絶対にやるべき!TOEICテスト受験後に届くスコアシート分析

TOEIC スコアアップ200点請負人の Jay(ジェイ)こと早川幸治さんが、TOEIC のスコアをどうしても上げたいあなたに贈る連載。第5回は、受験後に届く公式認定証の活用方法について。スコアアップの奥義をまたひとつ、教えていただきましょう。

前回 は「Part 7 が最後まで解ける!英語スピードリーディング習得術」と題して、速く読めるカラクリと速く読めるようになる方法についてご紹介しました。

今回は、公開テストでも IPテストでも受験後に送られてくる公式認定証(スコアシート)の活用法です。

スコアシートは、スコアを確認して終わりだと思っていませんか?

それは、実にモッタイナイ!

テストはゴールかスタートか

テスト結果とは、GPS(全地球方位システム)のように自分の現在地を示したり、健康診断のように現在の身体の状態を数値化したりするためのものですが、実はテストには2種類あります。

ひとつが、「到達度テスト(achievement test )」。これは学校の中間テストや期末テストのように、 学習した内容が身に付いている かどうか を確認するためのテストです。

そして、もうひとつが「習熟度テスト(proficiency test )」。これは、 ある 基準 の中でどのくらい実力があるか を見るためのテストです。

前者が数英理社のテストだとしたら、後者は体育のテスト(スポーツテスト)です。TOEIC はどちらに近いでしょうか。

TOEIC と体育は、発音も近いですが、テストとしての役割も近いのが特徴です。これらは 健康診断に近い とも言えます。健康診断も結果が出ることがゴールではなく、その結果に基づいて、食生活を 改善 したり、運動を始めたり、という行動へとつなげます。

TOEIC は勉強の成果を見るというゴール的な使い方もできますが、今回はスタート地点としての使い方をお伝えします。

それが、スコアシートに付いている Abilities Measured(アビリティーズ・メジャード:項目別正答率)の 分析 です。

多くの受験者は、スコアシートの右上にある合計スコアだけを見て一喜一憂しています。公開テストの場合には、オンラインでスコアを確認できるため、スコアシートが郵送で届いても見ないという方もいらっしゃいます。

モッタイナイ!

もちろん、合計スコアが目標を超えたり、ベストスコアを記録したりすることは大切です。でも、目標スコアに届いていなかったり、ベストスコアを下回っていたりする場合、「スコアを確認してガッカリ」というだけで終わってしまいます。

スコアシートで 本当に重要なのは、スコアではなく下部にある Abilities Measured  なのです。

Abilities Measuredは魔法の数字

Abilities Measured には、スコアの数十倍の情報が詰まっています。だからこそ、私のセミナーやグループコンサルティングでは Abilities Measured を 分析 してお伝えすることを最優 先に しています。

ぜひ、お手元にあるスコアシートの情報と照らし合わせながら読んでみてください。意外な発見があるかもしれません。

健康診断においては、血液検査の結果からさまざまなことがわかるように、Abilities Measured を 分析 することで、以下のようなことがわかります。

  • やさしめの問題に確実に正解できている かどうか
  • 意味を理解できている かどうか
  • 話の 展開 をしっかり理解できている かどうか
  • 持っている知識やスキルがスコアに反映されている かどうか
 

Abilities Measured を見ると、左側にリスニングが5項目、右側にリーディングが5項目並んでいます。

リスニングの項目を上から、L1、L2、L3、L4、L5 と呼ぶことにします。リーディングの項目も 同様に R1、R2、R3、R4、R5 と呼びます。

リスニングセクションのAbilities Measuredの見方

まず、リスニングから見ていきましょう。

項目 該当パート 内容と必要なスキル
L11、2○描写や質問の意味が理解できている。Part 2 では Yes/ No 疑問文や報告・連絡などのステートメントが該当します。
L23、4○会話やトークの概要や目的を正しく理解できている。基本的に3問セットの1問目が該当します。誰が・どこで・何について・何のために、という情報がメインです。
L31、2○描写や質問のポイントを理解できている。Part 2では When/Where/Who などのポイントを 把握 し、直接的な応答が理解できているものが該当します。
L43、4○会話やトークの詳細を正しく理解できている。基本的に3問セットの2問目・3問目が該当します。ピンポイントで情報を特定できている かどうか 、です。
L52、3、4○発言の意図を正しく理解できている。Part 3、4 の What does the man mean when he says, “ No problem ”? のような問題に加え、Part 2 の間接的な応答が理解できている かどうか 、です。
まずは難易度の低いL3をチェック!

リスニングでまず確認したいのは、 L3 の正答率が最も高くなっている かどうか です。特に リスニングが430点くらいまでの方は L3 が最も高くなる 傾向 があります。

なぜなら、When に対して Next week という応答や、Where に対して On the second floor という応答が正解となるような、難易度が低めの問題が L3 に該当するからです。

もし L3 の項目が低くなっているとしたら、それは実力がないのではなく、「実力が出ていない」ということです。よって、本来のスコアはもっと上にあるということが断言できます!

また、多くの受験者が初めて100パーセントの正解率を出すのが L3 です。

Part 2:L1は発言の意味、L5は発言の意図をつかむ力

L1 と L5 の多くは Part 2 です。

L1 は、「次回の会議の日程は決まりましたか?」という質問に対して、「会議の日程」が問われていることを理解したうえで、「来週の金曜日です」のような応答を選ぶことができている かどうか を示しています。

これに対して L5 は、意味だけでなく、発言者の意図まで理解できないと解けない問題です。

たとえば、「次回の会議の日程は決まりましたか?」という質問に対して、「メールを読んでいないのですか?」のような応答が L5 に該当します。ここには「メールに次回の会議の日程が書かれていますよ」という意図が含まれています。

このように応答の難易度が高くなるため、L1 の正解率が上がらないと L5 は上がってきません。

Part 3 & Part 4:L2はストーリーを理解する力

L2 の数字が高いほど、Part 3、4 の会話やトークの冒頭を聞いて、 概要や目的を理解している ことを意味しています。ここが低い場合は、ストーリーを聞き取る力が 不足 しています。

Part 3 & Part 4:L4は詳細情報をキャッチする力

L4 が低い場合は、「来月何が起こるか」や「男性が女性に何を依頼するか」のような詳細情報に正解できていないことを示しています。これは、聞いているうちにわからなくなっている状態です。

複数回受験したことのある方は、 過去3回分くらいを並べて各項目の 推移 を見てください 。スコアは安定しているのに、Abilities Measured の項目はバラバラということはよくあります。このような状態の方は、 各項目が安定すればスコアは大きく伸びます

リーディングセクションのAbilities Measuredの見方

続いて、リーディングです。

項目 該当パート 内容と必要なスキル
R17○総合的な読解力がある。目的や、「何が述べられていますか」という抽象的な設問に答えられている かどうか 、です。本文と選択肢の言い換えにも対応できています。
R27○情報を特定できている。詳細情報を見つけられていることを示しています。
R36、7○情報を関連付けられている。マルチプルパッセージ(複数の文書を参照する問題)や複数の文を関連させて情報をつかむ必要があるものです。
R45、6、7○語句またはフレーズの知識がある。語彙問題や同義語問題に正解できています。
R55、6○文法の知識がある。文法問題に正解できています。
R5で英語基礎力をチェック

まず、R5 を確認してください。 ここが高い方は文法力があります ので、英語の構造を読み取る力をお持ちです。

「R5 は高いけれど、R1~R3 が低い」という方は、おそらく Part 5 に時間をかけすぎてしまい、Part 7が最後まで終わっていないという状況です。「時間さえあればPart 7 は読める気がする」という方は、Part 5の解答時間を短縮したうえで、Part 7 の読むスピードを速くすることでスコアは大幅に伸びます。

スコアアップのカギは、R1~R3

次に、R1~R3 をご覧ください。 R1 が高い方は読解力があります ので、自信を持ってください!

ただ、R1 は高いのに、R2 が低いという方は、「話の 展開 はつかめているのに、 具体的な 情報を見つけられていない」という状態です。おそらく「記憶に頼りながら解いて間違えている」か「深読みしすぎ」です。

Part 7 が最後まで終わっていない方は、マルチプルパッセージの問題に多い R3 は相対的に低くなります。

なお、Part 5 と Part 7 の力が上がることで、Part 6 の正解率が伸びますので、まずはPart 5 と Part 7 を細かく確認してください。Part 6 や Part 7 の読むスピードを速める方法については、 前回 の「Part 7 が最後まで解ける!英語スピードリーディング習得術」をお読みください。

リスニング と同様に 、リーディングも過去3回分程度のスコアシートを並べて、各項目の 推移 を見ることで、「スコアは安定しているけれど、各項目は安定していない」という状況に陥っていない かどうか が確認できます。

まとめ 

いかがでしょうか。Abilities Measured では、ここまで深いことがわかります。

ぜひ、前回の TOEIC の結果をスタート地点として捉えてみてください。そして、次のテストがゴール地点です。

まさに、ドライブに出かけるときにカーナビをセットするイメージです。目的地だけ入れても、現在地がわからないと正しいルートがわかりません。Abilities Measured の 分析 は、まさに現在地を GPS で確認する 作業 です。

現在地を確認することで、目的地に向けてのドライブをスタートできます。今日からのスコアアップドライブを楽しんでください。

最後に、回の格言です。

終了のホイッスルは、次の試合の開始のホイッスルでもある。

岡田武史

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早川幸治(はやかわ こうじ)
ニックネームはJay。株式会社ラーニングコネクションズ代表取締役。企業研修講師として、英語を公用語化した企業はじめ、これまで全国の140社以上で研修を担当してきたほか、大学や高校でも教えている。セブ島留学プログラムも監修。TOEIC990点(満点)、英検1級 取得 。豊富な受験経験から 傾向 をおさえた効率的な対策法が好評。著書多数。アルクの通信講座「 TOEIC(R) LISTENING AND READING TEST 完全攻略600点コース 」監修。

写真(1枚目とプロフィール写真):山本高裕(アルク GOTCHA! 編集部)

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