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映画公開!違いや個性を見つめる、特別で普通な少年の物語『ワンダー』

ワンダー1

2018年6月15日(金)に全国公開される映画『ワンダー 君は太陽』。生まれつき他の子と「違う」10歳の少年が初めて学校に通うことから始まる物語です。原作は、2013年にニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト第1位を獲得した、R・J・パラシオの『Wonder』。子ども向けで読みやすいですが、大人にとっても読み応えのある本書を、原文と訳文の抜粋と共にご紹介します。

Wonder

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「普通」ってどういうこと?

主人公は10歳の少年、オーガスト(愛称はオギー)。生まれつきの障害のため、幼少時から多くの手術を受けてきました。そのため、これまではホームスクーリング(自宅で親から教育を受ける)をしていて、主に家庭や地域で過ごしてきました。本の冒頭では、彼が自分や家族について思うことを語ります。本のPR動画では、冒頭の一部の音声が聞けますよ。

I know I'm not an ordinary ten-year-old kid. I mean, sure, I do ordinary things. I eat ice cream. I ride my bike. I play ball. I have an XBox. Stuff like that makes me ordinary. I guess. And I feel ordinary. Inside. But I know ordinary kids don't make other ordinary kids run away screaming in playgrounds. I know ordinary kids don't get stared at wherever they go.


自分がふつうの十歳の子じゃないって、わかってる。といっても、もちろんふつうのことをするよ。アイスクリームを食べる。自転車に乗る。ボール投げをする。ゲーム機を持ってる。そういう意味でいえば、ぼくはふつう。たぶん。そして、ふつうの感情がある。心のなかはね。だけど、ふつうの子なら、公園で会ったふつうの子に悲鳴をあげられて逃げられることはない。ふつうの子なら、どこかへ行くたびに、じろじろ見られることもないよね。

『Wonder』より引用

『ワンダー』より引用

オーガストはこのように事実を説明した後、仮定法を使って自分の望む世界を描写します。

If I found a magic lamp and I could have one wish, I would wish that I had a normal face that no one ever noticed at all. I would wish that I could walk down the street without people seeing me and then doing that look-away thing. Here's what I think: the only reason I'm not ordinary is that no one else sees me that way.


もしも魔法のランプを見つけて、ひとつだけ願いをかなえてもらえるなら、めだたないありきたりの顔になりたい。外を歩くとき、じっと見られてさっと目をそらされないようになりたい。思うんだけど、ぼくがふつうじゃないのは、だれからもふつうだって思われてないからじゃないかな。

『Wonder』より引用

『ワンダー』より引用

子どもならではの言葉の発見が楽しい

オーガストは学校でさまざまな生徒たちと出会います。仲良くなれる子もいれば、そうでない子もいますが、つらい状況も独特のユーモアと感性で乗り越えていきます。ランチタイムにカフェテリアで一人で座るオーガストに、サマーという女の子が声を掛け、一緒に食べる場面を読んでみましょう。

“Hey, our names kind of match," she said as she chewed.

I guess she could tell I didn't know what she meant.

“Summer? August?" she said, smiling, her eyes open wide, as she waited for me to get it.

“Oh, yeah," I said after a second.

“We can make this the ‘summer only' lunch table," she said. “Only kids with summer names can sit here. Let's see, is there anyone here named June or July?"

“There's Maya," I said.

Technically, May is spring," Summer answered, “but if she wanted to sit here, we could make an exception." She said it as if she'd actually thought the whole thing through. “There's Julian. That's like the name Julia, which comes from July."

I didn't say anything.

“There's a kid named Reid in my English class," I said.

“Yeah, I know Reid, but how is Reid a summer name?" she asked.

“I don't know." I shrugged. “I just picture, like, a reed of grass being a summer thing."


「ね、あたしたち名前の相性がいいね」

ぼくがなんのことだかわからないでいると、サマーはこう言った。「サマーの意味は夏。オーガストは八月」そして目を大きく見開いてにこっとすると、ぼくが理解するのを待ってくれた。

「あ、そうか」ぼくは一秒後に答えた。

「このテーブル、夏のランチ・テーブルにしちゃおうよ。夏の名前の子だけがすわれるの。そうねえ、六月って意味のジューンとか、七月って意味のジュライって名前の子、いたかなあ?」

「マヤがいるよ」

「マヤのスペルはメイ(五月)に似てるけど、五月は春だよ。ま、でも、すわりたがったら、例外にできるよね」サマーは、まるでじっくり考えたかのように言う。「ジュリアンもいるよ。ジュリアみたいにジュライ(七月)に似ている名前でしょ」

ぼくは、それには返事をしなかった。

「国語のクラスにリードって子がいる」

「ああ、リードなら知ってる。でも、なんでリードが夏の名前なの?」

「うん、ちょっとスペルがちがうけど思い浮かんだんだ。リードって夏草の葦っていう意味になるだろ」

『Wonder』より引用

『ワンダー』より引用

複数の視点から見えてくる複数の「真実」

この本の特色の一つは、主人公のオーガストだけでなく、彼の家族や友達も語り手となって、物語が進むところです。同じ人物が、描写する語り手によって違うふうに見えてきたりします。オーガストの姉、ヴィアの話を読んでみましょう。

Mom and Dad would always say I was the most understanding little girl in the world. I don't know about that, just that I understood there was no point in complaining. I've seen August after his surgeries: his little face bandaged up and swollen, his tiny body full of IVs and tubes to keep him alive. After you've seen someone else going through that, it feels kind of crazy to complain over not getting the toy you had asked for, or your mom missing a school play. I knew this even when I was six years old. No one ever told it to me. I just knew it.


父さんと母さんは、世界一ものわかりのいい娘だって言う。そうなのかな。ただ、文句を言ってもしかたがないってわかってるだけなのに。だって、手術をしたばかりのオーガストは、小さな腫れた顔を包帯でぐるぐる巻きにされ、たくさんの点滴や管につながれて、やっと生きていた。そんな目にあっている弟を見たあと、ほしいおもちゃを買ってもらえないとか、母さんが学芸会に来てくれなかったとか、文句を言えると思う? わたしは六歳だったけど、わかっていた。だれかに教えられたわけじゃない。ただわかっていた。

『Wonder』より引用

『ワンダー』より引用

『ワンダー』の魅力は、善悪に二分できない現実を描いた、勧善懲悪とはいかない物語でありながら、常に人間に対しての希望を示してくれるところです。読み進めると、子どものころを思い出して胸が痛くなることもあるかもしれませんが、同時に、友達や家族や学校の先生の優しさも思い出して胸が熱くなるかもしれませんよ。

原書は300ページ以上ありますが、短い章も多くあり、話し言葉で書かれているので、読みやすいです。続きが気になって、どんどん読めると思います。

映画も見て、原書や翻訳書と比べてみましょう!

映画『ワンダー 君は太陽』は、2018年6月15日からTOHOシネマズ 日比谷 他で全国公開。ジュリア・ロバーツがオーガストの母親を演じています。映画を見る前でも後でも、原書や邦訳書も読んで、2倍、3倍、楽しんでください!

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Wonder

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ワンダー Wonder

ワンダー Wonder

 
もうひとつのワンダー

もうひとつのワンダー

 

gotcha!

構成・文:GOTCHA!編集部
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