけでなく、目に見えない精神的ムードや思考力にも直接的に影響を与えます

極端な例を出すと、TOEICを受ける前に、お酒と水のどちらを飲んだ方がスコアが高くなる可能性が上がるか?ということです(「酔拳」を習得している方は例外ですが)。

専属の栄養士を雇って徹底的な食事管理をし、50歳を超えても現役Jリーガーとしてバリバリ、プレーされているサッカーの三浦知良選手のように、プロのアスリートが最高のパフォーマンスを出すために食べるものに気を配るのは常識でしょう。それと同様に、学習効果を最大限に高めたい英語学習者にとっても、何を食べ、何を食べないか、はとても重要な要素だと考えます。

僕は数年前、菓子パンにどハマりしていた時期がありまして、1日1個以上は必ず甘いパンを食べないと気が済みませんでした(それに加えてチョコレートなどの甘い菓子類も1日1箱くらい食べていました)。

今から考えると完全なシュガー・アディクト(砂糖依存症)だったわけですが、振り返ると、当時はすこぶる体の調子が悪く、顔や体も湿疹だらけ、むやみに落ち込むことも多く、イライラして、やけに怒りっぽく、当然ポジティブな意欲もほとんどなし、という散々なコンディション(状態、調子)でした。当然、英語の勉強をしようという前向きな考えも全く浮かびませんでした。

そんな状態から、甘い物断ちなどの食生活改善と後述するジョギングによって、英語を勉強しよう!という意欲が出るところまで持ってくることができたわけです。

食生活を見直して、頭をシャープにして英語学習の質を上げたい!と思われている英語学習者におすすめの書籍は以下の2冊です。

スーパーモデルの食卓

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長友佑都の食事革命

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身体を鍛えれば英語力がアップする

僕は村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』と『職業としての小説家』に多大な影響を受けて、2017年の4月にジョギングを始め、今も継続的に走り続けています。端的に言うと、走ることで人生(観)が劇的に変わりました。

走ることの恩恵や、どのように人生が変わったのかということを語り始めると、それこそ1冊の本になるくらいの分量になってしまいかねないので割愛しますが、走ること(運動すること)で体調が向上し、さらに「脳力」(=学習効果)が向上することは、さまざまな研究によっても証明されています。そのため、「走ること(身体を鍛えること)」は熱心な英語学習者にとっても無視できないアクション(行動)だと考えています。

1990年代に世界の音楽シーンを席巻し、活動休止中の今なお話題に上り続けるイギリスの伝説的ロックバンド、OASIS(オアシス)。そのボーカリストであるリアム・ギャラガー氏も、近年ジョギングを日課にしており、走ることが人生において重要な要素になっていることを、動画インタビューで明かしています。

動画の4:00辺りから「走ること」について語っていて、特に次の言葉がとても印象的でした。

It’s all about my mind.

要するに精神のことなんだ。=走ることで精神を健全に保つことができる。それに尽きる。

さらにリアム氏は「走ることで、いろんなことが自動的に頭で処理される」とも言っています。

走っている最中に、すでに学習したこと(インプットした英語)が頭の中でより効率的に自動的に処理される(つまり定着率が上がる)のは、僕自身も実感していることです。

ちなみに僕は、ジョギングをするときにはBBCのポッドキャスト番組「Kermode and Mayo’s Film Review」と「Steve Wright’s Big Guests」をiPhoneで聞いています。

余談ですが、このリアム・ギャラガー氏のインタビューは、日本人からすると聞き慣れないマンチェスター英語で、しかもスラングや放送禁止用語が満載なので、聞き取るのは相当手強いかもしれません。しかし、リアム氏の等身大の人柄が伝わるすごく良い内容で、個人的には大好きです。彼はメディアではビッグマウス(大口をたたく)とか態度が悪いとか、たたかれることも少なくないのですが、実際は地に足の着いたdecentな(きちんとした)人のようですよ(以前、マンチェスターで取材したホテルのベルマンの方もそうおっしゃっていました)。

さて、走ること以外では、もちろんウォーキングも健康と精神の向上に役立つと思いますし、筋トレすると記憶力が向上するという結果がアメリカのジョージア工科大学の研究などで明らかになっています。

学習効果を高めるため、「脳力」を向上させるために、運動を習慣化したい、自らを熱烈にモチベート(動機付け)したいという方におすすめの書籍は以下の3冊です。

走り方で脳が変わる!

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脳を鍛えるには運動しかない!  最新科学でわかった脳細胞の増やし方

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やらない理由はないですよね?

「寝る・休む」「食べる・飲む」「身体を鍛える」、とそんなにストイックに考えてたら堅苦しくてやってられない、オリンピックを目指すアスリートじゃないんだから、という声が聞こえてきそうです。それに対して、「おっしゃる通りです、そりゃそうですよね」という気持ちがある一方で、「Why not?」というのも僕の正直な意見です。

二極論で考えてしまうとものすごく大変に思えるかもしれませんが、例えば菓子パンを毎日買っていたのを2日に1回にするとか、そういう些細(ささい)ことでも、学習集中レベルは確実に上がるはずです。

アスリートが金メダルを目指すように、人生で目指すものや夢がある場合、それをつかむために自分のコンディションを最適化するのは、人生における具体的で有効なストラテジー(戦略)だと考えます。

では、また次回の記事でお会いしましょう。川合亮平でした。

川合亮平

文:川合亮平(かわい・りょうへい)
通訳・翻訳者。最近の通訳実績はエディ・レッドメイン来日イベント(OMEGA主催)、TBSドラマ『グッドワイフ』制作会議など。関西のテレビ番組で紹介され、累計1万部を突破した『「なんでやねん」を英語で言えますか?』(KADOKAWA)をはじめ、著書・翻訳書・監修書は現在9冊。イギリス現地の観光・エンタメ・文化情報を伝えるジャーナリストとしても活動中。ブログ:https://ameblo.jp/ryohei-kawai-blog/

編集:GOTCHA!編集部