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前向きになれる離職対策6つ!転職が普通のアメリカ企業に学ぶ

イマココ働き方改革

「どんどん人が辞めていく……」。転職市場が活発化する中、企業でそんな悩みを抱える方も多いのでは?でも嘆くことはありません!会社を良くするいい機会と捉えましょう。異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに、転職が以前から普通に行われてきたアメリカの事例も含めて、アドバイスを頂きました。

辞めていく社員を減らしたい

office worker小さい会社で役員をしております。

転職市場が活発化する中、退職する社員が増えています。しかも、新たに雇っても数カ月で辞めていく例もあり、会社に魅力が足りないせいかと悩んでいます。

まず何から改善していくべきでしょうか?

カップさんからの回答

イマココ働き方改革

実は、最近多くの日本企業が同じことを経験しています。

かつて日本では、社員の定着は問題となりませんでした。ほとんどの人が会社を辞めなかったからです。しかし現在、日本の労働市場は変わりつつあり、流動性が高くなってきています。その中で、今まであまり経験してこなかった現象、つまり、社員が辞めていく現象が起こっているのです。

そのため、社員の離職が頻繁にあるアメリカで経営の重要な道具の一つとされているretention strategy(社員を定着させるための対策)」を、日本でも取り入れる必要性が高まってきています。

退職者が多い場合の考えられる理由

労働市場の流動性が上がると、ある程度の離職が起こるのは避けられません。しかし、社員を引き止めておくことが不可能というわけではありません。

辞める社員が多い場合、会社の人事管理上で何らかの不均衡があると思っていいでしょう。例えば、

  • 給料が他社と比べて低い
  • 昇進の機会が少な過ぎる
  • 職場の雰囲気が良くない

など、考えられる理由はたくさんあります。

そのため、離職の問題を真剣に捉え、それをうまくコントロールし、離職の原因把握して、解決することが大切です。

離職を防ぐための具体的な対策

社員が不満に感じている原因を取り除くことが、離職率を低下させるために有効な対策になります。

①退職時面接(exit interview)を行う

離職の原因把握するためにおすすめしたいのは、exit interview(退職時面接)です。これは通常、人事担当者によって行われ、退職者から、辞める理由や職場の改善点などを聞き出すことを目的としています。

これから辞める人に対しては、すぐにこういった面接を行うのがいいでしょう。また、最近辞めた人に対しても、直接連絡して聞くといいと思います。

「退職者が率直な意見を言うのか?」という疑問を持つかもしれませんが、退職を決意する人は意見を結構言ってくれるものなので、こういった面接はとても参考になります。

管理職の360度評価実施する

潜在的な不満の原因把握するために、現在の社員の意見を聞くことも有効な手段です。

効果的な情報収集方法として一つ挙げられるのは、マネジャーの360度評価です。実は世論調査によると、社員が会社を辞める最大の理由は、上司との関係の悪化のようです。そのため、マネジャーが部下の目にどのように映っているかを知るのはとても大切です。

360度評価特に低い評価を受けたマネジャーに対しては、コーチングを実施し、改善を促すことが望ましいです。そうすることによって、マネジャーの水準を向上し、ひいては社員の離職を防ぐことができます。

③社員に満足度アンケートを取る

もう一つの情報収集方法として挙げられるのは、社員に対して満足度をチェックするアンケート実施することです。

こういったアンケート通常、年に1回実施します。社員に、「職場の人間関係」「仕事の内容」「会社全体に対する思い」などを徹底的に書いてもらいましょう。

得られた洞察に基づいて、職場を改善する対策を実施することで、社員の不満を解消し、離職を予防することができるでしょう。

④ツールも活用して、社員の状態を頻繁に把握する

最近では、年に1回実施するアンケートよりも頻繁に社員の意識をチェックすることが行われるようになってきました。pulse survey(パルス調査、pulse は「脈拍」の意)」と呼ばれるもので、社員が毎週、簡単な内容の質問に答えます。

そのためのツールとしてアメリカでは、「Glint」、「Culture Amp」、「TINYpulse」などが人気を得ています。

こういったものの発展版として、日本では最近、「Attuned」というサービスが開始されました。これは、社員から個人としてのモチベーションに関連する質問への答えを聞き出し、AI を使ってそれに基づいて各社員の離職のリスクを予測するツールです。人によって「どんな動機を持っているか」「どんな感情を抱いているか」が異なりますので、個人にフォーカスするのはとても効果的だと言えます。

採用時のミスマッチを防ぎ、社員を定着させる方法

離職を防ぐ鍵は、社員が「何を望んでいるか」や「仕事上、何を大事にしているか」を把握して、それを会社として提供するように努力することです。

従来なら、会社は顧客を引き寄せ、満足させて定着させるように力を入れてきました。これからは、日本ではますます人手不足が深刻化しますので、社員に対しても似たような配慮が必要になります。

①会社の魅力度を高める

社員の定着を図るためにまず最低限、必要なのは「競争性のある賃金」です。他の会社に移ることによって大幅に給料がアップするのであれば、辞めてしまう社員はたくさん出てくるでしょう。

しかし、社員はお金だけで動くわけではありません。「仕事の内容」「職場の雰囲気」「職場環境」「学ぶ機会」「仕事のやりがい」なども、とても重要な仕事の要素です。こういったものを充実させることによって、会社の魅力度をアップさせられます。

②採用プロセスを見直す

もう一つ言えるのは、数カ月で辞める人がいるなら、採用プロセスを見直す必要があるかもしれないということです。

多くの日本企業は「職務(内容)記述書(job description)」を用意しませんが、私はそれを作ることをおすすめします。職務内容記述書を作成することによって、「職務の内容」とその職務をこなすために「必要なスキル」を明確に把握できるからです。それを求職者に提示すれば、採用活動において応募者と会社の双方にとってとても役立ちます。

なお、先ほど紹介した「Attuned」は、採用時に候補者のモチベーションが職務にマッチするかをチェックするのにも使えて、とても便利なツールです。

離職防止対策を会社全体の改善きっかけ

以上のような対策に力を入れることで離職率を下げられますので、気落ちしないでぜひ頑張っていきましょう。離職対策をすることにより、社員満足度アップなど、良い副作用がたくさん得られます。さまざまな面での会社の改善きっかけになりますよ。

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ロッシェル・カップ

執筆:ロッシェル・カップ

ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。

異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍企業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日本語が堪能で、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)、『英語の品格』(集英社) をはじめ、著書は多数。朝日新聞等にコラムも連載している。

編集:GOTCHA!編集部