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私はこれで英語がうまくなった!英語朗読で大切な3つのキーワード

私はこれで英語がうまくなった!英語朗読で大切な3つのキーワード

本当に英語を上達させたいなら、これからは「朗読」。バイリンガルアナウンサーで英語朗読家の青谷優子さんに、今回は英語朗読で大切な3つのキーワードについてお話しいただきます。

作品を理解し、共感する(Comprehension

英語朗読で大切なのは、Comprehension、Imagination、Visualization の3つです。

まず、Comprehension (理解)から説明しましょう。理解とは「単語の意味」を把握することだけではありません。作品全体を大きくとらえたり、作者のメッセージをくみ取ったりすることも意味します。

理解を深めるためには作品の背景(書かれた時代、舞台、作品誕生のきっかけ、作品が社会に与えた影響など)、作者の背景(生い立ち、影響を受けた作家、主な代表作や作風、文体)などを知ることが必要です。作者や作品の詳細を調べると、作品理解がぐっと深まることが多いのです。

たとえば、教科書などでおなじみの『手袋を買いに』(リンク先の「青空文庫」で本文が読めます)の作者、新美南吉*1について少し調べてみると、南吉は幼いころに母を亡くしたため、甘えた経験がなく、母親という存在への憧れが強かったということがわかります。

その事実を知るだけでも、このストーリーに込められた南吉の「母親」への思いに胸を打たれ、南吉へのシンパシーが生まれてきます。その共感は朗読の際に、声の「音色」に表現され、説得力を生みます。

「文章の理解=comprehension」は、物語だけでなくスピーチやニュースを読む際にも必要なスキルです。なんとなくわかったつもりで読んでも、多くの場合、「この人、内容を理解してないな!」とばれてしまいます。

スピーチのどの単語がキーワードなのか、何がニュースのポイントなのかを読み手がきちんと理解していない限り、正確な情報は聞き手には伝わりません。英語をすらすらと読めるようになるとそれだけで安心してしまいがちですが、本当に自分がその内容を理解しているかどうかを確認してみてください。

字面をなぞっているだけの表面的な音読ではなく、深い理解を声に乗せることを目指しましょう。

登場人物を具体的に想像する(Imagination)

作品を理解した次に行うのは、登場人物がどんな姿、性格、声なのかを、できるだけ具体的に想像することです。

先ほどの『手袋を買いに』を例にとってみましょう。子ぎつねは何歳だと思いますか?

母ぎつねとの会話での無邪気な言い回し、初めて見る雪に感動して飛び跳ねる姿、町の光を「星が落ちてきた」と勘違いする様子、「お母さんに会いたい」という箇所などから、人間でいうと5、6歳くらいかな?と想像し、私は好奇心旺盛のかわいらしい男の子の声を作りました。

一方の母ぎつねは、人間を恐れながらも子ぎつねには温かい手袋を買ってやりたいと思い悩むシーンから、「心配性だけれど子ども思いの若いお母さん」を想像して、子ぎつねに言い聞かせるときにはちょっと必死な声を出してみました。

文章から読み取った登場人物の性格を声で表現すると、自然な会話として聞き手の心にすっと届きます。声を決めたら、作品を通して同じ声が出るよう練習しましょう。

ここでは拙書『英語は朗読でうまくなる!』に掲載している、この話の英訳版を紹介します。物語の最後、きつねの親子のやり取りです。私の朗読音声もぜひお聞きください。

“You know, mother, I didn't think humans were scary at all.”

“Why?” asked Mother Fox.

Well, I made a mistake and held out my paw. But the shopkeeper didn't grab me, and he sold me these wonderful warm mittens!”

And he clapped together his paws, toasty warm in their little mittens.

“Oh, my gracious!” exclaimed Mother Fox with alarm.

“I wonder if humans really are so good. I wonder ...” she murmured.

※ 再生ボタンを押すと音声が流れます。

「可視化」で生き生きとした情景を作る(Visualization)

最後に、理解した内容、想像して固めた声を「可視化」させていきます。

見えてくるものは、絵画でもアニメでもなんでも構いません。私は映画やテレビドラマが大好きなので、作品の「実写版」を頭の中で作ります。

オープニングシーンをどうするか、どんなBGMや効果音を付けるとわかりやすくなるか、など細かいところまで考えてドラマを展開させます。

脳内のセットの中で、登場人物が走ったり声をあげたりすると、それぞれの動作にかかる時間、立っている位置などがより具体的に想像でき、距離や時間を「間」という音のない効果音を使って描くことができるようになります。

同時に、声の大きさやスピードなどもより「リアル」に表現できるようになります。

納得のいく映像が出来上がると、聞いていて飽きない、生き生きとした面白い朗読が誕生し、聞き手の頭の中にも情景が浮かんできます。

青谷優子の英語読書 Vol. 2

今回も私にとって思い出の英語本を一冊、紹介します。

The Thirteen Problems (Miss Marple) by Agatha Christie

The Thirteen Problems by Agatha Christie

もともと探偵小説、推理小説が好きだったこともあり、中学、高校時代は古本屋でクリスティーのペーパーバックを書い集めては、端から読んでいました。

クリスティー作品の良い点は「Who done it?」を知るべくどんどん読み進めることができる点です。一冊を読み終えるのが苦でないばかりか、達成感から「また読もう!」という気にさせてくれます。

一方で、推理のカギとなる単語は、話を理解するためにきちんと調べますし、種明かしの後、確認のために読み直すことも多いので理解が深まります。単語も場面として映像化されてインプットされるので、忘れにくく語彙力アップにつながります。

また、方言、階級アクセント、風俗、風習といった英国文化を学ぶのにも役立ちます。オーディオブックや映画、ドラマも多数あるので「お手本」をみつけて練習もできます。

そして一番の魅力は何といっても個性的な探偵たちです。アガサ・クリスティー作品と言えば Hercule Poirot(エルキュール・ポワロ〈名探偵ポワロ〉)ですが、私のお気に入りは、飄々(ひょうひょう)とした語りがとてもチャーミングな Miss Jane Marple(ミス・ジェーン・マープル)です 。ここで紹介している短編集『The Thirteen Problems』も、Miss Marple が登場する一冊です。

The Thirteen Problems (Miss Marple)

The Thirteen Problems (Miss Marple)

  • 著者: Agatha Christie
  • 出版社: HarperCollins Publishers Ltd
  • 発売日: 2016/12/29
  • メディア: ペーパーバック
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  • 著者: 青谷優子
  • 出版社: アルク
  • 発売日: 2017/12/25
  • メディア: 単行本

Yuko Aotani

文:青谷優子(あおたに ゆうこ)

幼少期をロンドンで過ごす。上智大学を卒業後、NHKに入局。リポーターやキャスターを担当した後、NHK国際放送局(NHKワールド)のニュース番組『NHK NEWSLINE』のメインアンカーとして活躍。並行して英語文芸の朗読番組『Listening Library』の演出・制作・出演を務め、日本文学を海外に紹介した。2015年2月に独立。朗読家、バイリンガルアナウンサー、英語コミュニケーション講師として活躍中。

写真:山本高裕

*1:にいみ なんきち。戦前の児童文学作家。代表作に『ごん狐』やここで本記事で紹介している『手袋を買いに』などがある。