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テレワークのメリットとは?企業と社員、それぞれの課題と対処法

テレワークのメリット

今、注目の「働き方改革」。残業が無くなる、雇用形態による格差が無くなるなど、いいことがたくさんありそうですが、急激な変化に戸惑っている人も多いのでは?異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに、よくある悩みを相談してみました。

テレワークで本当に業績アップできる?

ビジネスパーソン40代、管理職です。

会社がテレワークを導入しようとしています。柔軟な働き方ができるとのことですが、サボる人も出てくるのではないでしょうか。また、なかなか連絡が付かなかったり、コミュニケーションも取りにくいのではと思います。それでも導入したほうがいいのでしょうか。

カップさんからの回答

テレワーク

働き方改革の影響により、最近やっと日本の企業がテレワークについて本格的に考えるようになってきました。 複数の調査で、テレワークをしている従業員の生産性はオフィスで働いている人より高いという結果が出ており、生産性の向上が最優先課題である今の日本では、まさに注目されるべき仕事方法だと思います。

テレワークは従業員にも会社にもよい効果をもたらす

なぜテレワークは生産性向上につながるのか?それには複数の理由が存在します。

①通勤しなくていい

1つ目は単純に、通勤しなくてもいいからです。通勤は時間がかかるものですし、通勤のために満員電車に乗ったり交通渋滞の中で運転したりするとなると、仕事を始める前に疲れてしまいます。日本ではこの問題が特に大きいです。

一方、テレワークであれば、その無駄な時間と余計な疲れを省けるため、もっと生産性の高い働き方ができます。また、従来なら通勤に使っていた時間を仕事に回すことができるので、時間を効率的に使うことにもつながります。 

②仕事に集中できる

テレワークによる高い生産性を実現させるもう1つの重要な要素は、周囲の環境です。というのは、テレワークのように家で働くとなると、オフィスにいるときに気が散る原因となっていたものから逃れることができるからです

不意に質問してくる上司や同僚がいない。コーヒーマシンのそばでおしゃべりする人がいない。会議や打ち合わせもない。こういった、集中力を途切れさせる原因になるものがないため、より仕事に集中できます。

頭をよく使う仕事なら、集中できる時間はとても重要なものです。学者によると一旦気が散ってしまうと、その後、元の集中した状態に戻るまで23分以上もかかってしまうそうなので、家という静かな環境はとても貴重だとも言えます。

③従業員の満足度も高い

生産性が高いだけではなく、テレワークをしている従業員は仕事満足度も高いという調査結果も出ています。モチベーションが重要である知的労働の場合、これもテレワークを推進するためのよい理由だと言えるでしょう。

④ワークライフバランスを実現できる

テレワークではフレキシブルに働けるので、子どもを育てたり高齢の親のケアをしたりしている従業員にとっては、ワークライフバランスを促進してくれるとても便利な就業形態とも言えます。そのため、特にライフイベントによって離職しやすい女性社員を、会社に定着させるための有効な手段にもなります。

⑤テレワークをする従業員は離職率が低い

会社にとってはさらに大きなメリットがあります。テレワークをする従業員はオフィスで働く従業員と比べて、欠勤が少なく、離職率も低いのです。テレワークをしている従業員は基本的に住む場所を限定されないため、大都会以外の場所に住む人でも採用対象になるので、採用も一段と行いやすくなります。

オフィスはもういらない?全員テレワークの企業

これまで述べてきたように、テレワークには多くの利点があります。そのため、そもそもオフィスをなくしてしまって全員をテレワークにすべきだという考えが生じても不思議ではありません。実際に、それを実践した企業も存在します。

例えば、人気のブログソフト「WordPress」を開発したオートマティック社には本社がなく、500人以上の社員全員が在宅勤務です。さらに、コワーキングスペース(co-working space)を使いたいという従業員には、その費用をカバーするために毎月250ドルが支払われます。

また、オフィスがあっても社員数より机の数が少ない会社もあります。社員は基本的にテレワークで、オフィスに出勤する日はどこに座るかを割り当てられます。このアプローチは不動産コストを大幅に節減できます。

テレワークにもさまざまな形態がある

そうはいっても、全ての仕事がテレワークにふさわしいわけではありません。在宅勤務に最もふさわしい仕事は、ライター、経理、コンサルタント、グラフィックデザイナー、コールセンター、ヘルプデスク、コンピュータープログラマー、セールスなど、主に従業員が1人でこなす職種です。

また、テレワークの形態にはさまざまなタイプがあります。毎日、自宅で働くケースもあれば、週に2、3回は自宅で働き、他の日はオフィスに出勤するというケースもあります。あるいは、在宅勤務と出張や顧客訪問を混合するやり方もあります。

さらには月曜日から木曜日までオフィスで働き、金曜日に在宅勤務をするという会社もあります。統計を見てみると、アメリカでは完全なテレワークより、テレワークとオフィス勤務の混合タイプの方がはるかに人気が高いのです。

なぜかというと、多くの職種には1人で集中して仕事を行う部分と、ほかの人とのグループワークをする部分の両方が存在するからです。さらに、ときどき職場に来ることによって同僚との人間関係を深めることができるため、疎外感を持つことを予防できます。

一方で、スカイプなどのオンライン・ミーティングの技術が発達してきたので、以前はフェイス・トゥ・フェイスでしなければならなかった打ち合わせなどでも、現在はお互いが別々の場所にいながらできるため、同じところにいる必要のある活動が少なくなってきていることも事実です。

対策を講じれば、問題の発生は防げる

質問者の方が心配されている問題、要するに「テレワークをしている人がサボったり連絡できなかったりするのではないか」ということについてですが、会社側が対策を講じればそのような問題は頻繁に起こらないはずです。

実際、テレワークをしている従業員がサボっていないかをチェックするための方法は、複数存在します。例えば、コンピューターを使っている従業員が仕事をしているかどうかチェックするソフトウェアがあります。

定期的に画面に映っているものを撮影したり、キーストロークをログしたり、どんなサイトを見たかを記録したり、あるいはVPNログを見てどのくらい長く会社のサーバーにつながっていたかをチェックする等の機能を持つものです。

そういったものを導入している日本企業もありますが、正直に言うと私はそのような方法は好みません。性悪説に基づいている行動で、パノプティコン(全展望監視システム)のような感じに思えるからです。

それほど従業員を信頼していないのであれば、「なぜその人を雇ったのか?なぜテレワークを許しているのか?」と思わず聞きたくなります。テレワークを成功させるには、まず信頼関係が構築できていることが前提条件です。そのため、テレワークをしている従業員にスパイするようなことはとてもおかしいと思います。

従業員への期待を明確にする

日本企業の多くが、テレワークを開始すると勤怠管理に重点を置く傾向にあります。もちろん法律に従うために、従業員が働きすぎていないことをチェックする必要がありますが、その代わりに、以下のようなやり方をここでは推薦します。

①期待していることを具体的に示す

従業員に対して、どんな仕事のアウトプットを期待しているのかを明確にすることです。そうすれば、従業員が期待されている仕事をしているかどうか判断できます。

職務の内容が曖昧であれば、仕事をこなしたかどうか判断しにくいです。明確なゴールを示して、何をしてほしいかを明確に伝えましょう。

② 進捗状況を可視化するソフトを使う

職務を定義することの延長線上には、具体的なタスクをアサインする(割り当てる)ことがあります。誰にどんなタスクがアサインされているか、そしてそれが完了されているか、あるいはまだ進行中なのかを示すソフトがあります。

シリコンバレーで人気がある Asana や Idonethis がその例です。こういったツールを使えば、仕事一つひとつの進捗状況を簡単に把握することができます。

③頻繁なワンオンワンを行う

ワンオンワン( one on one)は、上司と部下の一対一の対話のこと。それを頻繁に行うことで、従業員は何をしているか、どんな障壁に直面しているのかなどを把握できます。ここではスカイプなどのテレビ会議ソフトを使うことをおすすめします。

必要なルールを設定して、テレワークの効果を引き出そう

職場のコミュニケーション

テレワークをしている社員と、必要なときにすぐに連絡が取れるようにしたいのであれば、それを促すようなルールをあらかじめ設定してみてはいかがでしょうか。

例えば、テレワークをしている人に、フレックスタイムで働いている人と同じような、必ず働かなければならない「コアタイム」を設定してみたり、メッセージや電話にどれほど早く返事すべきかというルールを決めたりするなど、その方法はさまざまです。

最後に、テレワークを成功させるためには、実績評価制度が必要です。テレワークをしている従業員が期待に応えているかどうかを、きちんとチェックすることは大切な仕事です。

こういった方法を使えば、テレワークの問題を最小限に抑え、そしてよい効果を最大限引き出せるはずです。

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ロッシェル・カップ

執筆:ロッシェル・カップ

ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。

異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍企業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日本語が堪能で、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)、『英語の品格』(集英社) をはじめ、著書は多数。朝日新聞等にコラムも連載している。

編集:GOTCHA!編集部