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年末年始に英語多読!おすすめ洋書15選【大人の絵本、ミステリー、短編集、隠れた名作、エッセイなど】

おすすめ洋書

年末年始にいつもよりはゆっくりできる時間がある方におすすめの洋書を紹介します。普段はTOEICや仕事や受験で英語に触れている方も、休暇中は英語の豊かな世界へ出掛けましょう!また、オーディオブックを聞いたり声に出して読んだりして、「音」を楽しむのもいいものです。

※紹介している本はKindle版の商品ページで「なか見!検索」できることが多いですので、お試しください。

『Tales From Outer Suburbia(遠い町から来た話)』ショーン・タン

Tales From Outer Suburbia

Tales From Outer Suburbia

 
遠い町から来た話

遠い町から来た話

 

感性が潤う大人のための絵本

オーストラリアの作家による絵本(日本語版は入手しづらい状況のようです)。世間にもまれてすれてしまって感性が鈍りかけている大人におすすめです(笑)。絵がとてもかわいくて、物語が切なくて、ほろり&じーんとするシーンの連続。

短い話が幾つか収録されているのですが、その中の「Eric(エリック)」は単独でも本が出ています。この話があまりによくて、わざわざその単独の原書を買って、自分で日本語訳を付けて人にプレゼントしたくらいです。異国や新しい場所で過ごしたことがある人なら、きっと共感すると思います。

Eric

Eric

 
エリック

エリック

 

『Lost & Found』ショーン・タン

Lost & Found (Lost and Found Omnibus)

Lost & Found (Lost and Found Omnibus)

 

忘れかけていたものを思い出せるかも

こちらもショーン・タンの本です。「The Red Tree(レッドツリー)」「The Lost Thing(ロスト・シング)」「The Rabbits」の3つのストーリーが収録されています。『Tales From Outer Suburbia』が気に入った方は、こちらもぜひ。

ショーン・タンのウェブサイトでは、本の紹介、イラスト、映像作品の予告編の動画などが見られます!

『Everything I Never Told You』セレステ・イング

Everything I Never Told You: A Novel

Everything I Never Told You: A Novel

 

家族を描いた抒情的なミステリー

「Lydia is dead. But they don't know this yet.」という衝撃的な短文で始まる小説です。謎解きの要素があり、ミステリーとしての質も高いですが、思春期の若者の心の機微や家族の関係を丁寧に描いたヒューマンドラマでもあります。アメリカの日常生活に潜む人種の問題も扱われていますが、どこにいる人にとっても身近に感じる物語になっていると思います。

徐々に明らかになる登場人物たちの秘密が気になってどんどん読み進められます。冒頭の文章を見ると暗い気持ちになる小説なのかなと心配になるかもしれませんが、読み終わるころには「読んでよかった」ときっと思うことでしょう。親しい人を新たな目で見つめるきっかけになるかもしれません。

『The Emissary(献灯使)』多和田葉子

The Emissary

The Emissary

 
献灯使 (講談社文庫)

献灯使 (講談社文庫)

 

全米図書賞を受賞した、日独の言葉で書く作家の小説

2018年の「全米図書賞」翻訳文学部門に選ばれた作品。原書は日本語で、「鎖国」した近未来の日本を舞台に、丈夫な高齢者と虚弱な子どもを描くいわゆる「ディストピア」小説です。アメリカで賞を取ったこの機会に、英語訳で読みたくなりました。

著者の多和田葉子さんはドイツ在住で、日本語とドイツ語で小説や詩を書き、これまでも芥川賞など日本とドイツの両方で文学賞の受賞歴があります。朗読会も積極的に行い、日本語のものを何度か聞きに行ったことがあるのですが、日本語を外から見て音と意味を楽しむ感覚が鋭くて、聞いていてとても面白いです。自分の中の「日本語」が揺さぶられるように感じます。

この著者の本では『アメリカ―非道の大陸』が好きです。よろしければ日本語の読書にどうぞ!

Interpreter of Maladies(停電の夜に)』ジュンパ・ラヒリ

Interpreter of Maladies: Stories

Interpreter of Maladies: Stories

 
停電の夜に (新潮文庫)

停電の夜に (新潮文庫)

 

作文のお手本にしたい英語で繊細に描かれた短編集

洋書の初心者にもおすすめの短編小説集です。本書は著者のデビュー作で、ピュリツァー賞を受賞。

淡々とした英文でも読者を引き込む物語を紡げるのだということに改めて気付かせてくれる本です。題名の『Interpreter of Maladies』という英語は、簡単な単語でも組み合わせ次第で面白くなる好例でしょう。電車で移動中や家事の合間などの隙間時間に少しずつ読むのもいいと思います。

『In Other Words(べつの言葉で)』ジュンパ・ラヒリ

In Other Words

In Other Words

 
べつの言葉で (新潮クレスト・ブックス)

べつの言葉で (新潮クレスト・ブックス)

 

インド系アメリカ作家がイタリア語で書いたエッセイ

Interpreter of Maladies』の著者がイタリア語で書いたエッセイなのですが、左ページにイタリア語の文章、右ページにそれを翻訳者が英訳した英語の文章が載っているバイリンガルの本です。どちらかの言語しか読めない場合は半分しか読みませんので、速く読み進んでいるように錯覚できるかもしれません(笑)。

ベンガル語を話す両親のもと、アメリカで育って英語で創作する著者にとって、イタリア語は大人になってから意識的に学び始めた言語です。一からイタリア語を学び、ついには家族と一緒にイタリアに移り住んで、イタリア語に浸ろうとします。

英語と比べれば流ちょうではないイタリア語で日記を付けるだけではなく、物語を書くことを試み、その短い2編も本書に収録されています。文学に対する考察も見られますが、外国語への気持ちや言語獲得の難しさ、異文化と出会ったときの戸惑いや喜びも素直に執筆しています。著者が試行錯誤してたどり着いたイタリア語学習法などは、日本の英語学習者にも参考になると思います。

『Transformatrix』Patience Agbabi

Transformatrix

Transformatrix

 

冬の長い夜には詩も読みたい

普段は詩を読む機会はあまりないのですが、たまに無性に読みたくなります。読むときは、声に出して音も味わいたいです。自分が興味を持てる、入手しやすい本なら何でもいいと思いますが、本書は海外に行ったときにたまたま買ったもの。言葉遊びのようになっていて、音のリズムが心地よかったりざわざわしたりします。言葉の意味が分からなくても、音読すると楽しいです。本の題名も、造語だと思いますが魅力的で、書店で思わず手に取ってしまいました。

『The Glass Menagerie(ガラスの動物園)』テネシー・ウィリアムズ

The Glass Menagerie (Penguin Modern Classics)

The Glass Menagerie (Penguin Modern Classics)

 
ガラスの動物園 (新潮文庫)

ガラスの動物園 (新潮文庫)

 

名作戯曲でひとり芝居ごっこ?!

詩を紹介したので、戯曲も1冊。戯曲もやはり自分が読みやすそうで面白いと思えるものを選ぶのが一番ですが、本書は日本の大学の英文学の授業で読むこともあった作品だと思います。長くはなく、登場人物が少なく、日常の場面で構成されていて、映画化や舞台化も多くされているので、初めて挑戦する戯曲にもいいかもしれません。映画は古いところでは、ジョン・マルコビッチが出演している1980年代のものがありますね。

戯曲、脚本は声に出して読むために書かれたものですので、音読するのがおすすめです。オーディオブックや映画の音声を聞いて参考にするのもいいでしょう。各登場人物を演じ分けてせりふを言えたら面白いだろうなあと思います。なかなかそうはできませんが、学生時代は家に誰もいないときに日本語や英語の戯曲を音読して暇つぶしをすることがありました。これはお金のかからない娯楽になりますよ(笑)。

『I Am A Pencil(エンピツは魔法の杖)』サム・スウォープ

I Am A Pencil: A Teacher, His Kids, And Their World Of Stories

I Am A Pencil: A Teacher, His Kids, And Their World Of Stories

 
エンピツは魔法の杖―物語・詩・手紙…ニューヨークの子どもたちに「書くこと」を教えた作家の奇跡のような3年間

エンピツは魔法の杖―物語・詩・手紙…ニューヨークの子どもたちに「書くこと」を教えた作家の奇跡のような3年間

 

スランプの作家が子どもたちに創作の授業をした実話

ニューヨークの小学校で、多様な人種や文化をバックグラウンドに持つ子どもたちに、作家である著者が小説や詩を書く授業を継続的に行ったときのことを書いた本です。子どもたちの成長だけでなく、著者自身の成長も描かれています。臨場感あふれる授業の描写に、子どもたちが実際に書いた作品も数多く挿入されていて、普段ノンフィクションはあまり読まない人も、小説のように楽しめると思います。

英語が得意でない子どもたちもいますが、簡単な言葉であっても表現する喜びに目覚めていくさまが読みどころです。同時に、家庭などのつらい状況やその状況に直面した自分の持って行き場のない気持ちを書く子どももいますし、創作したからといって現実にある問題が解決するわけではありません。それでも、表現してそれを人と共有することには意味があるのではないかと考えさせられます。

言葉や創作の力を信じている人や信じたい人、子ども好きの人、教育に携わる人などに特におすすめの本です。日本語版は入手しづらいかもしれませんが、原書でも英語は難しくなく読みやすいです。

『Travels in the Scriptorium(写字室の旅)』ポール・オースター

Travels in the Scriptorium

Travels in the Scriptorium

 
写字室の旅

写字室の旅

 

謎だらけだが引き付けられる小説

ポール・オースターの作品はたくさんあり、全て読んではいませんが、読んだ中では「The New York Trilogy(ニューヨーク三部作)」*1と並んで印象深い作品です。ただ、この『Travels in the Scriptorium』は、著者の他の本をよく知っていないと本当には楽しめないそうで、そんなことにはほぼまったく何も気付かずに読んだ私には、本当はおすすめする資格はないのかもしれません!

それでも、何も予備知識なく読んでも面白い本なのではないかと思います。1ページ目には、「テーブルには TABLE、ランプには LAMP、壁には WALL と書かれたテープが貼ってある」ということが書かれています(実はオースターの別の本をたまたま読んでいて、これは元ネタが分かりました!たぶん)。少なくとも、この1節を「面白い!」と思った方には、読んでみることをおすすめします(笑)。年末年始に家にこもってこの本を読むと、読みながらかすかな恐怖を感じるかもしれませんが、それもぜひ楽しんでください。

『Nocturnes - Five Stories of Music and Nightfall(夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語)』カズオ・イシグロ

Nocturnes: Five Stories of Music and Nightfall

Nocturnes: Five Stories of Music and Nightfall

  • 作者: Kazuo Ishiguro
  • 出版社/メーカー: Faber And Faber Ltd.
  • 発売日: 2010/01/01
  • メディア: ペーパーバック
  • 購入: 1人 クリック: 3回
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夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)

 

ノーベル文学賞作家による音楽がテーマの短編集

ブッカー賞とノーベル文学賞の受賞作家で、どの作品も名作と言っていい、ご存じカズオ・イシグロ。長編小説が多い中、あえて短編集はいかがでしょうか。本の題名の通りに、「音楽」がテーマになっています。音楽を文学でどう表現するか、また美術を文学でどう表現するか、といったことはとても興味深いです。

『The Catcher in the Rye(ライ麦畑でつかまえて/キャッチャー・イン・ザ・ライ)』J・D・サリンジャー

The Catcher in the Rye

The Catcher in the Rye

 
ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

 

生誕100周年を迎えるアメリカ作家の青春小説

2019年はサリンジャー生誕100周年!誕生日は1月1日だそうです。ちょうどそのタイミングで、2019年1月18日に映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』が日本で公開されます。サリンジャーの人生を描いた映画のようです。

www.rebelintherye-movie.com

『The Catcher in the Rye』は、日本語訳で読んだ後に原書で読もうとしたのですが、日本語訳(かなり古い時代の訳だったと思います)の印象が強過ぎて、読み進めることができませんでした。サリンジャーの作品はこの小説と『ハプワース16、一九二四』以外はたぶん全て原書で読んでいるので、この映画公開を機に『The Catcher in the Rye』を英語で読もうかと考え中です。大人になった今読むと、十代のころのヒリヒリした感覚(?)がよみがえってちょっと疲れてしまうかもしれませんが、試してみたい気持ちもあります。

『Seymour ― an Introduction(シーモア―序章―)』J・D・サリンジャー

Raise High the Roof Beam, Carpenters; Seymour - an Introduction

Raise High the Roof Beam, Carpenters; Seymour - an Introduction

 
大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章 (新潮文庫)

大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章 (新潮文庫)

 

読んだら気になる存在になるグラース家の物語

サリンジャーが複数の作品で描いた「the Glass family(グラース家)」の物語の一つ。この家族の物語は発表された順番で読むのがいいと思います。本作は『Raise High the Roof Beam, Carpenters(大工よ、屋根の梁を高く上げよ)』と一緒に1冊の本として1963年に出版されました。グラース家の話が収録されている作品には他に『Nine Stories(ナイン・ストーリーズ)』(1953年)、『Franny and Zooey(フラニーとズーイ)』(1961年)、『Hapworth 16, 1924(ハプワース16、1924年)』(1965年)があります。

シーモアはグラース家の長男で、明るいとは言えない人生を送り、家族に影響を与え続けます。この作品は万人好みとは言えないと思いますので、サリンジャーに興味がある方に主におすすめします!

『Not the End of the World(世界が終わるわけではなく)』ケイト・アトキンソン

Not the End of the World

Not the End of the World

 
世界が終わるわけではなく 海外文学セレクション

世界が終わるわけではなく 海外文学セレクション

 

日常世界から異空間へ飛んでいくような短編集

こちらもちょっと不思議な雰囲気の本で、短編集です。日本語版は現在、Kindle版が入手しやすいようです。起承転結がはっきりしてるタイプの話ではありませんが、日常から少し外れてしまった不思議な世界に浸かりたい方は読んでみてください。

英語はとってもシンプルです。こういうシンプルな文章で奇妙な世界を構築できるって貴重なことだなあと思います。例えば、ショッピングに来て何を買うか話している2人の会話がどこか風変わりな方向に進んでいくように、表面的には一見普通に思える場所から気付くと異次元の世界に来てしまっているような感覚が味わえます。読後は、普段の日常会話や日常風景がいつもとは違ったふうに聞こえたり見えたりするかもしれません。

『Lanark: A Life in Four Books(ラナーク―四巻からなる伝記)』アラスター・グレイ

Lanark: A Life in 4 Books (The Canons)

Lanark: A Life in 4 Books (The Canons)

 
ラナーク―四巻からなる伝記

ラナーク―四巻からなる伝記

 

知られざるイギリスの傑作長編小説

どっぷり小説の世界に浸りたい人に強くおすすめします。著者のアラスター・グレイはスコットランド作家で、現地ではとてもよく知られています。画家でもあり、本書の絵も自身で手掛けています。

構成はちょっとひねりがありますが、英語は素直な文体で、内容も難解ではありません。物語の中に入り込んで楽しめる、そういう意味では古典的な要素のある小説ではないでしょうか。言葉だけでこんなに広く豊かな世界を構築することが可能なのか!と改めて思わせてくれる小説です。

こんな傑作が翻訳大国の日本で出版されていないなんて信じられない!もったいない!と思い、無謀にも冒頭の数ページを訳し始めたころに書店で日本語版を見つけ、この本を翻訳出版してくれるとはなんとありがたいことか!と感動した覚えがあります(笑)。まずは日本語訳から読むのもいいと思いますので、ご興味ある方はぜひ。

Irene

文:Irene
皆さまに、その時々の気分に合ったお気に入りの1冊が見つかりますように。

*1:ニューヨークを舞台としたポール・オースターの3つの作品、『ガラスの街』『幽霊たち』『鍵のかかった部屋』を指す。