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バランスの取れた英語スピーキング力の伸ばし方。鉄板トレーニング法を大公開!

バランスの取れた英語スピーキング力の伸ばし方。鉄板トレーニング法を大公開!

アプリ、英会話教室、オンライン英会話、などスピーキング力を伸ばす手段は数多くありますが、独学でスピーキング力をつけるにはどんなことに注意すればいいのでしょうか?スピーキングやTOEIC対策指導のエキスパート・冨田三穂さんが、バランスよくスピーキング力を身に付ける方法を伝授します。

バランスの良いスピーキング力とは?

本連載の第1回では、スピーキング力習得のメカニズムについて説明しました。続く第2回では、スピーキング脳を作るための基礎をQ&A形式で取り上げました。

最終回の今回は、皆さんが目指すべきスピーキング力のレベルと、スピーキング訓練の鉄板とも言える4つのステップをご紹介します。 

理想のスピーキング力=「CAF」のバランスが取れていること

皆さんにとって、理想的なスピーキング力を持った人とはどんな人ですか。スラスラと英語が出る人、難しいことが言える人、発音がきれいな人、会話を続けることができる人、文法を間違えずに話せる人。

いろいろな基準がありますが、やはりどれか一つできるより、全体的にバランスの良いスピーキング力を目指したいところですね。

言語能力を測る指標として CAF(Complexity/複雑さ、 Accuracy/正確さ、Fluency/流暢さ)というものがあります。「複雑さ」は、シンプルな短い文だけではなく、従属節を伴うなどの構造的に複雑な文が作れるかどうかを表します。

また、「正確さ」は、文法間違いなどの有無を、そして「流暢さ」は、単位時間当たりに話せる語数や、言いよどみの有無などが指標となる発話のスムーズさを表します。

言語は、このCAFがバランスよく取れて完成するもので、実際に多くの外国語能力テストではCAFを指標としてレベル判定をしています。

しかしながら、CAFはその成長過程で「お互いに足を引っ張り合ってしまう」という特徴があるうえに、さまざまな要素が複雑にからみ合いながら発達するため、なかなかバランスの良いCAFを手に入れることが困難とされています。

たとえば「正確さばかりにフォーカスしていると、流暢さが伸びない」「ペラペラとしゃべることだけに注力すると、簡単な文ばかりで複雑さや正確さが伸びない」などという現象です。

でも、注意をしながら、適切な練習を適切な順番と文量で行えば、このCAFの3要素はバランスよく伸ばすことができます。

スピーキングの練習をするなかで、ぜひ気を付けるべきこと。それは、間違いを恐れて正確さばかりにフォーカスしたり、または、ペラペラと話したりすることばかりにとらわれて、間違いだらけの発話を続けてしまうことがないようにすること。

スピーキング練習をするのであれば、CAFのバランスの良さにフォーカスして、質の高い練習をすることが大切です。

バランスの良いスピーキング力を目指す「鉄板ステップ」

では、実際にどのようなステップで練習をするのがよいのでしょうか。

まず、音声と英文を用意します。興味が持てるテーマのものがベストです。また、生の素材に近いものが理想的ですが、難易度が高く感じる場合は、生に近い教材用素材でもオーケーです。

素材のレベルは「自分のレベルより少しだけ難しい」と感じる程度のものが理想です。明らかに難しい、または簡単すぎるものは挫折の原因となってしまうので、素材選びも慎重に行ってください。

ステップ1:全体を聞く~吸収力を高める

英文を見ずに全体を通して数回聞き、内容を把握します。想像力を最大限に働かせることで、これからの練習のベースとなる英語の吸収力を高めます。

ステップ2 インプット練習~気付きを促し「正確さ」を高める

ここでは英語の音やリズム、基本の表現をインプットします。また、「正確さ」にもフォーカスします。次のようなトレーニングを行います。

1 ディクテーション

音声を聞いて書き取ります。音声は細切れに止めるのではなく、なるべく長めに再生してから止めることをお勧めします。聞けない部分が書けない部分で、そこが伸び代です。その部分を意識しながら繰り返し声に出していくことで、弱点に対する集中的なインプット練習となります。

スピーキングとリスニングは表裏一体の力なので、自分の弱点部分を意識しながらスピーキング練習をすることで、スピーキング力はもちろん、リスニング力も伸びていくことが実感できるはずです。

2 リピーティング

英文を見ながら音声を聞き、聞こえたままを声に出して繰り返します。音などの正確な情報を脳にインプットします。声を出すときは、意味を思い浮かべてください。音と意味を脳内でつなげることが大切です。

3 音読

リピーティングで正しい情報がインプットされたら、次は音読。音読するときは、意味を思い浮かべながら行いましょう。発音やリズムなどにも注意して、登場人物になりきりながら音読をすると効果が上がります。

4 リード&ルックアップ

英文をピリオドまで読み、読み終わったら英文を頭に記憶し、顔を上げます。顔を上げたまま記憶した内容を発話します。1文が短い場合は、1、2文まとめて読んで記憶しましょう。長すぎる場合は、コンマなど、区切りの良いところで区切ってもOKです。

英文を読む、記憶する、発話するという一連が、作動記憶*1を鍛える練習にもなります。

ステップ3 インテイク練習~「流暢さ」につなげる

ステップ3では、インプットした情報を脳に深く染み込ませ、流暢さを高めます。

5 リプロダクション

英文を見ないで音声を聞き、1文が終わったところ(またはコンマの部分でも可)で声に出して繰り返します。必ず意味を理解しながら行います。音声を知覚→意味を理解→記憶に留め→発話するという一連が、作動記憶を鍛えることにつながります。

6 オーバーラッピング

英文を見ながら、音声にぴったり合わせて発話する練習です。流暢さを強化します。発音やリズムに気を付けながら、音声からずれないようにしましょう。このときも、ただ音を出すだけでなく、登場人物になりきるなど、気持ちを込めて練習しましょう。気持ちを込めることで、脳内の視覚情報とつながり、より深く浸透させることができます。

7 シャドーイング

流暢さ、および作動記憶を鍛えます。音声から1、2語遅れて、聞こえた通りにまねて発話します(英文は見ません)。必ず、意味を思い浮かべながら行うようにしてください。意味の処理をすることで、音声知覚と意味理解が同時に行われます

音声知覚と意味理解は脳内で競合すると言われているので、これらを強制的に、同時に行うことで、スピーキング力の軸となる作動記憶が大きく鍛えられます。

ステップ4  アウトプット練習~「複雑さ」を強化する

アウトプットに「複雑さ」を加えることで、英語の「正確さ」「流暢さ」「複雑さ」を統合させます。

8 ロールプラクティス

素材が会話であれば、それぞれの役のロールプラクティスを行います。役になりきって英語を声に出すと、頭の中で視覚情報とつながり、深い処理へと進みます。フレーズや音、発音などの定着率が高まります

9 英文の入れ替え/自由創作

自由に素材をアレンジします。一部のフレーズをほかのフレーズに入れ替えたり、慣れてきたら、全体的にアレンジする量を増やしたりしてみましょう。

会話であれば、自分が主人公のロールプラクティスを、スピーチなどであれば、自分自身の内容に置き換える「創作なりきりスピーチ」。これまでのステップで練習した音や間(ま)、スピードなども意識して、楽しみながら行いましょう。正確さ、流暢さ、複雑さが完成していきます。

ここで紹介したステップおよび練習は、「1000時間 ヒアリングマラソン」の「スピーキング魂」というコーナーでも取り入れている、フルコースのメニューです。負荷は、ご自身のレベルに合わせて各自でコントロールしてください。

また、全てをひと続きでやらなければいけないわけではありません。細切れ時間を利用しながら、少しずつ進めてましょう。

まとめ

効果を高めるキーワードは、連載第2回で説明した「メタ認知的学習」です。目標を持ちながら、上達してきている自分をイメージしましょう。そして、「この練習はここに効いている」ということを意識し、さらに役になりきって楽しみながら練習をすることが、成功の決め手です。

 

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冨田三穂

冨田三穂(とみた みほ)

神田外語大学講師。『1000時間ヒアリングマラソン』の「スピーキング魂」担当コーチ。慶應義塾大学文学部卒業。上智大学大学院言語科学研究科博士前期課程修了(専攻:言語学)。英検1級、TOEIC990点。アルク主催TOEICテストスコアアップ指導者養成講座第12期生。大手英会話スクール講師や通訳・翻訳者を経て、現在は、自らが経営する「T’z英語ラウンジ」などで大学生、ビジネスマンを対象とした授業やセミナーを担当。監修に通信講座『TOEIC LISTENING AND READING TEST 完全攻略500点コース』(アルク)、カシオ電子辞書「EX-word RISE」学習プログラム監修協力、共著書にユーキャンの通信講座『TOEICテスト対策講座』、『TOEICテスト学習スタートブック 全パート編』(Jリサーチ)など。

写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)
撮影協力T’z英語ラウンジ

*1:「作動記憶」とは、作業動作に必要な情報を一時的に脳内に保持・処理する能力で、日常のあらゆる場面で私たちが取る行動に関わっています。作動記憶とスピーキング力には強い相関性があり、作動記憶を鍛えることでスピーキング力が向上につながることが、数々の研究で指摘されています。