教育事業会社のトップたちが語る、21世紀の英語教育とは

2017年11月5日(日)、6日(月)に千代田区立麹町中学校・海運クラブ国際会議場で、テクノロジーを活用した教育イノベーションを 推進 するイベント「Edvation x Summit 2017」が開催されました。5日のパネルディスカッションで、英語教育に力を入れる企業のトップたちによる、「これからの英語教育について」の討論の様子をお届けします。

Edvation x Summit 2017 とは?

「Edvation x Summit 2017」 は、教育イノベーション協議会が主催する、教育・人材育 成分 野に特化した国際カンファレンスです。Education(教育)×Inovation(革新)= Edvation という名の通り、最新テクノロジーを取り入れた国内外の教育 事例 の紹介やパネルディスカッション、子どもを対象としたプログラミング体験など、参加型コンテンツも充実しています。

パネルディスカッション 21世紀の英語教育を考える

左から、中村岳さん、平本照麿、辻村直也さん、葛崇さん

5日午後には、「21世紀の英語教育について」というテーマでパネルディスカッションが行われました。モデレーターは中村岳さん(株式会社レアジョブ代表取締役社長)、パネラーは、辻村直也さん(ウェブリオ株式会社取締役社長)、葛城崇さん(楽天株式会社 新サービス開発カンパニー 教育事業部 ジェネラルマネージャー兼、株式会社ReDucate代表取締役社長)、そして株式会社アルク創業者の平本照麿です。

議題1:実際に必要な英語とはどんなモノか

モデレーター:オンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」を運営する株式会社レアジョブ代表取締役社長 中村岳さん

中村:早速ですが、これからどういった英語が必要になると思うかについて意見交換をしたいと思います。まず平本さんお願いします。

平本:英語学習においていわゆる4技能 1 は大切なのですが、中でも 一番重要なのがリーディング* だと思います。

話してコミュニケーションを取れるようになるには、聞いて分かるようにならないといけない。聞いて分かるためには、話すスピードと同じくらいの速さで読めないといけない。そういう意味で、リーディング力が必要だと考えています。

中村:なるほど。リーディング力が一番重要ということですね。辻村さんはいかがですか。

辻村:受験英語の場合は、日本の英語教育 方針 が、これまでのリーティング、リスニング重視から、スピーキングやライティングにも対応した内容に変わってきますので、実用的な英語として役立つと思います。

ビジネス英語の場合は、自分が今、月に1回くらいの頻度で海外に行くのですが、実際英語が話せないと全く話になりません(笑)。

何かで見た統計によると、英会話が必要なビジネスの現場で話し相手となる方の88パーセントがノンネイティブと言われています。ノンネイティブの英語は、独特の話し方や文法などがあるので、 ローカライズ、カスタマイズされた英語を聞き取ってやり取りできる 、ということが重要になってくると個人的には思います。

中村:ネイティブだけでなくてノンネイティブの方ともやり取りできる英語ですね。 具体的に はどれくらいのレベルあればいいと思いますか。

パネラー:インターネット上での英和和英辞書、語彙力診断などを運営するウェブリオ株式会社取締役社長 辻村直也さん

辻村:ビジネスの現場で使うなら、TOEICなら730点くらいあればいいのではと感じています。あとは度胸だったり、ビジネスマナーだったりの方が必要ですね。学校で習った英語にはタメ口みたいな英語もあり、ビジネスでの使用に向いていない場合があります。 従って今後 という意味では 日本語でいうところの丁寧語のような英語 をビジネス英語として学ぶことも大事だと思います。

中村:ありがとうございます。葛城さんは、楽天での社内英語公用化にも取り組まれていますが、効果などいかがですか。

葛城:楽天 に関して いうと、2010年の外国人社員の 割合 は2パーセントでしたが、今は20パーセントを越えています。特にエンジニアは45パーセントが外国人なので、日本人のみの会議というのはほとんどなく、英語が必須です。

ところで、ウェブサイトで使われている言語1位が英語で、4位が日本語なのですが、パーセンテージがそれぞれどのくらいか知っていますか?

英語のサイトは全体の55パーセント、日本語のサイトは5パーセントなんです。英語のサイトは11倍多くあるんですね。先ほど平本さんがリーディング力が重要とおっしゃっていましたが、 英語が読めるか読めないかで情報格差が生まれる と言ってもいいと思うんです。

議題2:効率的に英語が話せるようになる方法とは

中村:続いて、どんなことをすると効率的に英語が話せるようになるかをディスカッションしたいと思います。平本さん何かありますか?

平本:先ほど聞き取るためにリーディングが大事と言いましたが、話せるようになるにもリーディングが大事だと思います。ネイティブの話すスピードは速いですから、 とにかく速いスピードで英文を読めるようにする ことですね。また、自分の目標を定めて、その達成を目指して努力することだと思います。

中村:おすすめの練習方法などはありますか?

パネラー:書籍、通信講座、「英辞郎 on the web」など語学学習教材を幅広く提供する、株式会社アルク創業者 平本照麿

平本:英語音声のスピードを調節する方法ですね。少しずつスピードを速めて聞き、そのスピードにあわせて声に出して読む、これがいいでしょう。最近はアプリなども豊富ですので、それらを活用して習慣づけるといいでしょう。

中村:ありがとうございます。辻村さんはどんな学習法が良い、など実体験はありますか?

辻村:SLA 2 によれば、 インプットとアウトプットの理想的な 割合 は、8:2という定説があります* 。例えば単語暗記するときに、覚える時間だけでなく、声に出して言う時間を覚える時間に2割プラスして確保すると効率良く覚えれられるということです。

それから、最大の問題は、学習が続かないことだと思います。それを解決するには、 「強烈な願望」というか、「どうしてもできるようになりたい」 と思う きっかけ を意図的に作る必要がある と思います。お子さんの場合は1カ月くらいの短期留学に行くだけでもだいぶ違うと思いますよ。初めて触れる外国の文化や、英語ができるようになって帰ってきた自信などの「体験」が、英語学習へのモチベーションを高く維持する きっかけ となると思います。

中村:モチベーションは大事ですよね。実際、弊社のオンライン英会話を使っていただいた小学6年生への アンケート では、オンライン英会話を使った後に、英語学習に関する興味の度合いが上がりました。 体験することで、「自分でやってみよう」という意欲が生まれる 。そして自ら英語学習をしたいという欲求が高まり、学習する習慣になる。そういったサイクルを回すことが大事だと思います。葛城さんはどうですか?

パネラー:「えいぽんたん」「きこえーご」など英語学習アプリを多数提供する、株式会社ReDucate代表取締役社長 葛城崇さん

葛城:私は、 最終的に学習時間で決まる と思っています。それも、1週間のうちまとめて2時間やるとかではなく、 毎日コツコツやるしかない です。自分自身英語勉強マニアですが、本当にコツコツやるしかないです。

みなさん、英語学習にかけた時間だけ右肩上がりに英語力が伸びていくと思うかもしれませんが、 実際は階段型 です。やっても伸びない時期があり、ある日突然パッと上がり、その後また伸びがフラットになる時期が来ます。その間、どうやってモチベーションを保つかというと、英語学習継続のノウハウと、ゲーム要素を取り入れるということです。

初めはゲームでモチベーションを維持するわけですが、毎日続けることでいつの間にか習慣になる、伸びがフラットな部分をゲーミフィケーションで補う、そういったゲーミフィケーションを使った勉強スタイルを提案していきたいと思っています。

中村:ありがとうございました。

 

パネルディスカッション参加者がおすすめする英語学習法

アウトプットの練習に

強化 に">リーディング、リスニングの 強化

辞書機能他、語彙力診断なども可能

英語学習×ゲームで学習を継続させる

 

文:末次志帆
ビール大好き!高知生まれのGOTCHA!エディター・ライター/ Webディレクター

*1 :読む(Reading) / 書く(Writing) / 聞く(Listening) / 話す(Speaking)の4つの力を指す

*2 :第二言語習得研究:学習者が母語の次に言語を学ぶ過程を科学的に解明する学問のこと - Wikipedia より

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