シリーズ最新作の舞台裏~英語で読む『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』記者会見

記者会見に臨むトム・クルーズさんと脚本・監督を担当したクリストファー・マッカリーさん(左)

1996年に第一作が公開された「ミッション:インポッシブル」シリーズ。20年たっていまだパワーアップし続けるこのシリーズの、第6作となる『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(原題“ Mission Impossible - Fallout”)が8月3日(金)に日本で公開されます。それに先駆け、トム・クルーズさんら出演者と監督が来日記者会見を開催。その様子をレポートします!

骨折!でも、6週間で現場復帰

全世界で累計興行収入3000億円以上という大ヒットシリーズ「ミッション:インポッシブル」の最新作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の公開に先駆け、制作チームが来日記者会見を開きました。

登壇したのは脚本・監督のクリストファー・マッカリーさん、主演のトム・クルーズさん、そして共演のサイモン・ペッグさんとヘンリー・カヴィルさん。

写真左からカヴィルさん、マッカリーさん、クルーズさん、そしてペッグさん。

会見が始まって最初にクルーズさんが披露したのは、昨年の夏にニュースになった撮影中に足首を骨折した話でした。

Tom Cruise (TC): So you want to hear about my broken ankle? Is that what you want to hear? My broken ankle. It really hurt. I knew it was broken the moment I hit the wall. And I knew that’s why I had to get past the camera. I picked myself up and ran past camera. It’s in the movie. All the shots are in the film as you saw. Then , I kind of went back quickly to my little tent. I have a little tent that I train in, in the mornings at that location . I usually get there. It takes a couple of hours for me to warm up. I said, “Q, I need to talk to you, I need to talk to you. I’m sorry, but my ankle’s broken.”
トム・クルーズ(TC):それで、僕が足首を骨折した話を聞きたいんだって?本当に聞きたいのかい?足首を骨折した話さ。本当に痛かったよ。(撮影で)壁に当たった瞬間に折れたって分かった。だから、カメラの前を通り過ぎなければいけないと思ったんだ。で、なんとか持ちこたえてカメラの前を通り過ぎたよ。映画に映っている。すべての場面は皆さん(会見場の記者たち)が映画で見たとおりさ。その後、急いで小さなテントに戻った。現場で朝に数時間のトレーニングをする小さなテントがあるんだ。いつもそこに行って、数時間ウォームアップをするんだ。で、言ったんだ。「キュー(監督のニックネーム)、話がある。話があるんだ。ごめん、足首を骨折した」って。

主演俳優の足首の骨折は、撮影スケジュールに大きな 影響 を与えたはず。診察をした医師も動揺を隠せなかったようです。

TC: He said, “ Well you’re not going to be shooting for a very long time. I don’t know if you’ll be able to sprint ever again. But at least not, for six to nine months.” I said, “ Well , OK, I’m going to be back at work in six weeks.” He looked at me, and I said, “I’m going to be back at work in six weeks.” And, I was back at work in six weeks. I was sprinting in eleven weeks. But, I was climbing the mountain in nine weeks in Norway. ... The ankle was still broken, but we just shot. When I’m sprinting in the movie, the ankle is still broken, it’s still healing.
TC:彼(クルーズさんを診察した医師)はこう言ったよ。「撮影ができるようになるまでかなり長い時間がかかります。ひょっとしたらもう全力疾走することはできないかもしれません。少なくとも6~9カ月は無理でしょう」。僕は「そうですか。わかりました。それなら6週間で仕事に戻ろうと思います」って答えた。彼が僕を見たから、同じことを繰り返した。そして、(本当に)6週間で撮影に戻って、11週目には全力疾走していた。でも、9週目にはノルウェーで山に登っていたっけ。…足首はまだ折れたままだったけど、とにかく撮った。映画の中で全力疾走しているけれど、まだ、足首は折れたままで、まだ治りかけなんだ。

昨年、この骨折がニュースになったときは、映画の公開時期を夏から冬にずらすのが妥当という論調でした。クルーズさんのこの超人的な働きの甲斐あったからこそ、映画は予定通りに公開されるんですね。

クルーズさんの驚嘆すべき俳優根性に拍手。

役柄同様、ひょうきんなサイモン・ペッグ

テクニカル・エージェントのベンジー役で出演しているサイモン・ペッグさんも、撮影中にけがをした秘話を明かしました。

Simon Pegg (SP): It’s important to remember though , Tom’s injury obviously got a lot of attention . But, it wasn’t the only injury on the set . I myself on day 28 got a very nasty paper cut.

Christopher McQuarrie (CM): We had to shut down for three weeks.

TC: But he’s recovered.

SP: I’m better now.

サイモン・ペッグ:それ(クルーズさんの骨折事故)のことは覚えておかないといけない。トムのけがは世間からかなり注目されたしね。でも、撮影中のけがはそれだけじゃなかったんだ。僕自身、28日目のことだったけど、紙でひどい切り傷を負ったんだ。クリストファー・マッカリー(CM):撮影を3週間中断しなくちゃならなかった。TC:でも治った。SP:今は良くなったよ。

息の合った3人の掛け合いで、会場は大爆笑。記者会見ではなくてコメディーを見ているようでした。

映画の役そのままにひょうきんなサイモン・ペッグさん。

スーパーマンよりスーパーな撮影現場

2013年公開の『マン・オブ・スティール』以降、スーパーマン役を演じてきているヘンリー・カヴィルさんは、「ミッション:インポッシブル」シリーズに初登場。映画ではCIAの暗殺者役を演じました。彼はスーパーマン役を演じたことと、本作品に出演したことを比較して語りました。

Henry Cavil (HC): As far as there was a moment in this show that was harder than playing Superman, the interesting thing about this character is that he’s so extraordinarily different , and when it came to the stunts they were all practical . So naturally, when I was performing these extraordinary feats alongside Tom, there was no CGI. It’s all real. We were all actually there. So , the stresses on the body are that much more extreme. Whereas when playing Superman, a lot of it is CGI. So , aside from costume, all of it was hard.
ヘンリー・カヴィル(HC):この作品で、スーパーマンを演じることよりも大変だったことといえば、僕が演じた役が(それとは)全く異なるものだったということ。スタント に関して は、全部実際に演じているんだ。当然、僕がトムと一緒にありえない芸当を演じているとき、コンピューターグラフィクス(CGI:Computer Generated Imagery)は一切ない。全部本物さ。僕たちは実際そこにいたから、体にかかる負担は比較にならないくらい強烈だった。スーパーマンを演じていたときは、多くの場面がCGIだったからね。(スーパーマンの)衣装を別にすれば、すべてが大変だったよ。
HC: Thankfully , Tom took all the hard injuries of the movie. So thank you , Tom.TC: My pleasure Henry. I’m here to serve you.HC: I’ll break my ankle in the next one.TC: Don’t! Please.
HC: 感謝 しなければいけないのは、映画での大きなけがをすべてトムが負ってくれたことさ。ありがとう、トム。TC:どういたしまして、ヘンリー。君のためにできることなら何でもする。HC:次の作品では僕が足首を骨折するよ。TC:だめだ、それは!

映画を通して深まった、出演者たちのきずなを感じるやり取りに温かさを感じます。

記者会見中、もっとも紳士に見えたヘンリー・カヴィルさん。

CGなし!こだわり抜いた迫真のアクションシーン

カヴィルさんも語っていましたが、今作の特徴は出演者たちがすべてをリアルに演じていること。山岳地帯でのヘリコプター・アクションも、出演者たちが実際にヘリを操縦したそうです。

そしてC-17という輸送機からのスカイダイビングも、今作品を印象づけるアクションシーンの一つです。夕暮れの時間帯に上空2万5千フィート(約7600メートル)からジャンプを決めるシーンでは、撮影可能な時間が数分しかないため、何度も、何日も撮り直しの日々を送ったそうです。その数なんと100回以上。

その大変さを詳細に紹介してくれたマッカリー監督ですが、自分の監督としての仕事をネタにしてしまうところに、彼の面白さを感じます。

CM: My job in the sequence , is I would stand in the C-17 with the camera crew, there would be the camera operator, and there would be Tom, and everybody who’s going out of the plane, including the safety doctors, and I would call action , and watch my entire crew jump off the end of the airplane and disappear. And then I would turn to the crew on the plane and say, “Alright, let’s fly back and see who made it.”
CM:そのシークエンスでの僕の仕事はというとね、撮影クルーと一緒にC-17の機内に立っていることなんだ。カメラ・オペレーターもいた。トムもいた。セイフティー・ドクターも含めて、飛行機からダイブする全員がいた。で、僕が「アクション!」と言うと、クルー全員が飛行機の端からジャンプして(監督の僕だけ残して)誰もいなくなるんだ。その後、乗組員のところに戻って言うんだよ。「よし、帰還して誰が生き残ったか確認しよう」。

登壇中は終始真面目な顔だったマッカリー監督ですが、言うことは常にこんな調子です。クルーズさんとカヴィルさんが取っ組み合いの戦いをする場面の話題では、「『アクション!」と言ったら、僕はすることがなくてのんびり昼食を取るんだ」と言ってみたり。

中はきっとシリアスだったと思いますが、公開を待つだけの今は、気持ちに少しゆとりがあるのかもしれません。

ステージに登場してすぐ、スマホで会場内を撮影し始めたマッカリー監督。

役者のすべてを投入した最新作

最後に、映画、そして自身の俳優人生への思いを語る、クルーズさんの言葉をお届けします。

TC: We don’t want you to just watch the movie, we want you to experience the movie. And we’re using every bit of our skills and the talents of these brilliant actors, to try to bring to you that kind of entertainment. So I will always, for the rest of my life, give everything that I have. Because, that’s who I am. I don’t know how to do it any other way.
TC:この映画は単に見るのではなく、体験してほしいと思っているんだ。そんな体験をみなさんに届けるために、僕たちは僕たちの持つ技術と、出演者たちの才能すべてを使い切っている。残りの人生でも、僕はすべてを出し切ると思う。なぜなら、それが僕という人間で、そうではない生き方を知らないんだ。

ほかにも心に残る言葉、面白いエピソード満載の記者会見で、聞けば聞くほど映画を見たくなってきます。でも、文字数も多くなってきたので、今回はこのあたりで打ち止めにします。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は2018年8月3日(金)、全一斉公開です!

▼ 英語版予告編 ▼

▼ 日本公開版予告編 ▼
▼ 日本公開版公式ウェブサイト ▼ missionimpossible.jp

c 2018 Paramount Pictures. All rights reserved .

取材・文・撮影:山本高裕(GOTCHA! 編集部)

高校の英語教師を経て、今は編集者として、ときに写真家として活動中。50を超えても色気満点のトム・クルーズを見た後に、自分の姿を鏡で見て呆然としたことはここだけの話。

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