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英語でのビジネスに必須の社交術を身に付ける方法

アートでビジネス力UP

英語で商談をする分にはさほど困らないが、接待やパーティーでは話題に困って途端に言葉が出てこなくなる。そんな経験があるビジネスパーソンの方も多いかもしれません。どんな社交の場でも使える万能のネタや、それについて語れるようになるコツはあるのでしょうか?「英語でアート」を学べるスクールを主宰する宮本由紀さんに教えてもらいましょう。

前回までの記事はこちら

ビジネスに最適な学びは「リベラルアーツ+英語」

前回は、これからの時代を生き抜くために必要な次の3つのうち、(1) と (2) について書きました。

(1) 人間力

(2) オンリーワンになれる知識やノウハウ

(3) 英語コミュニケーション力

(1) と (2) を身に付けるには「アート」が最適であり、西洋美術史を軸としたリベラルアーツ*1を学ぶことで、人間的に豊かになり、オリジナルなアイデアを生み出す力が付くという話でしたね。

今回は、リベラルアーツと同様に欠かせない (3) 英語コミュニケーション力についてお伝えします。

私は日本のアーティストの海外進出もサポートしていますが、国内より海外のアート・マーケットの方がケタ違いに巨大ですので、海外を目指す方が年々、増えているのを実感しています。

アーティストのみならず、今後はビジネス界の方々も、海外を視野に入れ、ボーダーレスに就職活動をされるケースも増えるのではないでしょうか。とすると、「リベラルアーツ」と「英語」はセットで学ぶのがベストなのです。昨今、「世界のビジネスエリートが~」というキャッチフレーズが入った本をよく目にしますが、ビジネスエリートになるにも、最低限、英語でコミュニケーションできないといけませんよね。

「英語で」学ぶ4つの理由

私が主宰するスクールの西洋美術史や対話型鑑賞の講座では、主に「英語」を使っています。その理由は4つあります。

(1) 「海外で通用する思考回路」を身に付けるため

(2) 「Why 質問」に対応するため

(3) 海外での「社交」に対応するため

(4) 「好き」を通して英語を学ぶため

順に詳しく説明していきます。

(1) 「海外で通用する思考回路」を身に付ける

なぜアートと共に英語も学ぶのでしょうか。英語にこだわる理由は、「英語でアート」を学ぶことによって最初から海外を意識できるからです。日本という小さな箱から出て、大きく考えるには、英語から入った方がいいのです。題材は美術であっても、哲学であっても、バイリンガルで学ぶと頭の中が「英語脳」に切り替わります。そうすると、考え方や発言の仕方そのものが変わってきます

ご存じのように、日本式の話し方、プレゼンの仕方、メールや論文の書き方は全て状況説明から入って最後に結論を述べます。起承転結式なのですね。しかし欧米では、最初に自分が一番言いたいこと(結論)を述べてから説明に入ります。アートを英語で学ぶことによって、考え方も欧米式に近いものにし、英語という言語だけでなく、思考回路も日本とは逆にする習慣を付けることを私はすすめています。

講座で行うディスカッションでは、生徒さんに絵やそれにまつわる文献について感想や意見を述べてもらっています。その際、話すことをまず要約するようにお願いしています。自分が主張したいことを冒頭でズバッとまとめてもらうのです。TPO にもよりますが、伝え方も効率よくするのが今の時代に求められているのではないでしょうか。このようなプレゼンの仕方、話し方に慣れると、海外の方とのコミュニケーションも取りやすくなるはずです。

(2) 「Why 質問」に対応する

海外の方、特にアメリカの方は質問好きで質問上手です。What do you think?(どう思うか)/ Why do you think so?(なぜそう思うのか)/ How did you come to that conclusion?(どのようにしてその結論に到達したのか) という質問をされることが非常に多いのです。

私も海外で友人と美術館巡りをすると必ず、What do you think about this work?(この作品についてどう思うか)と聞かれます。そして、その質問に答えると、さらに Why? と聞かれます。Whyが永遠に止まりません!

この手の質問に即、対応できるように、私が主宰するスクールでは「英語対話型鑑賞講座」というものを定期的に開催しています。作品を見て、「何が描かれているのか」という質問に始まり、対話を通して最終的には、「自分はどう思うのか」を考えます。対話型鑑賞で得られるのは、洞察力、観察力、質問力、瞬発力、発想力など。このような練習こそ、頭を柔軟にするために今のビジネスパーソンに必要だと思います。

前回の記事にも書いたように、抽象的な質問に答えるには自信と勇気が要ります。その自信につながる自分軸をアートで養い、英語で思考することによって、海外の方とも対等に話せるようになるのです。

(3) 海外での「社交」に対応する

前回の記事でも紹介した、「パーティー大国」であるアメリカのレセプションでは、一般には政治と宗教の話は避けた方が無難と言われています。経験者の私もそう思います。「相手はきっとアメリカ現大統領なんて支持しているはずがない」と思い込んで話し始めたりすると、結局自分の首を絞めることにもなりかねないからです。

自分の「常識」が相手にとっては「非常識」かもしれないと意識するのは大事です。政治と宗教を避けると話題がなさそうと思うかもしれませんが、そこでアートの出番になるわけです。アートが身近にある彼らにとっては、美術(古典から現代アートまで)や音楽(クラシックやジャズ)、舞台芸術(オペラやバレエ)の話をしている方が「社交」が円滑に進みます。

例えば、私が以前住んでいた街、ヒューストンには、地元民に親しまれている大中小さまざまな規模の美術館や現代アートのパブリック・インスタレーションが多数あり、地元を本拠地とするオーケストラやオペラ、バレエのカンパニーなどもありました。それらの芸術の話題だけで十分ディナーの時間が過ごせます。Have you been to the latest exhibition at the ABC Museum?(ABC美術館の最近の特別展に行かれましたか)、When does the symphony season begin?(オーケストラのシーズンはいつ始まりますか)などと聞いてみて、相手が話してくれたらしめたものです。

他には、旅行の話もいいかもしれません。ただ、日本の人が好きな食やレストランの話は、相手にもよると思いますが、アメリカではそんなに盛り上がりません(フランスやイタリアだと違ってくるかもしれませんね)。食を日本ほど重要視しないことが多いことを理解する必要があります。

このような事情もあり、英語でアートのネタを話せるようにしておくと、初対面の人しかいないパーティーでも苦痛に感じることはないでしょう。

(4) 「好き」を通して英語を学ぶ

もしあなたが年に数回でも美術館に足を運んだり、海外に行くと必ず現地の美術館を訪れたりするのであれば、西洋美術史を通して英語を学ぶことをおすすめします。やはり語学は「パッション」がなければなかなか長続きしません。「もっと知りたい」という気持ちが何よりも強いモチベーションになります。

そして、美術史こそ、リベラルアーツを包括的に身に付ける適格な素材だと私は考えています。各時代の絵画について、アーティストの人物像から、背景となる歴史、政治経済、宗教、哲学、音楽、文学まで、リベラルアーツの多くの要素を網羅しているのが西洋美術史だからです。

私の生徒さんの中で特に勉強熱心な方は、美術史講座でネタを仕入れた日の夜、オンライン英会話の先生に講座で勉強したことを要約して伝えて復習するのだそうです。そして、翌日は別の先生に同じことをして、フィードバックをもらうとのこと。時には連続して4人くらいの違う先生に同じ話をするみたいです。そこまで徹底して勉強できるのは、「アートが好き」、そして「自分も話せるようになりたい」という強いモチベーションがあるからでしょう。

自分と世界を見つめるまなざしを得る

今、私たちがやるべきことは、西洋美術史を軸としたリベラルアーツを学び、人としての原点に返り、「考える」ことです。自分の在り方とは、幸福とは、生死とは、より良い社会とは、自分はどう社会に貢献できるのか、世界平和にどう貢献できるのか。そんなことを考え、問うことによって、自分が見えてきて、そして世界が見えてくるのだと思います。

「OK Google」に頼っている場合ではありません。世界を意識した上で自分自身を問い、学び続けること。そのきっかけを作ってくれるのが、西洋美術史と英語なのです。

12月に公開予定の次回は、実際のアート作品を題材に、「英語でアート」を体験してみましょう!

リベラルアーツを学べる本と講座

リベラルアーツを学んでグローバル教養力を身に付けるための、宮本由紀さんの本(共著)と講座を紹介します。

海外のビジネスエリートとアートを語れるようになる本

英語でアート!

英語でアート!

 

「自分軸」を身に付けるための講座を開催

Art Alliance(アート・アライアンス)では、英語とリベラルアーツを両方学べる多様な講座が開催されています。

宮本由紀

文:宮本由紀

Art Alliance代表。「英語でアート」(西洋美術史、美術英語)講師。国内外で展覧会を企画。 ヒューストン大学美術史学科卒(学士号)、セント・トーマス大学大学院リベラル・アーツ(美術史)科卒(修士号)、ヒューストン美術館ヨーロッパ美術部門インターンシップを経て、同美術館リサーチライブラリー勤務。日米アーティストのエージェントも務める。共著に『英語でアート!』(マール社)。

http://www.artalliance.jp/

https://www.facebook.com/artalliance.tokyo/

編集:GOTCHA!編集部

*1:リベラルアーツ(自由七科、七自由科):「ギリシャ・ローマ時代からルネサンス期にかけて一般教養の基本となった7科。文法・修辞・弁証法の3学と、算術・幾何・天文学・音楽の4科からなる」(デジタル大辞泉より)。なお、現代のアメリカにおける大学の一般的なリベラルアーツの科目には、美術・歴史・文学・哲学・宗教学・社会学などが含まれる。