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生の英語を聞いてみよう!映画『否定と肯定』対談レポート

デボラ・E・リップシュタットさんと、憲法学者の木村草太氏

真実とうその見極めが難しい今の時代。米「9.11」同時多発テロ事件や「ホロコースト」など、疑いようのない事実とされていることであっても、そこには「陰謀論」を主張する人がいます。現実に起きた、そんな否定論者との法廷対決がテーマの映画『否定と肯定』が、12月8日(金)から、いよいよ全国公開。そこで公開に先駆けて10月26日に開催された原作者で主人公のモデルでもあるデボラ・E・リップシュタットさんと、憲法学者の木村草太氏の貴重なトークイベントの様子を、英語音声付きでご紹介します!

『否定と肯定』あらすじ

映画『否定と肯定』

© DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

1996年、アメリカのエモリー大学教授で歴史学者のデボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)は、「名誉棄損で訴えられた」という寝耳に水の知らせを受けます。原告は、彼女が著書で非難した、「ホロコースト否定論者」のデイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)。リップシュタットは、「ホロコースト否定論者が勝訴した」という事実を残さないために、弁護団と共にアーヴィングに立ち向かいます――。

 

木村草太氏

各国の法体系を説明する木村草太氏。トークイベントでは、木村氏がリップシュタットさんに質問する形で進んでいった。

会見の「生」英語に挑戦!

それでは、トークイベントの音声を聞いていきましょう。音声、英文、抄訳の順に並んでいます。※英語の言いよどみ(umやuh)は表記していません。

こんなに違う! イギリスとアメリカ、日本の法制度

木村:アメリカや日本では、表現の自由を守ろうという法体系が出来上がっています。なお、「表現の自由」とは国家権力によってその自由を制限されない権利を指します。この点は本作でも非常に大事な点ですね。

そして、この裁判がわれたイギリスは、「名誉を棄損したとされる被告側」に厳しい制度です。この点について意見はありますか?

Deborah Lipstadt: The UK law was something that I was quite shocked about when I learned what it meant. And you see Rachel portray that shock, and that was very true to what happened. But it also meant that my options were highly restricted. Had I not fought, he would’ve won by default. I explain this to my students sometimes. I say, imagine a tennis match, and you may be the better player, but if you don’t show up, the other person will win.

抄訳

デボラ・E・リップシュタット:イギリスの法律の仕組みには、とてもショックを受けました。映画でレイチェル(・ワイズ)がそのときのことを演じるシーンがありますが、まさにああいう感じでした。ショックなだけでなく、(裁判を回避する)選択肢がほぼないということでもありました。もし闘わなければ、アーヴィングが自動的に勝つことになるのです。 時々、こんなふうに生徒に話します。テニスの試合を想像してみなさい、たとえ自分の方が優れた選手であっても、試合に現れなければ相手の不戦勝なのだ、と。

大統領の嘘

木村:今後、第2、第3のアーヴィングが出てきたときに、歴史の素人である私たちは、どうやったらそのうそを見抜けるでしょうか。真実への攻撃に対して何をしたらいいのでしょうか。

Lipstadt: I wish I had an easy answer. I don’t think there is an easy answer but I do think that in this day and age of social media, social platforms, various media platforms and in this day and age even more importantly, where so many politicians and so many political leaders feel free to make up things and insist that they’re truthful, that they’re true, when we know they’re not.

 

That now more than ever, we have to demand facts – show me the evidence, show me the facts. Now, it’s not something all of us can do as individuals, but to hope that whether it’s television, whether it’s radio, whether it’s media will say, “In my country Senator XYZ or President whoever it is,” – there’s only one – “made this claim with no evidence.”

抄訳

リップシュタット:簡単な答えをお伝えできたらよかったのですが、そういう答えはありません。ただ、現在、ソーシャルメディアやさまざまなメディアがあるこの時代に、多くの政治家や政治的リーダーがそれらを使って物事をでっちあげ、それらを真実だと主張するという状況があります。真実ではないと誰もが知っていても。

これまで以上に、事実を求めなければなりません。証拠を見せてくれ、事実を示してくれ、と。個人レベルでは難しいかもしれませんが、願わくは、それがテレビであれ、ラジオであれ、メディアであれ、こう主張してほしいと思います、「わが国の〇〇上院議員あるいは大統領、それが誰でも」――まぁ、大統領と言ったら一人だけですね――「その人たちのこの主張には何の裏付けもない」と。

“Mrs. Google”を活用して、嘘を見抜く

Lipstadt: The other thing on us as individuals is that we have to be very careful what we post on our Facebook pages or tweet about or Instagram or whatever platform you’re using, before you do that, is this really true? Is this being reported by responsible people? Even if you like the story.

 

I recently came across a story on, I think it was on Facebook, which made someone I disliked politically look terrible. And it was about a certain very, very, very far right wing politician who had said terribly racist things, and I said, “Ah, it shows what a no good person this person is.”

 

And I was about to share it and repost it, and tweet about it when I stopped at the last second and I said, this is so outrageous that if he really said it — I have to see if other places are reporting on it. So, I took it and I began to do a Google search on it, and Mrs. Google told me that the only place where it had been reported was the same place I had found. If he really said these things, it wouldn’t be only in one place.

 

First of all, it was not like the New York Times was reporting it or the Washington Post was reporting it, or the Wall Street Journal; it was some unknown source, which already made me suspicious. But nobody else was reporting it. So I said, this can’t be true. So even if it’s something that you want to be true, even if it’s something that reaffirms your bias, reaffirms your view, check it out. Is it a reliable source? We have to be very skeptical consumers.

抄訳

リップシュタット:個人レベルでは、FacebookでもTwitterでもInstagramでも何でも、投稿する内容には慎重にならなければなりません。本当に真実なのか? 信頼のおける人たちによって報道されているのか? たとえ、好みに合う記事であっても、です。

最近、たしかFacebookで見かけたものなんですが、それは、私が政治的に大嫌いな人物をひどい奴だと感じさせるものでした。その極右派の政治家が、ひどく人種差別的な発言をした、という内容で。私は「ほらね、この人物がひどい奴だって示している」という感じでした。

それでソーシャルメディアでシェアしかけたのですが、すんでのところで、こう思ったのです。もし本当に彼がそう言っていたらとんでもないことだ、他でも報道されているか確認しなくては、と。それでGoogleで検索したところ、Google先生が、私が見た投稿でしか報道されていないことを教えてくれました。もしその政治家が本当にそんな発言をしていたら、一つで済むはずがありません。

「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」、「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報道したというわけではなく、あまり知られていない出所であったことで、まず疑わしく感じました。そこ以外にはどこも報道していない。それで、この記事は真実ではないと思いました。ですから、たとえ本当であってほしいと思うことでも、自分の偏見や意見をあらためて肯定してくれるものでも、確認してください。果たして、確かな情報源なのか? 私たちは、疑い深い消費者であるべきです。

 

木村氏の質問に熱心に答えていたリップシュタットさん。非常にシリアスな内容ながら、Mrs. Googleや大統領ネタなど、ジョークを交えての論説にすっかり引き込まれた40分でした。

映画では、イギリス人女優のレイチェル・ワイズが、ニューヨーク・クイーンズアクセントのアメリカ英語でリップシュタットさんを演じています。他にも、名優トム・ウィルキンソン、「SHERLOCK/シャーロック」でおなじみのアンドリュー・スコットやマーク・ゲイティス、『ダンケルク』で話題をさらったジャック・ロウデンなど、豪華キャストが出演。世紀の法廷対決を、ぜひ劇場でご覧ください。

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取材・文:大庭葉子/編集:GOTCHA!編集部
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