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グローバルに活躍したいなら英語もいいが常識を破れ! by @May_Roma

グローバル視点の働き方

海外の人と交渉したり海外で働いたりする機会がある人もない人も、「このやり方、なんかおかしい」と思うことがあるのでは?この連載「グローバル視点の働き方」では、『世界でバカにされる日本人―今すぐ知っておきたい本当のこと―』など著作多数、Twitter で @May_Roma(めいろま)として発信、日本とヨーロッパでITコンサルタントとして活躍する谷本真由美さんに、世界で伸び伸びと活躍する方法を教えていただきます。第1回のテーマは「本質を見よ」です。

日本の人は概して「優秀」だけど……

日本人が海外の人と働く場合にいろいろと問題になることがあります。

もちろん日本人は非常に仕事が丁寧で、教育レベルも平均的に高いので、優秀なのでありますが、日本人の心構えというのは外国の人と一緒に働いたときにいろいろと問題を引き起こしてしまうこともあるのです。

この連載では、そのような問題を具体例と共に紹介し、「日本人がいかによく働けるようになるか」ということを考えてみたいと思います。

海外の人と働くときに「本質を見ない」のが大問題に

今回は、日本人が他の国の人と働いた場合に最も大きな問題になる「本質を見ない」ということを取り上げます。

「本質を見ない」とはつまりどういうことかというと、仕事や物事の本当に重要な部分や意味を理解しないで、何も考えずに形式や前例に沿ってしまうということです。

なぜこんなことが起こるのかというと、日本人というのは大変従順でありまして、小さいころから先生や親の言ったことや決まりに忠実に従うように教育されているからです。

成長してからも、周囲からそのように期待されます。決まり事に従うことは当たり前のことであって、疑問に思うようなことではないわけです。ですから、本心では「嫌だな」とか「これは違う」と思っていても、与えられた仕事を着々とこなし、ルールには従います。

ところが、外国の人にはこれが通じません。なぜかというと、小さいころから「ルールを守るのが偉い」というふうにしつけられていないからです。

「ルールを破るために知恵を絞る」のが「偉い」

場所によっては、「ルールを破る方法を考える方が偉い」というふうに考えられています。日本とは全く評価軸が違うわけですね。

その代表的な場所の一つが中国大陸であります。

中国大陸というのは長い歴史を持ち、人々は戦乱の中を生き延びてきました。お上が言ったことに従っていたら、家族もろとも皆殺しになったり、財産を没収されたりすることもありました。

これは昔の話ではなく、文化大革命や共産主義革命が起きたつい最近の話でもあります。中国大陸の私の友人たちの中には、地主や資本家階級の育ちだったため、家族や親戚が財産を没収されたり、密告をされて僻地(へきち)に飛ばされ死にかけたりした人も少なくありません。

お上や周囲の言うことをそのまま信用し従っていたら、自分の命さえ落としてしまうのです。

つまり、ここでの教訓は、「ルールや決まり事というのは、為政者が支配したい相手をコントロールし、その生死を握るためのものにすぎないので、頭から信じ込んではならない」ということです。

スポーツもビジネスも「勝ってなんぼ」

「ルールや決まり事をそのまま信じ込むべきではない」という教訓は、私が国連専門機関で働いていたときに住んでいたイタリアでも、実は同じです。

イタリアでは例えば、子どもがサッカーをする際に「相手を出し抜いてズルをした方が偉い」と評価されることがあります。スポーツは勝ってなんぼという「戦争の代替」ですから、ルールの穴をかいくぐって相手に勝つ方法を見つける人は「頭が良い」と評価されるわけです。

つまり、勝負において本質的に重要なのは「勝つ」ことです。

これは普段のビジネスの場でも同じです。職場にはさまざまなルールがありますが、その穴をかいくぐって、人よりも多めの休暇を取得したり、プロジェクトを成功に導いたりする人が「優秀」と言われます。

ただ「クソ真面目にやっている人」は「使えない人」扱いです。

おかしいことを「おかしい」と言うのが正しい

イギリスは議論が大好きな国で、前例に対して挑戦をすることが当たり前だと考えられています。おかしいと思う会社の決まりやプロジェクトの進め方があったら、若い人でも正々堂々と自分の理論を唱えて、「なぜそれがおかしいか」ということを主張します。

このような議論をする人は「不届き者」とののしられることはなく、逆に

「違った視点があって大変よろしい」

「付加価値のある提案をする使える人」

ということで、大変優秀だと評価されます。

イギリスというのは交易を長くやってきた所で、さまざまな人々やアイデアが交わるところですから、他人と違う提案をできる人というのは「良い」と評価されるわけです。

ルールの本質とは?

ルールというのは、あくまで歴史の中における「ある時点」の人々の行動を制御したり、ある程度統制したりすることで、円滑に物事を進めるための「約束事」にすぎません。ですから、その集団に所属する人々が変わったり、世の中の流れや技術が変わったりすれば、どんどん変えていくのが当たり前です。

良いやり方や決まり事を考えついたのであれば、それを提案してみんなで話し合うというのは、誠に理にかなった考え方ですね。

人類の発展を願うのであれば、これがルールというものの「本質」ではないでしょうか。

決まりに盲目的に従うということは、「歴史のある時点の他人の考え方を無批判に受け入れること」にすぎず、そこには発展も革新も何もないということです。

「日本式」を海外に持ち出すのは危険

このように幾つかの例を取り上げてみましたが、日本のように「従順に前例に従う」場所というのは、実は世界的に見ると少ないわけです。

日本では書いてある通りにきちっと物事を行える人は大変高い評価を得られるのですが、他の国に行くと「無能」というふうに烙印(らくいん)を押されてしまいます。

これは単純なように見えて、実は大変深刻な問題です。

日本人が海外の多国籍企業や現地の企業に入って仕事をする場合に、日本式にルールに従ってコツコツ真面目にやっていても、いつまでたっても昇進できません。気が付くと周囲の同僚に出し抜かれていたりします。

所変われば評価基準も正反対

日本では、マニュアルにあることを忠実にこなしたり、締め切り通りに書類を提出したりする人は、「素晴らしい」「神様」「頭が良い」という評価を受けます。

しかし、ルールに忠実であることをそれほど評価しない国の場合は、そういう真面目な人は「真面目」だとは言われる一方で、革新的なことを提案したり変わったことを言ったりしないので、「全く面白みのない使えない人」と裏で言われてしまうわけです。

その一方で、きちっとしたことはあまり評価されませんから、遅刻や遅延は日常茶飯事ですし、締め切りを守らない人も大勢います。ルールがあっても、すぐに抜け穴を見つけ出して違ったことを始めてしまう人も多いです。

集団で踊ったり、行進したりといったことも、統制が全く取れないので本当に大変です。

真っ先に問われるのは「なぜそれをしなくてはいけないのか?」

これは私の本業の話になりますが、私はIT業界でシステムの監査やITガバナンスという「誰が何をどのようにやっているのか」を調べる仕事をしてきました。

日本では、監査や各担当者がやっている業務の調査が非常に楽です。期日通りに書類を出してくれる人が大半ですし、こういう決まりがあるということを説明をすれば、真面目に読んで締め切りまでに勉強してきてくれる人が大半です。

実に神のような対応をしてくれるような素晴らしい方々が多いのです。仕事のやり方をごまかしたり、マニュアルに沿わなかったりする人もおりません。

ところが海外の場合は、ルールの抜け穴を探すのが当たり前ですから、統括されることが大嫌いな人が多いです。

いざ何か調べようとすると、まず最初に聞かれるのが「なぜ調べるのか?」ということです。この点で彼らを説得をしなければ、情報を得ることすらできません。

締め切りを守らない人や、わざと情報を出さない人も大勢います。ルールを作成しても、そんなものは読まずに無視をしてしまう人が大半です。

そこでそういったことが起こらないようにアメとムチを駆使して、何かやってくれた人には褒美を出したり、重大なルール違反をした人には大変厳しい制裁を加えたりする仕組みを作ります。

本当に「効率的」で「楽」なやり方とは?

このように大変面倒くさいわけですが、その一方で、画期的な意見を言う人がいたり、非効率なことにズバッと変更案を提案してくる人が大勢いるのです。これはこれで、日本とは違う形で仕事が楽なのであります。

皆さんには、日本の働き方というのはあくまで世界の中での一例であって、決して他の国で高い評価を得られるわけではないということを、知っておいていただきたいと思います。

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国連でも通じる 世界の非ネイティブ英語術

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谷本真由美

文:谷本真由美(たにもと まゆみ)

1975年生まれ、神奈川県出身。ITコンサルタント、著述家。専門はITガバナンス、プロセス管理、サービスレベル管理、情報通信政策および市場分析など。ネットベンチャー、経営コンサルティングファーム、国連専門機関情報通信官、外資系金融機関などを経て2008年よりロンドンを拠点に日本と欧州を往復しながらITコンサルティングに従事。Syracuse University で国際関係論と情報管理学修士取得。趣味はハードロックおよびヘビーメタル鑑賞、園芸。Twitter @May_Roma

編集:GOTCHA!編集部