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【英語で電話会議】こちらのペースで進め、相手を説得するには?

英語で電話会議

同時通訳者でビジネス英語の指導経験も豊富な小熊弥生さんが、仕事の現場で本当に役立つ英語を教えます!使える英語表現だけでなく、その背景やビジネスをうまく進めるためのマインドセットも詳しく解説。ビジネスパーソン必見です!

こんにちは。同時通訳者の小熊弥生です。「通訳者なのに?」と驚かれることが多いのですが、私は留学経験もなく、国内の学習のみで英語を習得しました。

この連載では、これまでの通訳現場で培ってきたグローバルなコミュニケーションのコツを具体的に教えます。この連載を読んでいただければ、英語が得意でなくても、海外とのビジネスを円滑に進めていけますよ。どうぞお楽しみに。

今回のテーマは「英語の電話会議をこちらのペースで進めるコツ」。せっかく電話会議を実施しても、こちらの要求をうまく通せないと意味がありません。何千回と電話会議を通訳してきた、小熊の攻略法をお伝えします!

「コミュニケーションの原理」を理解しよう

情報は持っている人から持っていない人へ流れる

会議をこちらのペースで進めるために一番大切なことは、「コミュニケーションの原理」を理解することです。

  1. 情報は、持っている人から持っていない人へ流れる
  2. 主導権は、より確信のある者が握る

1.は、説得力のある発言をしたければ、できるだけ多く情報を集めなさいということです。

例えば、電話会議で扱うトピックが「顧客からのクレームに対する対応策」であれば、クレームの内容を、できるだけ詳しく把握し、情報を集めておきましょう。集めておきたい情報は、以下のようなものです。

①クレームの発生日時

もし1回だけの事象でない場合は、その背景やきっかけ、その後についても時系列に沿って把握しておきましょう。お客さまの立場から、クレーム案件の状況を理解することが大切です。

②顧客についての情報

クレームを寄せた顧客の氏名(法人の場合は社名や担当者名)、ユーザー歴、過去のクレーム歴、それぞれのクレームの原因把握します。特に、お客さまが「何に対して一番苦情を言いたかったか」が分かると対応も適切になってきます。

例えば、品切れのため2カ月待ちで商品を購入して、やっと届いた商品に不具合があった場合などは、通常よりも怒りを感じやすいでしょう。商品の不具合そのものよりも、2カ月待ったことのほうに根本的な原因がある可能性もあります。

③クレーム案件の担当者についての情報

担当者の名前、過去のクレーム対応歴、性格的な特徴、これまでに対応したクレーム案件原因把握しておきましょう。

顧客についてもそうですが、担当者についても責めることなく、中立的に調べることが重要です。そうすることで、担当者の育成にも役立ちます。

④商品についての情報

クレームを生んだ商品の詳細を把握します。製造年月日、生産工場、これまでに同様のクレームを引き起こしていないかなど。

商品についてもできるだけ詳しく調べておきましょう。それによって、工場側に問題がないかどうかなども分かってきます。

このように詳しく情報を調べておくと、「会議をどう進めるか」について必然的に自分の中に確信が生まれ、発言の説得力が増します。その結果、2.の「主導権は、より確信のある者が握る」という状態になるのです。

日本語の会議でも、口先だけで意見を言っている人と、よく調べて実態を適切に把握している人とでは、会議を通して生み出せる成果が違いますよね。あの違いを思い出してもらえればと思います。

相手に流されない!こちらのペースで会議を進めるためのマインドセット

電話会議のシミュレーション

では、相手に流されずにこちらのペースで会議を進めるためのマインドセットについて、詳しく解説しましょう。

先ほども書いた通り、相手に流されないためには、まず情報収集をしっかり行うことが前提となります。その上で、どんなマインドセットで会議の準備をすればいいのでしょうか。

finger pointingをしないと決める

これは、私が外資系企業に勤務していたとき、優秀な管理職が必ず心掛けていたことです。何か問題があったとき、決して「犯人探し( finger pointing )」はしないようにしましょう。

もちろん事実は確認するのですが、犯人を特定するようなことは決して言わないのです。英語では犯人を指さすニュアンスから、finger pointingと言います。

finger pointingはせず、あくまで中立的に問題を解決することにフォーカスしましょう。孔子のいう次の言葉に近いイメージです。

Hate the sin but love the sinner.

罪を憎んで、人を憎まず。

win win winになる共通目標を設定する

先ほどの苦情の例であれば、苦情を解決し、お客さまに満足してもらえれば、今後も商品を購入してもらえるかもしれません。これがあなたの会社にとっての win ですね。また、取引継続すれば生産工場側にとってもうれしいことです(工場側の win)。また、クレーム担当者の所属部署も、顧客サービスのスキルが向上するとすれば、気持ちよく参加できるでしょう(担当部署の win)。

このように、どの参加者にとってもメリットがあるようなゴールを、会議の目標として設定しましょう。

社内で情報共有と事前演習をする

事前に、社内での情報共有と参加予定者での予行演習をしておきましょう。

「予行演習ってそこまでやるの?」と思った方、よく考えて見てください。演劇でも、ミュージカルでも、リハーサルなしで本番に望むことがあるでしょうか?当然、綿密なリハーサルを重ね、その結果が本番に現れているはずです。電話会議でもきちんと予行演習をやりましょう。

もちろん、ずっとやり続ける必要はないかもしれませんが、軌道に乗るまでの間だけでも実行すれば、圧倒的に会議を自分側のペースに持ってこられます。

私自身も駆け出しの通訳のころ、「ひとり電話会議」をよくやったものです。会議の資料を入手したら、カフェなどでひとりで実践していました。次のような感じです。

Now everyone is on the call so let’s get started.

皆さんそろっているので、会議を始めましょう。

First let me confirm today’s materials.

まず、今日の資料を確認しましょう。

They were already sent via e-mail yesterday except for the ones which were sent to you by the US side at the last minute.

資料は、すでに昨日Eメールで送信されています。最後にアメリカ側から送られたものは除きます。

Anyone missing any of them?

資料が足りない方はいませんか?

If not, I would like to go over today’s agenda.

いなければ今日の議題の検討を始めたいと思います。

ざっとこんな感じです。Anyone missing any of them? は口語的な表現。正しくは Is anyone missing any of them? となります。

この「ひとり電話会議」を繰り返すうちに、必ず想定通り、円滑に会議が進むようになりました。

自分の発言を遮られたら?

会議は協力して進めよう

自分の発言が遮られると、会議を進めにくくなりますね。しかし、遮られるのには何かしら理由があるものです。それを考えてみましょう。

英語の発言に間が多い

まず考えられるのは、あなたの英語には間が多いのかもしれません。自分の意見をすらすらと言えてないのであれば、あらかじめ思考をまとめておいたり、それを述べるために必要な英語のフレーズを練習したりしておきましょう

そのためにも、先ほど書いた「ひとり電話会議」を行いシミュレーションすることはとても有効です。

自分の発言が相手の期待と異なる

相手があなたの発言を遮りたくなるのは、その人の想定とあなたの発言との間に食い違いがあるときがほとんどでしょう。

こういう事態を防ぐためにも、先に書いたように事前に情報収集すること、会議の流れをシミュレーションすることが大切です。そうすることで相手の立場や要望を事前に想定できるので、遮られることは少なくなります。

言いたいことは要約して伝える

日本人がやりがちなのは、要点をうまくまとめられず、だらだらと話してしまうことです。この場合、相手にはあなたの言いたいことがうまく伝わってない可能性があります。

必ず頭の中で「要は( in a nut shell )」と言って、結論、理由、例、再び結論という順で話せば、それだけでも遮られる可能性は小さくなります

ちなみに、in a nut shell というのは、「ナッツの殻のように小さいところにも入れられるぐらいに要約する」というニュアンスです。

遮られたとき使える英語フレーズ

これまで見てきたように、遮られないための準備法はいろいろあります。しかし、それでも実際に遮られてしまった場合は、次のような表現を使って自分の意思をはっきりと伝えましょう。

I am sorry but I am not finished yet.

ごめんなさい。まだ発言は終わってないのです。

この表現だけで十分ですが、もし自分の発言が不明瞭だったために、相手が遮ったのだと思った場合は、その旨を伝えてもいいと思います。

I may not have been too clear so may I clarify?

あまりクリアに伝えられなかったので、明確にしていいですか?

この場合、せっかくもう一度発言権を戻してもらったのですから、しっかりと「結論、理由、例再び結論」の順を守って明確に意見を言いましょう。

「ダメです」と失礼でなく伝えるには?

電話会議で意見を伝える

ビジネスの場では「それはダメです」とはっきり伝えなければならないときもありますね。その場合は、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。

まず、「ダメです」と伝えるときに鬼の首を取ったような、大げさなニュアンスを出すことは絶対に避けましょう

「ダメとは言いたくないけれど、やっぱりダメなんです。でも、ちゃんと理由は説明しますからね」という気持ちで、相手の存在そのものを否定しないように配慮することで、失礼だと思われる確率は格段に下がります。

「怖い」「悲しい」などの本能的な感情は、大脳辺縁系という古い脳で生まれるもの。口先だけでは通じませんので、真心を込めて対応することが大切です。

こちらが顧客(クライアント)だとしても、まずは、「あなたの言っていることは分かる」と、コミュニケーションが成立していることを最初に明確に伝えましょう。そうすることで、相手の混乱を防ぐことができます。その上で、ダメな理由を明確に伝えることです。

日本の場合は「お客さまは神様です」という言葉があるくらいで、クライアントがダメと言えば受け入れられるようなところがありますが、海外ではクライアントの立場がそこまで強い訳ではありません

どんな状況でも、しっかり理由を説明するという意識でいるほうが物事がスムーズに進みます。理由が分かれば、あなたの発言には根拠があり合理性があると感じますから、相手が失礼だと思うことはほぼなくなるでしょう。

例えば相手が提示した納期を変更してもらいたい場合、次のような言い方になります。例文を見て、ポイントを押さえてください。

I really see your point. But, unfortunately that's not acceptable.
Because our Japanese client will be starting its service on the date
you suggested as your new delivery date, but they need two business
days to test your patch beforehand.

おっしゃるポイントは本当に理解できるのですが、残念ながら受け入れられません。 弊社の日本の顧客は、サービスの開始を御社の変更後の納期と同日に予定しています。 しかし顧客側は、納品されたパッチのテストを事前に行うために、2営業日必要なのです。

明確な理由を伝えれば、相手に納得してもらえる可能性も高まります。

まとめ

英語での電話会議は準備が解説

対面の会議でも、発言を遮られた場合に切り返したり、相手の言うことに反論したりするのはなかなか難しいものです。電話会議の場合は、相手の表情や発言の間合いが分かりにくいのでなおさらです。

しかし、事前の準備をしっかり行い、適切なマインドセットを持てば、会議を円滑に効果的に進めるこができるのです。ぜひ、実践してみてください。

小熊弥生

文:小熊弥生 https://ameblo.jp/interpreteryayo/
(株)ブリッジインターナショナル 代表。TOEIC280点から、独自の勉強法で半年後にTOEIC805点を取得。短大卒業から3年半で通訳者デビュー。現在は自身の経験をベースにした英語学習サービスを展開。1人1人の目的に合った効果的な学習プログラム作りを指南し、のべ600人以上の英語力アップに貢献している。