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料理研究家が作った英語メソッドって?行正り香さんインタビュー

行正り香さん

NHKワールドの英語で和食を紹介する番組「Dining with the Chef」に出演し、料理研究家としてだけでなく英語のスペシャリストとしても大活躍の行正り香さんに、英語習得のコツについて伺いました。

「カラオケEnglish」とは?

ーー早速ですが、行正さん自身の経験を元に作られた英語教材「カラオケEnglish」は、2017年に日本 e-Learning Awards アクティブ・ラーニング特別部門賞受賞していますね。一言でいうと、どのような教材なのでしょうか?

カラオケEnglishは、幼児から大人まで対象の、カラフルなキャラクター達と共に、声に出して英文法を学ぶ、セルフラーニング教材です。

karaokeenglish.com

“英文法の例文を声に出す練習” をくり返すことで、発音と文法を体で覚えて、「聞く力・話す力」を中心にコミュニケーションする力を身に付けていくことができます。

もともとは英語が苦手。自己流で7、8カ月で頭打ちになった

ーーでは、行正さんが開発されたという「カラオケメソッド」についてお伺いします。私も「カラオケEnglish」を少し使ってみたのですが、すごく面白いですね。開発された背景からお伺いできればと思います。

私には娘が2人いて、自分の子どもに英語を教えたいと思って中学校の教科書を取り寄せたことがあるんです。

そこで気がついたんですが、今のほとんどの英語教育メソッドは、Can-doシラバスにのっとっています。

たとえば初対面の会話だったり、夏休みの話だったり、いろいろなシチュエーションを想定して進めるんです。つまり、「決まり文句」をどんどん覚えていきましょう、という仕組みです。でも、この方法だと絶対に英語の伸びが頭打ちするんです。

――どういった面で頭打ちになるんですか?

決まり文句しか覚えていないから応用が効かないんです。What’ up? と聞かれたらI’m fine. と答える。Is there any problem? と聞かれたらNo, there isn’t. とか There are many problems.とか、オウム返しのような返答しかできません。

本当に言語が使えるということは、文を組み立てられるということなのですが、そのレベルに至らないのです。

シチュエーション英語をいくら勉強しても、そのルールの説明は断片的なもので、体系的なものではないのです。それはすごく時間の無駄だと感じました。

文法が嫌いになる理由

ーー「文法」にこだわったのはどうしてでしょうか。

今の教育や学校のシステムは、どちらかというと「楽しく英語を学んで、色々なシチュエーションで使う英語をフレーズごと覚えましょう」という方針で、それは時間がかかってしまうのです。

皆さん、私も含めて文法が大嫌いという人が多いですが、なぜ嫌いになったか、その理由が自分で教材を作ってみたことがきっかけで分かりました。要は、文法は1回説明されて、その後、練習させてもらえるチャンスがないわけです。

ーーなるほど、説明を受けて実際に使ってみるという機会が足りないのですね。

まるで、プールの周りの所で「平泳ぎはこうやってやります。はい、じゃあ次はクロールの泳ぎ方ね。」と言った風に、説明だけ聞いて実際に泳ぐことはしないみたいなやり方なのです。

それに気づいたとき、子どものつまずきの理由がわかりました。I am、He isとそれぞれ教えるだけでなく、「Iのときはこう使う、Heのときはこう使う」とまとめてあげないと、子どもはやはり混乱するのですね。それを何度も何度もくり返して学べるような仕組みを作ったわけです。

娘たちのために作った英語教材

ーーお嬢様たちに英語を教えたくて、試行錯誤されていたそうですね。

子どもが小学4年生のときにどうしても英文法を勉強してほしくて、ありとあらゆる教材を与えたのですが「つまらない」と言って、娘たちはやめてしまいました。

中学1~3年生の教科書を見て、色々なスキットの中で何が一番教えなければいけないポイントなのかということが私自身、分からなかったのです。それならきちんと楽しくわかるものを作らないと、学ぶチャンスを失ってしまうと感じました。

それで、たまたまキャラクターや絵をパソコンで貼り付けて、I am ならI am だけ、He is ならHe isだけ、They’reならThey’reだけ、といったパターンを学ばせることができる方法をやらせてみたのです。これは私がアメリカのESLで学んだ方法ですが、これなら娘も「楽しい」と言いました。

今の留学は高すぎる!

ーーお嬢様たちも留学に行かせようとは思いませんでしたか?

私が留学に行ったときは学費が70万程度だったのですが、今は留学の費用も高いですから、気軽に留学ができる時代ではありません。

例えばUCバークレーに留学しようと思ったら最低でも年間、学費が600万、生活費が200万で合計800万、行き帰り費用やお小遣い、車代など必要なものも含めたら1年で1千万かかります。昔の10倍になっているのですね。

だったら私がこの数年間かけて教えようと思いました。文法は真面目に学ぶとしても2年あればベースができますので、その2、3年間分のものを作ろうと決めました。

ーーどのようにして作ったのでしょうか?

最初は私が友達と一緒にエクセルで例文を全部作りました。自分だけの力ではなく、言語学を学んだ人と、英語の先生の2人にお願いをして、複数のメンバーで例文を作っていきました。作った例文を子どもたちに読ませて、かつ文法の説明をほんの少しだけ入れました。文法の説明をたくさんしても、嫌になってしまうからです。

そういうわけで、結局、中1~3に準拠している3年分を作りました。その後、今度は近所の小さい子どもたちにも英語をやりたいと言われたので、小学生用も作りました。

親が教えるときのアプローチ方法は?

ーー自力で教えるのではなく、英語の先生を探そうと思わなかったのでしょうか。

先生を探して週に1回英語学校に通わせるというのも経験しましたね。塾にも通わせました。でも、プリントをもらってこなすだけでは全然上手になりません。声に出せないですね。だったら、声に出すような仕組みを作ればいいんだ!と思いました。

だから、うちでは子どもたちは英語で声を出す練習をしないと、ご飯が食べられないルールを作っています。それをやったらご飯を食べていいよ、というスパルタ式です。自分の中で「2年間で英文法をマスターさせる」と決めていました。

英語学習は目標を持ち、習慣化すること

行正り香さん

ーーどうして「2年間で英文法をマスターさせる」と期間を決めたのでしょうか。

まず、目標を持たず、だらだらやってしまうと英語は身に付きません。

実は、中1から中2でほぼ、英語の基礎を学び終えてしまうのです。中3は関係代名詞や現在完了が出てくるくらいです。後は決まり文句を学ぶだけです。そういう意味で、2年間集中してやればできるはずだと考えました。

次に、入門編を作った理由は、中学校の1学期に英文法につまずく人が多いからです。なぜかというとこの時期はアルファベットからbe動詞・一般動詞までがすごく駆け足で進んでしまうので、コロコロ変わる動詞を使いこなすレベルまでいかないからです。たたみかけるように上塗りで化粧をしてしまいます。

落ちこぼれる人は、だいたい中1で落ちこぼれると思って間違いないです。私も自分の子どもを見ていて、絶対に落ちこぼれると思いました。なぜならば他の教科も落ちこぼれたから。そこで英語だけは、私が自分の力で教えようと思いました。

カラオケEnglishは幼児からシニアまで使える!

ーーカラオケEnglishはお嬢様たちのために作ったというだけあって、子どもが学ぶのに適しているのかなと思いますが、他にも「こういう人に向いているのではないかな」というものはありますか?

実は、幼児から小学生までの「ジュニア入門コース」や中学生から大人までの「基本文法コース」など、年齢別にコースを紹介しています。

うちの母もやっていますが、70歳のおばさま方も滑舌が良くなるからといって、たくさんやっておられる方がいらっしゃいます。一人暮らしになって滑舌が悪くなってしまうと、しゃべるときに声が出なくなるので、そのトレーニングにもなるのです。

英語を書いて覚えると勉強した気分になってしまう

ーーカラオケEnglishで英語を学ぶことにより、他にどのような効果がみられるのでしょうか。

例えば、中学文法さえできれば、8割方英語は話せます。例えば、海外ドラマ「ダウントン・アビー」や「グレイズ・アナトミー」も、中学文法と単語力さえあれば理解できます。

単語力は医療ドラマだったら医療、法律ドラマだったら法律に関するものを押さえていればいいだけで、言葉のベースに関してはほとんどが中学レベルです。TOEICにしろTOEFLにしろ、中学文法のベースがなければ絶対に点数は取れません。

ーー文法を声に出して学ぶことは、日本ではちょっとめずらしいですよね。

勉強法として、「自分の声を出して録音して、中学文法を使いこなす」という目的でやっていけば、耳も良くなるし口の周りの筋肉も発達します。読んだり書いたりではダメです。

聞いて、声に出すこと。私は自分の子どもが鉛筆を持ったら「鉛筆持つな!」と怒っていました。鉛筆を持ってノートに書いたら勉強したような気持ちになるからダメ。

中3ぐらいになったら関係代名詞などはわかりにくいから、WhichとかThatの使い方は書いてもいいけれど、それまではひたすら「唱えるように声に出してちょうだい」、と言っていました。声に出して英文法を学ぶ教材は、なかなかないのではないでしょうか。大人の人にこそおすすめします。

声に出すことで出る成果とは?

ーーカラオケEnglishは声に出して、自分の声を録音し、正しい発音で話せているか確認できる機能も付いていますが、文法の教材なのに、ここまで発音にこだわる理由は何でしょうか?

発音にこだわるのは、発音できないと相手は絶対にわかってくれないからです。これは日本でもそうですが、例えば方言がわからないとか、ファミリーレストランなどで働いている中国の人の話す日本語がわからないということがありますよね。

何の得もない相手の話を「Excuse me?」と聞いてあげることはまずしないわけです。私は発音がダメだったとき、バカにされて、誰にも話を聞いてもらえませんでした。

発音はコツさえわかればできるのです。例えばOをアと読む。オニオンでなくてアニアン、オン・ザ・テーブルでなくアン・ザ・テーブルと発音するだけで全然変わります。

子どもに英語を身に付けさせたいなら親がやらせるのが唯一の方法

行正り香さん
ーーとは言っても、子どもは集中力もないし、続けさせるのは大変ですよね。

子どもに英語を勉強させたいと思うなら、親がやらせるのが唯一の方法です。ピアノやスポーツと同じで、その子が自力でやりたいと思うようになるまでの土台作りは親が伴走しないと絶対に無理です。

自分の過去の経験から、親が一緒にドリルをして、丸をつけるといったことが嫌だなと感じていたので、「携帯を渡すだけで、ボタンを押せば勝手に学べる」という仕組みを作ったのです。どんな子でも、とにかく携帯のボタンを押させて、「これをやらないとご飯が食べられないよ」と言ったら、たいがいの子どもは声を出しますよ。

ーー子どもに英語を学ばせたいという方にメッセージをいただけますか?

英語とITリテラシーに長けた子どもに育ててあげないと本当に損をします。これからの世界はできる人とできない人の差が開いて、もっと損をするようになります。英語とITリテラシーは、貨幣と同じだけの価値があると思った方がいいですよ。

ーーありがとうございました。

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karaokeenglish.com

10月からは英語とパーティをテーマにした、行正り香さんの連載も始まります。お楽しみに!

 

行正り香さんプロフィール
高校3年生の時にアメリカに留学、カリフォルニア大学バークレーを卒業。広告代理店勤務を経て料理研究家に。著書に「だれか来る日のメニュー」など50冊。英語の基礎学習アプリ「カラオケEnglish」をローンチ。インスタグラム: rikayukimasa

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取材・文・構成:伊藤忍(GOTCHA!編集部)
写真:山本高裕(GOTCHA!編集部)