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勤務先から海外留学を許可されるために必要な英語力

仕事で海外留学を許可されるために必要な英語力

文部科学省所管の国立研究開発法人に勤務し、次世代エネルギーの研究に携わる、工学博士ハズさん。イギリスの研究機関へ研究留学するまでと、留学中に実践した、「英語が完璧じゃなくても強気で行ける!プレゼンの方法」を3回にわたってご紹介いただきます。1回目は、日本の勤務先から海外留学を許可されるまでの英語学習法についてです。

皆さん、初めまして。ハズと申します。次世代エネルギーの研究に携わっており、活動の国際化に伴って不器用な自分にはさまざまな困難もありますが、やりがいのある仕事で充実した日々を送っています。

実は僕は、学生時代には試験英語のみを勉強してきた人間で、いわゆる話せる英語はサッパリでした(笑)。でも大学院を卒業し、研究者の道を歩み始めた途端にいきなり連日英語での議論にぶち込まれ、汗びっしょりになりながら現場で鍛え上げられてきました。

さまざまな分野でグローバル化が進む現代では、仕事の交渉やプレゼンで英語を使う機会も増えてきており、分野は違えども僕のような経験をしている人は多いのではないでしょうか。

そこで、この連載では少しでも楽しく語学に取り組みながら、仕事で実際に英語を使っていく体験をオモシロ情報も絡めながらレポートしてみようと思います。

日本の勤務先からイギリス留学の許可を得るまで

研究所からイギリス留学の許可を得るまで僕は2015年2月から1年間、イギリスの研究機関へ研究留学しました。僕はこれまで1年に数回、約1週間ずつ出張して、この研究機関で実験を行っていたのですが、本格的に腰を据えて研究活動をするために留学を決意しました。

僕の勤務先には、いろいろな研究留学の制度があり、希望者からTOEFLの成績上位者数名が採用される仕組みでした。このような仕組みを持つ会社は多いと思うので、興味のある方は調べてみてはいかがでしょう。

見事留学できることになった僕には、留学先の機関で日本のプレゼンスを示し、リーダーシップを発揮することが求められていました。

この研究機関はイギリスにありますが、EUが母体のため、英語を第一言語としないヨーロッパ各国の研究者が多数勤務していました。北欧系の研究者はまるで母国語のように英語が流ちょうでした。ただし、発音に至っては、イタリア人やスペイン人は母国語寄りのアクセントが強かったです。実は留学した当初は、僕にとっては母音を強調する彼らの英語の方が、ブリティッシュ英語よりも聞き取りやすかったりしました(笑)。

自分の意思を正確に伝える英語力を付けるために

交渉やプレゼンで自分の意思を正確に伝える力をつけるために

僕が英語をしっかり勉強し始めたのは、この留学から遡ること3年前。自分が携わっている国際プロジェクトにおいて、徐々に交渉力とリーダーシップを求められるようになってきたことがきっかけでした。 

「1000時間ヒアリングマラソン」を学習の教材に選んだ

仕事での交渉やプレゼンにおいては、美しい英語を使う必要はないかもしれませんが、自分の意思を正確に伝える必要がありました。そこで僕はさまざまな英語表現を身に付けるために、アルクの「1000時間ヒアリングマラソン」という1年間の講座を受講し始めました。

正直、何年間も語学に向き合い続ける気はなかったため、この講座の1カ月ごとの教材を全てこなすための計画表をしっかり作りました。

リスニング、シャドーイング、オーバーラッピングを1セットで毎日

さらにリスニング素材には、何をもって達成したとみなすかの基準が必要でした。自分はリスニング、シャドーイング、オーバーラッピングを1セットとして、これを毎日の素材でクリアすることを基準にしました。

シャドーイングとは、英語を聞き、その聞こえてきた内容を少し遅れて同じように繰り返すトレーニングのこと。オーバーラッピングは、英語を聞き、その聞こえてきた内容を同時に声に出す練習法です。

すべてのリスニング素材について、この基準を毎日クリアしていくのはそれなりに大変でしたが、計画表を作って進めたことに加え、語学学習者が集まるSNSに参加したことが完走できた要因だったと思っています。

小さいゴールをクリアするたびに計画表を1マスずつ塗りつぶす

「1000時間ヒアリングマラソン」は文字通りマラソンでした。マラソンを完走するには、自分の中でルート上に小さいゴールをたくさん作り、それらを1つずつクリアしていくことが重要でしょう。人間はゴールの見えない努力は苦痛に感じるものです。スタート地点から見たマラソンのゴールはあまりにも遠くにありますが、次の電柱がゴールだという近くの目標があれば走ることができるでしょう。

だから計画表を作り、小さいゴールをクリアするたびに1マスずつ塗りつぶしていく作業を続けます。そして、マラソンが中盤に差し掛かったとき、びっしりと塗りつぶされた計画表が自分に自信を与え、ゴールまで続けるモチベーションとなるでしょう。

ほぼ毎晩子どもが寝静まってから1~2時間

「1000時間ヒアリングマラソン」を受講していた1年間は、計画表に従って、ほぼ毎晩子どもが寝静まってから、上で述べた1セットを1~2時間かけて完了させていました。僕と同じように毎日仕事が終わって帰宅、夕食、風呂等を済ますと夜の10時過ぎになってしまい、何時間も勉強に割くことができない人は多いでしょう。だからこそ計画表を作ってペース配分を整えることが重要だと思います。まさしくマラソンですね。 

「1000時間ヒアリングマラソン」を完走した後は、自分の中で多少なりとも英語の成長を感じたせいか、以前よりも語学学習がちょっとだけ好きになりました(笑)。

準備はつらいよ!パスポート

イギリスに行くまでの準備こぼれ話

さて、イギリスへの留学が決まると、いろいろと事前準備が必要であることが分かりました。具体的にはビザの申請、住居の手配、日本からの送金ルートの準備などです。

僕が取得したビザは、Tier 5(Temporary Worker – International Agreement)「短期就労者ー国際協定による招聘に基づく就労」というもので、協定文書や招聘状などを受入先から発行してもらう必要がありました。

僕は家族を連れて留学したので、その場合は家族のパスポートとビザも必要になります。パスポート取得時の思い出は、当時1歳だった息子のパスポート写真を撮影するのが大変だったことです。パスポート写真は、背景が無地で、しっかり正面を向いたカメラ目線の無表情でなければなりません。1歳の子どもにこれは難しいです。まずじっとさせるのにひと苦労。その上、笑顔も泣き顔もダメですから、これはもう至難の業でした(笑)。何十枚と撮影して、偶然に撮れた奇跡の一枚を使いました。今となっては笑える思い出です。

次回は、イギリスに滞在し、仕事で会議の議長を務めたときの体験をお伝えします。英語が完璧ではなくても、会議をしっかりとリードしていくための心構えなどをお話ししたいと思います。

ハズ

文:ハズ
文部科学省所管の国立研究開発法人研究員。専門は電磁流体力学、エネルギー工学。TOEIC L&R 960点。家族は妻と息子1人。最近は地域の子どもたちにマジックを見せて笑顔にするのが楽しい。筆頭著者論文約30編。工学博士。

編集:増尾美恵子