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「多読」で語彙力+文法力+読解スピードをトリプル・アップ!

「多読」で語彙力+文法力+読解スピードをトリプル・アップ!

上智大学で英語学習アドバイザーを務める玉木史惠さんに、語彙と文法の力をアップする「多読」の効果について教えていただきます。

みなさん、こんにちは。玉木史惠です。

前回ご紹介した「ジャーナル・ライティング」では、アウトプットであるライティングで語彙力や文法力を伸ばす方法をお話ししましたが、語彙力や文法力は、インプットであるリーディングでも大幅に伸びていきます。

リーディングの黙読には、精読と多読があります

精読は、未習の語彙や文法事項を学ぶことが主要目的で、多読は、既習の語彙や文法事項の処理能力を高めることが主要目的です。学校の授業では精読がわれることが多く、多読は精読ほど教育現場に取り入れられていません。

今回はこの、多読の効果や進め方についてお話します。

喜びと達成感が得られる「多読」

喜びと達成感が得られる「多読」

多読は、レベルに適した本を多く読み、語彙力や文法力を伸ばし、読解スピードを上げていくリーディングです。

辞書を使わなくても読めるやさしい本を、全体的な意味を理解しながら読みます。洋書を読めるという喜びや、読み切ったという達成感が、学習意欲を向上させます。

リーディングのレベルは、知っているword family(または、headword)の数に関係しています。核になる意味を共有する単語グループがword familyです。例えば、eat(食べる)のword familyには、eating、ate、eatenが含まれます。

使われているword familyの数が少ないほど易しい本です。後述するOxford Bookwormsの初級Starterレベルのword familyは250語、上級レベル6のword familyは2500語です。

「多読」が生み出す効果とは?

多読の主な効果は次の4つです。

  1. 語彙力強化
    word familyの数が制限された本を多く読むと、文脈の中で使われている同じ語彙を繰り返し目にすることになるので、語彙やコロケーションの知識が強化される。
  2. 文法力強化
    文脈の中で使われている文法事例を繰り返し目にすることによって、文法知識が文理解にすんなり使えるようになる。
  3. 読解スピードアップ
    語彙力や文法力が上がって語彙や文法の知識を文理解にすんなり使えるようになると、意味のかたまりで、日本語訳をせずに文を読めるようになるので、読解スピードが上がる。
  4. 学習意欲アップ
    辞書なしでやさしい洋書を1冊読み切ると、うれしく、自信がつき、もっと読みたいという学習意欲が高まる。対照的に、難しい本を読むと、「読めない、だから読まない、その結果、読むのが苦手、だから読めない…」という悪循環が起こりやすい。多読では、「やさしい本だから読める、だから読む、その結果、読むのが得意、だから読む…」という良循環が起こる。

「Graded Readers」がおすすめ

「Graded Readers」がおすすめ

多読で最も使われているのが、英語学習者向けにレベル分けされた「Graded Readers」(語彙が制限された本。以下、GR)です。初級者から上級者まで、さまざまなジャンルの本がGRとして出版されています。

出版社によって異なりますが、ほとんどのGRは、最も易しい初級Starter/Beginnerレベルから、上級6レベルまでのレベルで分けられています。

よく知られているGRには以下のシリーズがあります。

  • Oxford Bookworms
  • Pearson's Graded Readers (Penguin Readers)
  • Cambridge English Readers
  • Macmillan Readers

本選びの4つのポイント

多読は、レベルに適した本を多く読むことで、語彙力や文法力、読解スピードを上げるリーディングです。次のような本がレベルに適した本です。

  1. 原則として、辞書なしで読める
  2. 8~10を1分間で楽に読める本
  3. 知らない単語が1ページにつき2、3語までの本
  4. 興味があるジャンルの本

大きな書店の洋書売り場では、GRが販売されています。GRを貸し出している図書館もあります。

本のタイトルや、裏紙に書かれたあらすじを読んで興味があるジャンルの本を見つけたら、本を開いて、1ページに知らない単語が2、3語以内かどうかを確かめてください。1分間で8~10を読めるでしょうか。もし難しければ、レベルを下げましょう。

多読は、楽しみながら多くの本を読むことで学習効果が上がります

記録をつけながら読む

多読は、学習者が自ら選んだ本を、自らのペースで読み進めます。絶対的なルールはありませんが、記録を作って、次のように進めるといいでしょう。

  1. レベルに合った本を見つける。
  2. 本のタイトル・GRのレベル・読み始めの日付を記録記入する
  3. 難しい、または興味がない本だったら、途中で読むのをやめて本を替える。
  4. 読み終えた日付を記録記入する。GRの裏紙に書かれている総語数(Word Count)を記録する。
  5. 1~5で本を評価する

記録をつけると読んだ語数や冊数が分かり、多読を続ける励みになります。読み進むにつれて本のレベルが上がって、リーディング力の伸びを知ることができます。

タイトル レベル 開始日 読了日 語数 評価
The Jungle Book 2 2017/11/23 2017/12/03 6,510 5
           
           

まとめ

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多読をすることで、語彙力・文法力・読解スピードを上げることができますが、多読だけでリーディング・スキルが上がるわけではありません。

学校教育で長年われてきた精読は、文の意味を詳細理解し、暗示されている意図もくみ取りながら読む読解力を養います。新たな語彙や文法事項を学ぶ精読は、決しておろそかにされてはいけないリーディングです。

授業で何年も英語を学習したのに英語がうまく使えないという理由で、精読はたびたび非難されますが、精読をすることで得られる文書の深い理解は、多読では得られにくいものです。

一方多読をすることで得られる文書の素早い処理能力は、精読では得られにくいものです。精読と多読は、その学習効果に優劣があるわけではなく、リーディング力を高めるためにバランスよくわれるべき2つのリーディングです。

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玉木史惠

玉木史惠(たまき ふみえ)

上智大学英語学習アドバイザー。テンプル大学大学院にて英語教授法(TESOL)の教育学修士号取得。20年近くにわたり100以上の企業・大学・官公庁で1万人以上の日本人学習者に英語指導をしてきた。英語科教員免許状と英語学習アドバイザープロフェショナルの資格を持ち、英語学習法、TOEIC®をはじめとする各種試験対策、スピーキングとライティングを含むコースまで幅広く担当。日本人学習者にとって有益な内容を効率よく指導することを心がけている。TOEIC®990点、英検1級。共著に『 頂上制覇 TOEIC(R)テスト 究極の技術 トリプル模試 』(研究社)がある。