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リスニングの悩み「単語はわかるのに文が聞き取れない」を克服!

リスニングの悩みを克服

TOEICや英検などのテストでも、実際にネイティブ・スピーカーと会話するときでも、重要なのがリスニング。同時通訳者で指導経験も豊富な横山カズさんに聞く、リスニング力を上げる練習法の2回目です。

前回は、発音(音のルール)を身に付けることでリスニング力を上げる方法紹介しました。今回は、「部分的な音は聞き取れるけれど、文になると聞き取れない」という、次の課題に挑んでみたいと思います。

単語はわかっても文が聞き取れない!

例えばですが、極端な話、こんな英文であれば聞き取ることは難しくないですよね?

This is a pen.

これはペンです。

また、これもきっと簡単に聞き取れると思います。

I study English.

私は英語を勉強します。

しかし、これはどうでしょうか?

What we need to do for now is to focus on what I'm supposed to do.

私たちに今必要なのは、やるべきことに集中することです。

よく見ると、語いのレベル自体はそんなに高くはありませんよね。

でもこの英文をナチュラルスピードで聞いたら、聞き取れない人も多いのではないでしょうか。

それぞれの単語の意味は分かるのに、なぜ文になると聞き取れないのでしょう?今回はその理由を説明するとともに、克服するための練習法を紹介します。 

聞き取りにくさの原因は「語順の違い」

英語の聞き取りにくさの原因は語順の違い

以前にもお話ししましたが、英文の構造は、突き詰めれば、次の2種類分類されます。

・A is B (AはBである)

・A does B (AがBをする)

どんなに長い文、複雑な文でも、突き詰めていけばこの2つのうちいずれかなのです。

ではなぜ、こんなにシンプルな構造の文を聞き取れないのでしょう。それには大まかに言って、2つの理由があります。

1つ目は、英語では主語の直後に動詞が来ること。2つ目は「後置修飾」です。

①主語の直後に動詞が来る

日本語構造との大きく違うのが、英語は「主語(A)の直後に動詞が来る」ということです。

先ほど紹介した英文も、全てそうなっていましたね。

This is a pen.

これはペンです。 

I study English.

私は英語勉強します

このように、日本語では文の最後に来る動詞が、英語では主語のすぐ後に出てきます

この違いは、上のような短い英文ではあまり気にならないでしょう。英文の意味も素早く理解できるかも知れせん。でも、一文が長くなるとそうはいきません。

これが、文を聞き取れない原因の1つです。

②名詞を後から修飾する「後置修飾」

もう1つ、日本語との大きな違いが「後置修飾」と呼ばれるものです。

後置修飾、と聞くと漢字だらけでなんだか難しい感じがしますが、実は何と言う事はありません。名詞を後から修飾する、それだけのことなんです。

文を見てみましょう。

私が使うペン

The pen I use

私が好きな

The person I like

私がやっていること

What I do

日本語の下線部に当たる内容が、英語では名詞の後ろにつくということです。

次に、もう少し長い文も見てみてください。

彼女が私が好きな人です。

She is the person I like.

私が好きな人は彼女です。

The person I like is her.

これが私がやっていることです

This is what I do.

私がやっていることはこれです。

What I do is this.

下線部が、1つの単語のように意味の塊になっていますね。先ほど言った英文の構造である「A is B」「A does B」において、A や B になっているんです。言い換えれば、This is a pen. のThis や a pen と同じ扱いとなっているわけです。

ここで大切なポイントをお話しします。声に出して話すとき、これらの意味の塊(AやB)は、「どんなに長くても一息で、1つの単語のように言われる」のです。覚えておいてください。

「チャンク音読」で体感しよう!

チャンク音読で体感しよう!

このことを実感し、体得するための具体的な練習法として、私が提唱している「パワー音読(POD)」のステップの1つである「チャンク音読」をおすすめします。

この方法だと短時間で何回も音読するので効率がよく、「英文をキャッチする能力」を飛躍的に高めることができます。

ざっくりというと、「意味のまとまり(チャンク)」だけを繰り返し音読すればいいのです。

では、次の英文を素材に実践してみましょう。

What I usually do on Sundays in the daytime is resting my brain.

私がよくやるのは、ボーッとすることです。

まずは、What I usually do (私がいつもすること)という意味のかたまりを一息でいう練習をします。1回あたり2秒ほどなので、1分あればかなりの回数を繰り返すことができるでしょう。

慣れてきたら、今度は副詞や前置詞の部分を追加して、本動詞(is)の手前までを同じように一息で言ってみてください。これも何回も繰り返します。

What I usually do on Sundays in the daytime…

次のステップとして、これらのチャンクを含んだ文全体を音読します。

What I usually do on Sundays in the daytime is resting my brain.

私がよくやるのは、ボーッとすることです。

これも何回も繰り返し音読して、体に覚えさせてください。
すると、1つのチャンクを一語のように一息で言うことができるようになり、長い英文であっても瞬間的に意味を把握できるようになります。

上記のような長めの文でも、This is a pen.や I study English.と同じように、聞いた瞬間にパッと理解できるようになるんです。

「チャンク音読」でリーディングも速くなる

この「チャンク音読」に取り組むことによって得られる成果は、次のようなものです。

・英文の基本構造、「A is B」や「 A does B」を体得できる

・後置修飾に身体で慣れることができる

英語を聞くとき(話すとき)に、自動的に本動詞の手前まで処理できるようになる

そして、リーディングの際にもこの英文処理能力はいかんなく発揮されます。英文を日本語に訳さず、英文のまま理解する「直読直解」が可能になるんです。すごい速さで読めるようになりますよ。

一言付け加えておくと、subvocalizationといって、黙読するときも声に出さずに頭の中で音読してしまい、リーディングの速さが制限されるという意見もあります。

が、まずは音読で「直読直解」の自動回路を頭の中に作りましょう。そのあと、黙読のスピードは確実に上がっていくので心配はいりません。

長い文で実践練習に挑戦!

長い文で実践練習

「意味のまとまり」をとらえやすく、また実際の会話で最も使いまわしが効くのは、関係詞(whatやhowなど)を含むチャンクがふんだんに使われた英文です。

what や how を含むチャンクは非常に高い頻度で使われますが、実際の会話ではかなり早口で言われるので、聞き取りにくいものの1つです。しっかり練習しておきましょう!

関係詞 what と howの使い方を自分にインストール

まずは次のチャンクを、一息で一語のように音読してみましょう。

時間は1分間です。1分間でできるだけ多く読めるよう、早く読んでみてください。

ポイントは先頭の大文字になっている単語を強く読むこと。時計やスマホなど、時間を計るものを用意してください。はい、スタート!

講師の言っていること

WHAT he's talking about

やるべき事

WHAT I should do

自分が今できること

WHAT I can do

できないこと

WHAT I can't do

それをやるだけの才能

WHAT it takes

どれだけ真剣になれるか

HOW serious I can be

1回あたり2、3秒で言えると思いますので、1分間で20回から30回くらい言えるようにしたいところです。それぞれのチャンクを、1分間に20回くらいずつ言えるようになったら、長い文での練習に挑戦しましょう。

まずは和訳を読み、英文の意味を確認します。

講師の言ってる事は分かる。

英語を滑らかに話すためにやるべき事をはっきりさせておかないといけないな。

まずは自分が今できる事とできない事を見極めて、今できない事を出来るようにしていこう。

自分にはそれをやるだけの才能が備わっている。

要するにどれだけ真剣になれるかにかかっている。

続いて英文の音読です。大文字になっているDOは、強く長く大げさに、感情を込めて言います。最初に練習したチャンクが、一語のようなかたまりになって英文にはめ込まれている感覚を味わいながら音読してください。

まずは1セットを20秒で言うことを目標にしましょう。15秒で言えればなかなかのものです。

I DO understand what he's talking about.

Now, I need to know what I should do to break into fluency.

I need to know what I can do and what I can't do, and I need to be able to do what I can't do.

I know I have what it takes.

It just depends on how serious I can be.

私はときどき、上級レベルの生徒さんと面白がって張り合いながら、6~8秒くらいで読むこともあります。

ここまでくると、ICEEなどのディベート競技や同時通訳のための練習となりますが、口の動きのなめらかさや集中力も自然に強化されるので、普段のスピーキングやリスニングでも確実に余裕が生まれてきます。

いつもの学習とは違った刺激を求めて、やってみるのもいいと思います!

音読は「回数」より「時間」

音読は、回数ではなく時間を決めて取り組むことをおすすめします。

「10回読むぞ」というように回数を決めて行うよりも、「1分間で何回読めるか」という方法を取ると、集中力と練習の密度が自然に上がります。

また、これなら「1回15分」と決めたら確実に15分で終わるので、学習の計画も立てやすくなります。10回やるつもりが8回しかできなかったりすると、せっかくのモチベーションが下がってしまいますしね。

この文での練習が終わったら、「口語的で、自分の心に響く英文」を見つけては、同じように練習していってください。英文の見つけ方はこちらの記事参考になります。

また、「チャンク音読」のやり方をもっと詳しく知りたい方は、拙著『最強の英語独習メソッド パワー音読入門』を読んでみてください。

まとめ

前回紹介した方法で耳を磨き、今回紹介した方法で頭の中に「英語の直解システム」を作り上げれば、あなたのリスニング力は劇的に向上するはずです。

ぜひやってみて、効果を実感してくださいね!

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横山カズ

文:横山カズ @KAZ_TheNatural

関西外国語大学・外国語学部スペイン語学科卒。発音検定EPT最高ランク(指導者レベル)、ICEE(国際英語コミュニケーション検定)2012年優勝、英検1級。同時通訳者(JAL)、翻訳家、英語講師。高田学苑英語科特別顧問。エスコラピオス学園 海星中・高等学校英語科特別顧問。学びエイド、リクルート・スタディサプリENGLISH講師。英語を日本国内で独学し、航空・IT・医療・環境・機械・国際関係・文学など多分野で同時通訳者として活躍中。JAL(日本航空)グループ、楽天株式会社では英語向上と社内公用語化に貢献。「英語4技能」・英語スピーキングのエキスパートとして日本全国で授業と講演をっている。著書多数。ジパングマネジメント株式会社・文化人枠所属

編集:川浦奈遠子