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時短勤務です。簡単な仕事ばかりでやる気が出ません。

時短勤務でもモチベーションを維持するには?

今、注目の「働き方改革」。残業が無くなる、雇用形態による格差が無くなるなど、いいことがたくさんありそうですが、急激な変化に戸惑っている人も多いのでは?異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに、よくある悩みを相談してみました。

時短勤務はありがたいのですが……

ビジネスパーソン30代の女性です。半年前に育休から復職しました。時短勤務を認めてもらえたのはありがたいのですが、任される仕事が簡単なことばかりで正直言ってやる気が出ません。私が帰った後に決まったことを翌日聞かされたりして、疎外感もあります。我慢するしかないのでしょうか。

カップさんからの回答

ワークライフバランス

ご出産おめでとうございます。育休から仕事に戻るのはかなりの決意が必要なことです。しかし、あなたはすでに仕事に戻っていて、その上やる気が出るようなタスクを求めています。その仕事に対する意欲は、大変素晴らしいと思います。

フルタイムでなくてもプロフェッショナルでありうる

男性の育休についての記事でも触れましたが、残念ながら日本の職場では、「みんなと同じ場所、同じ時間帯にいること=グループに属している証拠」という考え方が非常に強いのです。

例えば、周りのみんなと同じように夜遅くまで働いたり、接待に出席したりできない母親社員は「チームの本当の一員ではない」とみなされてしまうことがあります。

また、日本はフルタイムで働くことに関して妙なこだわりがあり、「フルタイムでないならプロフェッショナル・レベルの仕事ができない」という考え方も根強いのが特徴です。そして残念ながら、あなたはこういった状況に陥っているのではないかと思います。

私個人としては、時短で働く人に対する偏った考え方はとても理解し難いものです。なぜかというと、アメリカではフルタイムで働かなくても、一人前のプロフェッショナルとして十分貢献できると考えられているからです。

それに関して、2つの例を紹介したいと思います。

フルタイム勤務を避けたいスペシャリストもいる

最初は、私の顧客でアメリカに進出している日本企業の例です。その会社は、企業向けに設備を販売しています。そのため、事前に販売先の信用度をチェックする作業があり、この仕事をしてくれる人を必要としていました。

通常であれば経験のあるスペシャリストが担当する仕事なのですが、フルタイム1人分の仕事量がなく、その半分ぐらいの量しかありませんでした。

そこでマネジャー(日本人駐在員)は、何とかして残りの半分を埋め合わせて、フルタイム1人分の職務にするよういろいろ考えていました。例えば、信用チェックを半分、秘書の業務を半分務めるなど、なんとかしてフルタイムの仕事量にしようとしていました。しかし、どう考えてもそのような仕事のニーズはなかったのです。

そこで私は彼に、「フルタイムではなく、週20時間働ける人を雇ったらどうですか?」と言いました。彼は「そんなことが可能なのですか」と驚いていましたが、信用チェックの経験がある人の中には、子どもを産んだ後、またその仕事で自分の知識を生かしたいけれどフルタイムでは働きたくない人という人もいます。また、もっと年配の人の中には、仕事は続けたいけれどフルタイムにはしたくないという人もいるでしょう。

その後、この会社は週20時間勤務という条件で人材を募集し、前者のような人を見つけて採用しました。結果として、とてもうまくいったようです。

仕事の時間を減らして芸術活動に当てる

もう1つの例は、私と同じシカゴに住んでいる保険数理士*1をしているアメリカ人の友人です。

40代になった彼は、ずっと趣味としてやってきた芸術活動をビジネスにできるか試みたいと思っていました。そこで、会社にアプローチして働く時間を半分にしたいと申し出たのです。

彼の仕事の質は高く、彼は会社にとって重要な一員だったので、会社側はそれを承認しました。その後2年間ほど、彼は週の半分を会社で働き、残り半分の時間を芸術活動に当てるという生活をしました。

芸術活動自体は楽しかったそうですが、なかなか軌道に乗らなかったので、結局その2年後に彼はフルタイムに戻りました。

しかしながら、この変則的な勤務スタイルは彼のキャリアに全く悪影響を及ぼすことはありませんでしたし、その2年間の仕事内容もそれ以前と全く変わりませんでした

日本でも、このようなことが可能になればうれしい限りです。

まずは行動を起こしてみよう

やる気を見せて時短勤務に対する偏見を乗り越えよう

あなたの場合、次の3つの対策が考えられます。ぜひやってみてください。

時短でもチームに貢献できることを示す

1つは、与えられた仕事が簡単だということについて。もし可能であれば、与えられた仕事を早く済ませて、残っている時間でできる仕事がないか同僚や上司に聞き、自分が役立てること手伝えることを自主的に見つけるのです。あるいは、何かを改善したり、何らかのプロジェクトを提案したりしてはどうでしょうか。

要するに、自分が今依頼されている簡単な仕事以上にチームに貢献できるということを、周囲に見せるのです。

そうすることによって、時短で働いている人に対する偏見を乗り越えられるかも知れません。

ネガティブ・フィードバックで気になることを伝える

次に提案できるのは、自分に好ましくないことが起きたときに、ネガティブ・フィードバックをすることです。これは、相手にあなたの気持ちに気づいてもらうために、とても大切なことです。

例えば、自分がいなかったときに決まった決定事項を後で知った場合などです。自分がとても気になっていることがあっても、それを相手に伝えなければ、あなたはそれを全然気にしていないと相手に思われてしまう可能性が高いからです。

もちろん、文句を言うようなかたちで伝えるのはよくありませんが、次のように伝えたらいいのではないかと思います。

  1. 相手はどんな行動を取ったのか
  2. 自分がそれに対してどう感じたか、およびどんな悪影響があったのか
  3. 今後は何をしてほしいのかを説明する

例えば、「先日私が帰った後、○○が決められたと聞きました。私はそのときの会話に参加できなかったので、私の意見と私が持っている情報が考慮されなかったことに正直がっかりしたし、疎外感を感じています。私もチームのメンバーですので、今後何かを決める際には私が会社にいるときを選んでいただければありがたいです」と、このように言うのが望ましいと思います。

一対一で上司に相談する

最後に、上司に一対一で自分の悩みを直接話してみることをお勧めします。そのとき、上で紹介したようなフィードバック・パターンを使って、自分の悩みを伝えてみてください。

自分の立場を上司に認識してもらい、一緒に改善策を考えてもらいましょう。もしそれが可能であるならば、一番いいのではないかと思います。

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ロッシェル・カップ

執筆:ロッシェル・カップ
ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。
異文化コミュニケーションと人事管理を専門とする経営コンサルタントとして、日本の多国籍企業の海外進出とグローバル人材育成を支援している。イェール大学歴史学部卒業、シガゴ大学経営学院卒業。日本語が堪能で、『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』(アルク)、『英語の品格』(集英社) をはじめ、著書は多数。朝日新聞等にコラムも連載している。

編集:GOTCHA!編集部

*1:ビジネスにおける将来のリスクや不確実性の分析評価等を専門とする専門職 Wikipediaより