フリーアドレス導入。社員にとってのメリット4つ

今、注目の「働き方改革」急激な変化に戸惑っている人も多いのでは?異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに、よくある悩みを相談してみました。

フリーアドレスにはどんなメリットがある?

30代の会社員です

私が勤める会社で、フリーアドレス(席を決めず、図書館のように自由に着席して仕事をするスタイル)を導入する動きがあります。会社側にとっては、フロア数を減らしてコストカットできるというメリットがあるのはわかりますが、自分の席が決まっていないなんて落ち着かない気がします。毎朝、座るところを探すのも面倒くさいです。

また、友人の勤務先ではすでにフリーアドレスが導入されましたが、みんな大体同じ席に座るのであまり意味がないとも言っていました。 社員にとって、フリーアドレスにはどんなメリットがあるのでしょうか。

カップさんからの回答

われわれ人間は習慣に 従う 生き物です。今までの働き方では、毎日オフィスに来て、自分の持ち物が置いてあるデスクに座って仕事をすることが「不動の仕事スタイル」でした。会社がフリーアドレスを導入することによって、そのような「慣れ」が崩れるので、確かにストレスが生じるというのも無理はありません。

しかし、フリーアドレスは企業にとっても社員にとってもメリットが多いと思われているため、これからどんどん導入の動きは広がるでしょう。

また、一度フリーアドレスを取り入れたなら、もうもとに戻ることはないはずです。そのため、フリーアドレスのマイナス面を見て落ち込むより、良い点を積極に探して生かそうではありませんか。

コストカット以外にも!フリーアドレスのメリット

指摘 の通り、企業にとってフリーアドレスの導入はコストダウンを意味します。社員それぞれに彼ら専用の席がある場合、外出や会議、休暇や出張のため、どの日でも実際にはその多くの席が空いています。調査によると、それはオフィス全体の20~40パーセントにもなるのです。

それは、率直に言えばスペースの無駄遣いです。フリーアドレスにすることによって、会社は利用しているオフィスのスペースを大幅に減らすことができるので、それはかなりの節約となります。

しかし、それだけがフリーアドレスの利点ではありません。フリーアドレスのほかのメリットを見てみましょう。これは社員にとってのメリットでもあります。

①出会いの機会が増える

毎日同じ席に座ると、周りにいる人はいつも同じ人です。フリーアドレスになると、毎日違った人の隣に座ることが可能です。すると、ほかの人にフレンドリーに挨拶したり、世間話をしたりするようになるでしょう。結果として、 ほかの部署の人とコネクションを作ったり、友だちができたりする 可能性 があります

そうなると社員にとって楽しいというだけではなく、そういった 偶然の会話から仕事のためのアイデアを得ることにもつながる かも知れません。

実際にフリーアドレスを導入した会社では、そういったケースはあるそうです。また、フリーアドレスによって職場のより多くの人がお互いを知るようになると、職場の社交性が高まり、より明るい職場になるかも知れません。

②プロジェクトワークがしやすくなる

フリーアドレスを導入すれば、たとえ同じ部署の人でなくても、あるプロジェクトに関わる人どうしが近くに座って働きながら会話することができます。そしてそのプロジェクトが終わってプロジェクトチームが解体しても、引っ越したり家具を動かしたりする必要はありません。そのため、 フリーアドレスは速いペースで変化している仕事には特に 有効 な手段 といえます。

③ペーパーレスを促進する

デスクにたくさんのファイルが山積みになっていたり、デスク周りに付箋がたくさん貼ってあったりする、「置いてあるものが多い」働き方に慣れていたら、毎日デスクの上を空っぽにするのは大変なことだと感じるかも知れません。

しかし、これをより肯定的に捉えるならば、フリーアドレスはペーパーレスを促進する きっかけ になると言えます。

あるマネージャーの例をお話ししましょう。その職場では、デスクは常に紙のファイルで埋もれていました。

職場がフリーアドレスに切り替えたときはどうしようかと思ったそうですが、それを きっかけノートテイクやファイルシェアのアプリの使い方を覚え、電子ファイルだけで仕事ができるようになりました

「最初はこうしたやり方を疑いの目で見ていましたが、紙の負担をなくすことができたので、今では完全に信者になりました」とその人は言っています。

④ロケーションフリーな働き方の促進

フリーアドレスのもう一つのメリットは、どこで働くかを見直すようになることです。自分の席だけでなく、オフィス内のさまざまなところで働けるようになると、「場所」と「仕事」のリンクが緩やかになります。その結果として、 「会社」という場所にこだわることなく、家でもコワーキングスペース(co-working space)でも働けるようになります

かなり前から、どこからでも働けるという 方針 を持っていたユニリーバ社では、フリーアドレスによって、より多くの社員がオフィス以外の場所で働くようになったそうです。

フリーアドレス導入のコツは?

少し脇にそれますが、「フリーアドレス導入のコツ」をお伝えしましょう。

もし、読者のなかにご自分の職場にフリーアドレス導入を検討している方がいたら、以下のヒントをぜひ参考にしてみてください。

①部署ごとに区切りを作る

フリーアドレスを導入する際、座る場所を完全に自由にするのではなく、同じ部署の人のための区切りを作り、そのエリアにあるデスクの中から選択してもらいます。そうすることによって、フリーアドレスの自由さを得ながら、仲間の近くで仕事ができるので、バランスが保てます。

②適切な技術を導入する

フリーアドレスでは、皆がいつも同じ場所にいるとは限りません。そのため、急に連絡したいときに「今どこにいますか?」と確認できる方法が必要です。対策としては、「皆が同じインスタントメッセージのアプリを使い、定期的にチェックすることを義務化する」などが 有効 でしょう。

改善 する">③継続的に 改善 する

フリーアドレスを導入する際、皆がどう反応するか、また自分の会社の業務にどれほど適しているかを 予測 するのはなかなか難しいことです。導入してから、 もしスムーズに行かない点があったら、その問題点を 分析 して 改善 するための調整を定期的に 実施 していくといいでしょう。自分の職場に合うよう、絶えず磨いていくという姿勢で臨むと、最大限の結果を引き出せます。

可能性 を生かそう!">フリーアドレスの 可能性 を生かそう!

さて、これまで見てきたようにフリーアドレスには多くのメリットがあります。しかし、フリーアドレスになっても、毎日同じ席に座っている人々は一定数います。そうすることによって、彼らは安定感を保つことができるからです。

その一方で、フリーアドレスの 可能性 を最大限に引き出すチャンスを逃しているとも言えます。 どこに座るかはその人自身の選択によるのですから、あなたは自分なりの自由な選択をすることができる のです。

これまで紹介してきたように、座る場所を変えることによって、さまざまな 可能性 を開くことができるかも知れません。もし職場でフリーアドレスが導入されるなら、新しい働き方にチャレンジしてはいかがでしょうか。

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